hanami1294のブログ

現在休職中の小学校教員のつぶやきです(只今復職中)。

「ギミ・サム・トゥルース」でのジョン・レノンを観て・・・

冒頭「イマジン」を初めてバンド仲間に聴かせる場面がある。もちろん傍らにはヨーコがいる。「イマジン」を演奏し終わり、仲間に窺うようにして言葉を待つジョン。「いい曲だね」と言われ「だろ?お気に入りだ」と答える。

 

ところが「お気に入りだ」の「入り」くらいのところでヨーコが割って入る。「1オクターブ上に別のピアノを重ねるといいかも」。咳払いするジョン。そしてヨーコの話を聞くか、という態度を瞬時に取る。仲間はぼんやりとヨーコを見る。「これだけでいいだろ」と答えるジョン。「エレピはやめて」とぴしゃりと言うヨーコ。緊張、というか「またか」という雰囲気が立ち込める。「ピアノ1台でいけるよ」と誰かが言う。「繊細な曲なの」と間髪入れずに言うヨーコ。同じく間髪入れずに「重ねて録ってみようか」とジョンが言う。続けて「部屋にマイクを立てるよ」「それがいいわ」とヨーコ。ぼんやりとヨーコを見ていたバンド仲間は笑顔になり「イエー」と感極まって答える。「だったらあの白いピアノがいい」とジョン。ジョンとバンド仲間が顔を合わせて笑顔になる。

 

その間10秒も立っていない。沈黙なしの矢継ぎ早の会話だ。この様子を見るといかにジョンがヨーコに依存していたかよく分かる。ピアノ1台でいけると誰もが思っていてそう言ったのに「繊細な曲なの」と言われた瞬間ころっと態度が変わり「重ねて録ってみようか」と言うジョンを見て僕の妻は「(ジョンはヨーコに)瞬殺されとるね」と言った。

 

つまりはそういうことなのだ。ジョンはヨーコの手の平の上でころがされているのだ。常に。バンド仲間はジョンの子分だ。親分の言うことに従うしかない。普通なら離れていくものだがなにしろ相手は巨大な才能の持ち主だ。こんなチャンスは滅多にないから離れられない。

 

というわけでしばらく「イマジン」のメイキング映像が続くが、ジョンは苛立っているように見える。さっきのような調子でヨーコに意見され、それをピアノのニッキー・ホプキンスらに伝える時、「俺って何なん?」と心のどこかで思っていたはずだ。唯一何テイク目かの時にヨーコに「君は向こうで聴いててくれ」と言ったのがせめてもの抵抗だったのかな、と思う。

 

でもしょうがないよな。ジョンにはヨーコが必要だったんだもん。ヨーコがいなけりゃ自分はバラバラになってしまうと思っていたんだよな、きっと。

 

「イマジン」に話を戻すと、白い部屋にある白いピアノでニッキー・ホプキンスとピアノを弾いているジョン。するとヨーコから「まずニッキーのピアノに合わせて」「それからオクターブ上で何か弾いてみて」。ジョンは「OK、まずは同じオクターブで弾いてみる」と答える。そしたらスタジオから「問題はその部屋のノイズだ」という言葉が・・・。「OK、そういうことか」と間髪入れずにジョン。そしてヘッドフォンをはずし、「先に言っといてくれよな」。「«そして世界はひとつになる»」とおどけた調子で言い、カメラに向かって「別日に録り直しとなったことをお伝えします」「1時間録った上で部屋のノイズがひどいとさ」と言う。

 

こういうことはどこの世界でもしょっちゅうあることとは思うが、ジョンもそうだったのか。でもなぁ。ミュージシャンでもないヨーコに音楽的なことを言われ、録音する上でのトラブルまで言われるとなるとちょっと待てよ、と思っただろうな。しかし、「イマジン」はヨーコの本(グレープフルーツ)から着想を得ている。だからヨーコもサウンド面に介入したのかもしれない。彼女を擁護するとするならば。

 

でも、やっぱり僕は前にも書いたようにジョンの姿だけ見ていたいんだ。

 

イラついているジョンを見るのはつらい。話はぐるぐる回るけど、それでもジョンにとってヨーコはお母さん的存在でもあったこともよく分かる。

 

その後もいろいろあるが(「オー・ヨーコ」のコーラスを入れる場面とか)、安心できて興奮するのは音楽を奏でている場面だ。ジョンの生声が聞ける場面だ。ジョージの繊細なギターも素敵だ。

 

 

 

未だに世界中がジョンとヨーコをセットで見ている(それは一部事実なのだろう)。そして「イマジン」「ハッピー・クリスマス」が世界中で流れる。そのことに僕はイラつく。「イマジン」を歌って今のこの世の中が穏やかになるのなら100万回でも歌うよ。

 

 

今、非常にたくさんの人を敵に回したような気になったが、言わずにはいられないな。気分を害したらごめんなさい。俺はこんな人間なんだよ。(←開き直ってる)