hanami1294のブログ

現在休職中の小学校教員のつぶやきです(只今復職中)。

夏眠日記その9(花村萬月の巻①)

今日は危うい日だった。朝、ウォーキングを済ませて、9時からのワクチン接種予約に備えていた。首尾よく予約して、今日のブログをあらかた書くと安心してしまって、その後ぼうっとしてしまった。気づくともう13時だ。これはいかん、とりあえず外へ出ようと思い、散髪をすることにした。そのおかげで何とか後悔のない一日にすることができた。草むしりにも着手することができた。しかしもうすっかり隠遁生活者だな。

 

というわけで花村萬月である。

 

昨日、なぜhamaniというハンドルネームにしたかを書いたら、花村萬月を読みたくなっちゃった。少し読むかもしれないが、全部読むわけにはいかないので、ここで僕の「花村作品ベスト10」を書いてみようと思う。今日はウィキ祭りになりそうだな。「ベスト10」といっても順位はつけられないのでとにかく思いつくままに10作品を選んじゃおう。

 

まずは「たびを」(2005)・・・主人公の谷尾虹児は、ある辛い出来事をきっかけにスーパーカブで日本1周をする。旅先で出会った人(特に女性)との濃密な触れ合いが虹児を癒し元気づける、という成長物語になるのかな。花村萬月はほんとに女性との触れ合いを描くのが上手い。タイトル「たびを」は「旅をつづけられたら、いいね」という虹児の童貞を奪った女性の言葉。僕はこの本を旅先(さぬきうどん巡りの旅)で見つけた。その夜は遅くまでこの本を読んでいた。

 

次は「二進法の犬」(1998)・・・これは前にも書いたことがある。とにかく蘊蓄まみれで、それが勉強になって赤ラインだらけになった(僕には気に入ったところは赤いラインをひく癖がある)。コンピューター、ヤクザという組織の在り方、博打について、言葉の語源についての蘊蓄、性愛、哲学、教育など、とにかくその時の花村萬月の持っているものをありったけぶちこんだ快作(怪作)。主人公の鷲津兵輔の変容にはいろいろと考えさせられた。

 

「ウエストサイドソウル 西方之魂」(2010)・・・花村萬月お得意の青春音楽もの。これは素晴らしい。帯を丸写しすると・・・「父子家庭に育った17歳のピカイチは登校拒否中。ある日古本屋で同級生の日向淑子と出会ったことから、彼の人生は大きくうねりだしていく。ブルースに、セックスに、沖縄に。新しい体験へと誘われていくピカイチが、最後に立つ場所はー。」「かつて日本中の読書家たちを熱狂させた花村萬月の音楽小説が、帰ってきた!」である。音楽小説では、当然音楽を取り扱うことになるが一番難しいのは歌詞をどう取り扱うか、であると思われる。ここら辺は名作「ブルース」(後で書くかもしれない)「ゴッドブレイス物語」等でもそうだが、花村萬月は上手いし、センスがある。本作品では、現代詩(違うかもしれない。とにかく詩人が書いた詩だ)をブルースにのせて主人公ピカイチに歌わせて(語らせて)いる。これは想像を掻き立てられて素晴らしい。詩の内容も素晴らしい。しかし、ピカイチが急激にギターが上手くなるところが(今の僕には)腹立たしい。(←冗談)

 

「俺のロックステディ」(2009)・・・遂に出た!花村萬月のロックガイドブックみたいな本!これもズルしちゃおう。「ブルースロック、グラムロックアメリカンロック、ジャズロック、ブリティッシュロック、ハードロック、プログレッシブロック、日本のロックー。1960~70年代の黄金期を俯瞰する、本格的なガイドブック的側面に加え、エッジの効いた文章に乗せながら『ロックとは何か?』という根本的な命題を探求した、萬月流ロック論。本書で、著者が導きだした解とは?初心者必読、そして自称『通』のあなたも、それぞれのロック体験史の空白を埋めてくれる一冊!」

 

2009年、僕はこの本を頼りにタワーレコードでCDを探したものだ。ということはまだ、アップルミュージックを体験していなかったんだ。CDめぐりをしたのはこれが最後だったかもしれない。今なら楽ちんに取り込める。再読しようかな。

 

4冊で終わっちゃったよ。これはまだまだ書きたいぞ。というわけで続きは「花村萬月の巻②」で、ということにします。

 

 

花村萬月は、現在闘病中である。2018年から白血病を患っている。にもかかわらず執筆活動を続け、最近では「対になる人」を上梓した。何とか治癒に向かってほしいものである。