hanami1294のブログ

現在休職中の小学校教員のつぶやきです(只今復職中)。

今度こそディランの選べま10

それでは結果を発表します。

 

11位「Where are you to tonight?」(1978)

アルバム「ストリート・リーガル」の最終曲。「ストリート・リーガル」と言えば「黒っぽいディラン」の最高傑作である。女性コーラスも入っていてR&Bモードのディランを満喫できる。AメロBメロと続いてサビに入るディランとしてはちゃんとした構造の曲。ちゃんとしているがその盛り上がり方は尋常ではない。一気に畳みかけるように「Where are you to tonight?」というサビに向かっていく様はディランの黒っぽいヴォーカルに似合っている。あんまり評価されていないっぽいアルバム「ストリート・リーガル」を舐めてもらっちゃ困るんだよ、と言っているようだ。

 

10位「Jokerman」(1983)

アルバム「インフィデル」の1曲目。最初僕は恥ずかしながらこの曲の素晴らしさに気づかなかった。ところがどうだろう。何年か経って僕のディラン度数も上がった頃に聴くと、すごく心地良いではないか。まず声が「ロック」している。多分僕は曲の最初からの「これはサビか?」状態についていけなかったのだ。演奏がまたタイトでいいんだよなあ。マーク・ノップラーの枯れたギター、スライ&ロビーのリズム隊がこの曲をさらに際立って名曲にしているように思う。

 

9位「A hard rain’s a-gonna fall」(1963)

ここから3曲は「ずっとこれを続けていてくれ」状態の曲が続く。殿堂入りした曲と同系の曲達だ。Aメロが延々と続き、その後「It’s a hard  It’s a hard  It’s a hard  It’s a hard」「It’s a hard rain’s a-gonna fall」と続く。6分50秒間ずっとこれが続くんですぜ。Aメロをずっと我慢して我慢して我慢してやってくるサビは最高。

 

8位「It’s all over now , baby blue」(1965)

さっきも書いたがこの曲も「ずっと続けてくれ」状態の曲。しかし「A hard rain’s a-gonna fall」と違うのは、どこをとっても素晴らしいメロディだということだ。ヴォーカルは最初から飛ばしに飛ばしてサビで少し落ち着いたかと思ったらまた伸びやかに歌い上げ、最後に「It’s all over now , baby blue」と落ち着いて締める。間奏のハーモニカの素晴らしさは言うまでもない。殿堂入り曲の「It ain’t babe」タイプの曲っていえばいいかな。

 

7位「Desolation row」(1965)

「ずっと続けてくれ」3曲目。これの何が素晴らしいかっていうと、ずっとおんなじ調子で10分以上歌っていることだ。これはどう考えても異常だ。特に大きな起伏もなく10分以上続けてて、名曲ってどんなんだ。あ、でもイントロからマイク・ブルームフィールドのギターの絡み付くようなプレイはこの曲を鮮やかに彩っているともいえるな。でもでも、ライヴではギター1本でやってて、こちらも素晴らしい出来なんですよ、旦那。ちょびっとアレンジしちゃったりしてね。だから曲自体の素晴らしさが7位たらしめる大きな要因であることは間違いない。


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6位「You changed my life 」(1981)

そろそろ皆さんに言い訳をしなければいけないようだ。なんで11曲なの?という疑問に対して。その答えがこの曲である。これは「ブートレック・シリーズ1~3」に収録されている曲で、これはどうしても外したくなかった。だから涙を飲んで皆さんとの約束を破ってしまったんです。だって元気一杯なんだよ、ディランはこの曲で。テンション高めなんだよ。早口でまくしたてるディランのこの曲は「黒っぽいディラン」期に作られたと思われる。女性コーラスもバッチリ入っている。ディランは何故このテイクをボツにしたのだろう?(調べたら「ショット・オブ・ラブ」のアウトテイクだった)曲は「いきなりピーク」から突然キメの「You changed my life 」を歌うという他の曲とも共通した構造である。繰り返すが、元気一杯だからランクインさせてもらった。

 

5位「Tangled up in blue」(1975)

名盤「血の轍」からの1曲目。邦題は「ブルーにこんがらがって」。比較的初期にこのアルバムを購入した僕は、「『ブルーにこんがらがって』か。いいタイトルだな」と思って聴いていた。曲は聴けば聴くほどしみじみとよく聴こえた。もしかしたら僕にとって初めてディランの素晴らしさを知った曲だったかもしれない。それにつけても「『ブルーにこんがらがって』ってディランも悩んだりするんだな」と思ったものだが、女々しい時のディランは女ったらし感満載だと思う。ここら辺はジョン・レノンとおんなじだ。アコギとハーモニカだけのパフォーマンスにサッサと見切りをつけてバンドスタイルを選択する冷徹さも好きなんだけどね。

 

4位「Don’t fall apart on me tonight」(1983)

イントロから「これは名曲モードで作りましたぜ」とディランが言っているようだ。アルバム「インフィデル」の最終曲。「インフィデル」は「ディランが(やっと)へんな宗教色の強いアルバム作りをやめた復活作だ」と話題になったアルバムである。この時期でもディランは「名曲を作ろう」と思ったら作ることができたのだ。そしてその通りこの曲は堂々(僕のランキングの)4位にランクインするくらいの名曲になった。「名曲を作ろう」なのだからちゃんとした展開(大サビ)もある。

 

3位「Make you feel my love」(1997)

「タイム・アウト・オブ・マインド」からの最終曲。ここまで書いて、アルバムの最終曲がランクインするのはこれで5曲目だ。僕のせいなのか、ディランのせいなのかは判然としないが。この時代(1997年)になってもディランは名曲を作ることができたのだ。まずはこのことを喜びたい。何て言うのかな、昔は「名曲モード」になったらすぐに名曲が出来たんだろうけど、それに飽きたんじゃないかな、ディランは。それで「名曲モード」を封印しているうちに名曲の作り方を忘れちゃったんじゃないかな。それでちょっと思い出してみたらこれだよ。だからこそ、2000年代になっても優れたアルバムを3枚も作ることができたんだと思う。ディランの名曲はいつも唐突に始まる。この曲もそうだ。聴いた瞬間「ああこれは・・・」と思った。90年代に作った曲が3位というところが素晴らしいと思う。

 

2位「Just like a woman」(1966)

もう最初のハーモニカから名曲風情を醸し出している。そして歌い出しから「もうサビか?」と思わされるくらいの状態が続く(思えばいつもこれだ)。その後、キメの「But she breaks just like a woman」(でも小さい女の子のようにもろいんだね)と来る。それだけで8分くらい続けても十分名曲なのだが、ふとディランは「もうひと展開いくか」と思ったのであろう。サビの後に珍しくさらに世界を広げる。そこも勿論素晴らしい。最後はこれも素晴らしいハーモニカプレイで締める。完璧な4分52秒である。

 

1位「I want you」(1966)

「Just like a woman」と同じく「ブロンド・オン・ブロンド」からの曲。ディランがふと「ポップにいってみるか」と思ったらこんな出来の曲になった。ふと思って作った曲(あくまで僕の想像ですよ)が1位である。「Just like a woman」もそうだが、「タタッタタッカタッカ」という短いドラムから始まり、ハーモニカが入る。ここだけでもう100万枚のヒット確実だ。そしてすぐに例の「もうサビか?」状態に入る。ずっと聴いていたいところでキメの「I want you」が来る。いい感じでポップになったと思ったディランだが、ここでふと「もうひと展開いくか」と思ったのであろう。さり気なく世界を広げる。ほんのちょびっと。1回だけだ。もうお気づきの方もいらっしゃると思うが、「Just like a woman」と同じ構造である。でも「ほんのちょびっと。1回だけ」でこんなに世界が広げるなんてディランはどうかしてるよ。至福の3分5秒。ボブ・ディランは、たったこれだけの時間で世界中を幸せにする曲を書くことができるのだ。


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「ミスター・タンブリンマン」とか他の名曲認定されているやつに君は目が向かないんだね、と言われそうなランキングではあるが気にしないでおこう。あと、ディランはギターの名手だということも書きたかったのだが、またの機会に譲ることにしよう。

 

「長けりゃ長いほどいい」というディランの普通の名曲モードもいいが、最後はポップ・ミュージックのマナーにのっとった短い時間で僕たちを幸せにしてくれる曲が1位2位になった。10曲だとさすがに1960年代、70年代、80年代、90年代の曲がランクインした。よかった。それでも60年代(5曲)の曲が圧倒的だけどね。いいんだよ、ディランはそれで。人間山があれば谷もあるさ。そして最後が山ならそれで何も言うことはないじゃないか。

 

しかし曲紹介とかアルバム紹介ってやつは書く人の表現力を厳しく問われる分野だな。いつものテイストになってしまったよ。まあ急には変わらんか。

 

 

さてと。今週3日分の献立と遠足のおかずを考えて、買い出しにに行ってのんびりするか。まだ10時だよ。