hanami1294のブログ

現在休職中の小学校教員のつぶやきです(只今復職中)。

「槙ノ原戦記」読了

今朝も5時半に目覚めた。今日はコーヒーを飲まずにすぐに出かけた。なんか5時台の朝って気持ちいいんだよね。のんびり歩いたけれど、帰宅したら妻がまだいたので少しお喋りする。

 

「まだ掃除したところがいいっていうところある?」「うーん、カーテンの上の方、掃除した?」「したよ」「照明も?」「うん」「すごいね。じゃあ配電盤のところは?まだやろ?」「うん。今日するわ」。ということで今日のミッションは決まった。

 

しか~し、その後すぐにシャワーと洗濯をしたにも関わらず、もう午前が終わろうとしている。その間僕がしていたことはドラマ「不毛地帯」を観ることだけだった。昨日ついフラフラとFODを覗いてみたら見つけたんだよね、「不毛地帯」を。ちょうど僕の調子が悪かった時期のドラマで、僕にとっては感慨深い作品なのだ。昨日は3話まで観た。今日はその後4話続けて観た。もしかしたらこの病休初めてのダラダラ時間だったかもしれない。今日は配電盤だけ掃除して思いっ切りダラダラしてみるか。

 

 

さて「槙ノ原戦記」である。先々週から読み始めたのだが、面白くてあっという間に読んでしまった。太平洋戦争期のある村で起きた話だということは書いた。帯の裏にあらすじが書いてあるので引用してみよう。

 

「靜と綾。上槙ノ原で生まれた双子の姉妹には不思議な力が宿っていた。天才的な頭脳と統率力を持つ靜。絶対に死なない綾。そんな二人が成長したとき、太平洋戦争が勃発する。食料が枯渇した村は強烈な飢えに襲われ、打開策として靜がとった行動は、長年対立してきた下槙ノ原への襲撃だった。戦火の中、二人が人々を導く先は天国か地獄かー」

 

このあらすじにはネタバレになるので大事なことが書かれていない。飢えに襲われた結果打開策としてとった下槙ノ原への襲撃の前にしたことがある。それは「食人」だ。上槙ノ原で食べ物が枯渇した際に住人が選んだことが死んだ人を食べることだった。最初は己を律していた靜も両親が死んだ時に、綾と一緒に両親を食べる。それからはなし崩しだった。

 

その後、下槙ノ原が上槙ノ原への補給物資を送らず自分達のものにしていたことが分かった靜が下槙ノ原への襲撃を目論んだのだ。

 

飢餓、そして食人は文学の重要なジャンルです、と著者の花村萬月は書いている。そしてそれを娯楽作品で顕したいとも書いている。花村の狙い通りにこの作品は見事に娯楽作品に仕上がっている。最近の花村作品に「?」と思うものが多かった僕としては喜ばしいことだった。

 

しかし書いているテーマは重い。花村は「飽食して充たされている自分自身の心に忍び込んでいる偽善が許せずに絶食してみたが、4日目で諦めた。そして問題は、自らの意志で行う断食ではなく、押しつけられた飢餓だ、果てのない暗黒に覆いつくされた飢餓だ」と述べている。彼の得た結論は「サクリファイス、救済、宗教心。それらを真に掴むことができるのは飢餓の極限にある者だ」というものであった。

 

こんな重いテーマを軽々と書いてしまえる花村萬月は僕が長らく愛読してきた花村萬月だった。しかもこの作品は彼の闘病中に書いたものだろう、きっと。よく書けるな、と正直思った。

 

今までの花村作品の要素が絶妙に散りばめられている。やくざ者と靜のやり取り、偽善者っぷりを極限状況下で思いっ切り晒す軍人、姉妹間の微妙な感情の揺れなどは今までの作品を読んできた人なら堪らんだろう。しかし疑問もある。食人についてだ。

 

今まで暴力行為や性行為等人間がやってしまうどうしようもなさを克明に描き切っていた作者は今回の重要な行為である食人についてはあっさりと書いている。まあ、実際に人を食べたことないんだからしょうがないのかな。それか娯楽作品にしようと思ったからには、ここはあっさり書いた方がいい、と判断したのだろうか。花村ならいくらでも克明に書けるだろうに。僕にとっては食人についての描写に多少の物足りなさは残った。

 

でも久しぶりに「次、どうなる?どうする靜よ」と思いながら読み進めることができたのでよしとしよう。今、花村作品を読むのなら時代物がお勧めかもしれない。

 

 

今は「楡家の人びと」を読んでいる最中である。文庫版で3巻あるが、読み進めることになるかはまだよく分からない。しかし北杜夫の文章は好きだ。それに僕と同じ双極性障害だったし、少しばかり親近感もある。

 

 

配電盤とその周りの掃除が終わった。今日のミッション達成だ。それにしても家って本気で掃除しようとするといくらでも汚い場所が見つかるものである。まだ僕の清掃活動は続きそうだ。

 

 

明日はいよいよ入院第1弾である。ドキドキするな。必要書類も書いてしまわねば。用意は明日の午前中でいいだろう。14時30分までに来院してくださいと言われている。検査の器械を付けるのは21時前後になるだろう。その間僕は何をすればいいのだろう。取り敢えずパソコンは必携だな。入院日記を書かなくっちゃいけない。

 

 

今日は井上選手の試合を見なければいけない。よってこれで夏眠日記を終えることにする。