hanami1294のブログ

現在休職中の小学校教員のつぶやきです(只今復職中)。

冬眠日記その28 ~ディラン、声と歌い方の変遷の巻~

2000年代のディランのオリジナルアルバムの声は所謂濁声(だみ声)である。コトバンクによると濁声とは、にごった音声、すんでいない声、だそうである。僕もそのつもりで使った。でもディランは七色の声の持ち主だ(前に書いた)。そんでもって自身の音楽生活最期の2000年代に濁声を選んだ。これに僕は文句をつける気はない(これも書いた)。

 

でもどうしてこんな声にしたのだろうという疑問は残る。だから、今考えているのだが・・・。なんでだろうね?という言葉しか思い浮かばない。仕方がないのでディランの声や歌い方の変遷を辿ってみるか。

 

 

 

・House of the Risin’ Sun・・・デビューアルバム「Bob Dylan」(1962)から。何だかフォークシンガーの誰かの真似をしているような声と歌い方である。曲の後半は声を張り上げ、時に朗々と、時に唸ったりしている。唸るのはその後聴いたことないな。デビューアルバムらしい初々しさは良くも悪くも、ない。

 

・Blowin’ in the Wind・・・言わずと知れた名曲。「The Freewheelin’ Bob Dylan」(1963)から。もうみんなが思うディランの歌い方に変化している。つまり捏ね繰り回すような歌い方、鼻にかかったような独特の声だ。改めてよく聴くと少し「掠れ」が入っている。この歌い方はしばらく続く。

 

・Mr. Tambourine Man・・・「Bringing It All Back Home」(1965)から。自信満々である。捏ね繰り回し方も鼻にかかった声も。そして何より声の圧が増している。ロック・シンガー、ディラン誕生前夜の声。

 

・Like a Rolling Stone・・・「Highway 61 Revisited」(1965)からの超名曲。歌い回しの鋭さ(譜割りの鋭さ?)が頂点に達している。ライブで観るとその凄さがわかるよ。もはやラップである。ロックサウンドになったことが関係あるのかな。だから性急に歌いたかったのだろうか。声は不思議なことに掠れ成分は少なくなっている。これでロック・シンガーだったのか、と改めて思うくらいである。

 

・Stuck Inside of mobile with the Memphis Blues Again・・・「Blonde On Blonde」(1966)から。僕のフェヴァリット・ナンバー。掠れ成分が戻っている。歌い回しが「Like a Rolling Stone」同様最高だ。そしてAメロBメロサビというシンプルな構成の歌を果てしなく歌っているところもいい。ディランの名曲に多いパターンだ。いつまででも聴いていたい曲。この曲はもう今は歌わないんだろうなあ。

 

・John Wesley Harding・・・来た!カントリーヴァージョンのディラン。「John Wesley Harding」(1967)から。ロック・シンガーは飽きたのだろう(そのブームはもう昨年で終わっちゃったのだ)。今まで聴いたことのない声で歌っている。デビュー時より爽やかな声だ。何より意地悪く聴こえないのがこの歌い方の特徴であろう。

 

・Girl from the North Country・・・「Nashville Skyline」(1969)より。来た来た!!超綺麗な声。ツルツルピカピカである。聴いたことないぞ、こんな声。いい人に聴こえる。この曲はジョニー・キャッシュと歌っているが、カントリー・シンガーのジョニーの方がやさぐれている。レコードジャケットも爽やかさ満載である。一応他の曲も聴いたが、いい人ぶった声であることに変わりはない。ディラン極北の声である。バイク事故も影響を及ぼしたのかな。それにしてもこんな声も出せるんだ、と驚くばかりだ。

 

・Lily, Rosemary and the Jack of Hearts・・・「Blood On The Tracks」(1975)より。意外にも結構綺麗な声で歌っている。これも僕のフェヴァリットのひとつ。いつまでも歌っていてほしい9分弱である。この曲を一発録りしたディランはすごいよ。

 

・Hurricane・・・「Desire」(1976)より。掠れ成分がアップ。ここら辺から掠れ成分はかなり長期間キープし続けているように思う。

 

・Changing of the Guards・・・「Street-Legal」(1978)から。このアルバムは好きだ。黒っぽいサウンドに乗って歌うディランってありそうでなかったんじゃないかな。張り切って女性コーラスまでつけている。でもこのサウンドに合った声だ。成分は「Hurricane」とおんなじ感じかな。

 

・Gotta Serve Somebody・・・「Slow Train Coming」(1979)から。この曲、40年ぶりくらいに聴いたよ。これも黒っぽいといえばそんなサウンドである。でもまあ「Street-Legal」を聴いているから普通のディランに聴こえる。それにしてもここまででキャリアの半分もいっていないんじゃないか。すごいな。

 

・Jokerman・・・「Infidels」(1983)から。出た!ロック・シンガーディラン復活だ!捏ね繰り回して歌っていない、掠れ成分たっぷりで楽しめるよ。いたって普通に歌っているが、声がかっこいいので久しぶりにロック・シンガーになったディランを楽しむことができる。しかし、これ以降ロック・シンガー、ディランは封印された。

 

・Political World・・・「Oh Mercy」(1989)より。30年ぶりくらいに聴いた。もしかしたら今のディランに一番近い声かもしれない。この曲、結構かっこいいな。この声に(タンが絡んだような)水分を加えると今のディランの声になると思われる。きっと昔から今のような声を出そうと思えば出せたんだな、と思わされる声である。

 

・Frankie & Albert・・・「Good As I Been to You」(1992)より。アコギ1本で作ったカヴァー集。声がフォークシンガーになっている。いやらしい(意地の悪そうな)声である。この意地悪さがこの後もっと意地悪くなる(はずである)。

 

・Make You Feel My Love・・・「Time Out of Mind」(1997)より。この曲も超名曲だ。「Political World」よりこっちの方が現代のディランに近い。しかもいやらしい(意地悪そう)。ここら辺から僕はディランを熱心に聴かなくなったんだっけ。

 

14曲も聴いたのか。ここまでが1960年代~1990年代のディランの声と歌い方のメモである。何かの参考になったのだろうか。そうだな、やはりディランは意図して声を変えてきたのだということが分かった。そして1990年代の後半からはもうタンが絡んだ意地悪モード声でいこう!と決心したみたいである。2001年の「Love and Theft」は今のディランに繋がる声だ。

 

もちろん年齢的な問題が、声帯や歌い方に影響を及ぼしているとも考えられる。ディランについて書くのはもういいじゃないか、このくらいにしておけよという声も聞こえてきたので僕もそろそろディランの声について書くのはやめようと思う。とか言いながら図書館で「ノー・ディレクション・ホーム ボブ・ディランの日々と音楽」という800ページ以上ある本を借りてきたんだけどね。いつ読むんだろう。

 

 

 

スペンサーシリーズの「昔日」を読了した。読み進めてもちっとも「ああこれ読んだ」とならなかったので、おそらく初めて読んだ作品だと思われる。今になって読んでいないパーカーの作品に出会えるなんて幸せである。そしてスペンサーシリーズの中でも上位に入る名作でもあった。記憶に残る名セリフがたくさんある。いやあ、見つけて本当に良かった。

 

これを読んでいる途中から他の作品も読みたいと思い、アマゾンでガンガン注文している(書いたっけ?)。遂に僕の読書熱が再燃しつつある。スペンサーシリーズに限ってのことだけれど。そして、土曜日に図書館に行ったらあったよ。未読のスペンサーシリーズが。これが最後の1冊かもしれない。その本のタイトルは「灰色の嵐」(Rough Weather)という。

 

 

 

ぜんっぜん関係のない話で申し訳ないが、皆さんの住む地域では通知表のことを「通知表」と呼んでいましたか?それとも「あゆみ」と呼んでいましたか?それとも全然違う呼び方でしたか?いやね、ちょっと気になってしまいましてね。どうも狭い地域間でも呼び方が違うことが発覚しましてね。僕が子どもの頃は「通知簿」と呼ばれていた。教員になってからは最初「通知表」、途中から「あゆみ」になった。「あゆみ」っていうのがどうもヒューマンな感じ(伝わるかな?)がして嫌だったんだけど、いつの間にか慣れていた。

 

 

 

最後にしつこいようだがもうひとつ書いておかねばならないことを書こう。

 

 

つ、つ、つ、ついにビ、ビ、ビートルズの「ゲット・バック」に手をつけたよ。1本目の90分で僕は疲れ果ててしまった。結構辛いものがある。だからゆっくりゆっくり観たいと思う。そしてルーフトップコンサートで喜びを爆発させるんだ!