「全部使えよ」とリンゴは言った

さあ、「ゲット・バック」パート2の始まりだ。しかし・・・今回もしんどいだろうな。

 

1月13日月曜日。セッション8日目。

 

マイケル監督がリンゴに「どうしよう、このままじゃまずいよ・・・」と相談を持ちかけると、リンゴは「全部使えよ」と即答した。リンゴはもうビートルでいることにほとほと疲れているのだろう。分かりました。こちらも気合を入れて全部書かせてもらいましょう。

 

マイケル監督は「決裂の真相まで踏み込めればいい作品になる」と言う。そしてポールも交えてスタッフ達と話し合う。

 

ポールは「とにかくジョンはヨーコと一緒にいたいだけなんだ。多分僕らには父親のような存在がいる。どうもジョージはジョンとヨーコが気に喰わない」と言う。それを聞いて宙を見つめるリンゴ。困った顔をしている。

 

「ジョンに少しは譲歩しろと言う気はある?」と聞かれ「どうかな」と答えるポール。目がうるうるしている。瞬きひとつしない。マルがポールに「ジョンと話すかい?」と言うと即座に立つポール。しばらくして戻ってくるポール。「ジョン、来るって」と明るい表情でみんなに言う。

 

ジョンが到着後2人だけで話し合う。これを何とマイケル監督は隠しマイクで録音していた。非常にシリアスな会話だ。いいのか?こんなことして。でも今や世界中の人がこの会話を聴くことになった。一部再現してみよう。

 

ポール「ジョージは?」

ジョン「来たくないのさ」「彼は一緒にいると妥協を余儀なくされると言った」「僕らは(そんなジョージを)さらに傷つけ、絆創膏も渡さなかった」「こっちにもエゴが出るからな」

ポール「結局僕らが悪いんだ。全員が別の方向に進んでいる」

ジョン「君は僕に指示する。僕は指示する気はない」「ある時期、君のアレンジに対して誰も何も言わなくなったろ。君は拒絶するから」

ポール「そうだね」

ジョン「もう«ビートルズ»はただの仕事になっちまった」

ポール「君はボスだった。僕は第2のボスだ」

ジョン「でも僕も君も結局は自分を守りたいんだ。僕は君やジョージの好きにやらせてきた」

 

などと、今までぼぅっとしていたジョンの真意がここで分かる。

 

昼食後ジョンはジョージとの会合を提案する。しかしジョージはリヴァプールにいるとのこと。戻るのは水曜日だ。リハーサルを始めるがジョンは完全にシラケている・・・。

 

 

1月14日火曜日。セッション9日目。

 

「マーサ・マイ・ディア」をピアノで弾くポール。スタッフに曲の構造を説明するポール。一人ぼっちだ。するとにこやかにリンゴが来た!リンゴと2人でロックンロールを演奏する。ジョンはまだ来ない。

 

やっとジョンが来たと思ったらテレビ取材だという。それも終わり、3人並んでカメラの前に座る。ジョンはポールと嬉しそうにジョークを言い合うが、これはテレビ用の顔だ。その後シリアスに「ありのままの僕らを見せたい」などと言い出す。困惑するポール。しかし俳優のピーター・セラーズが来たら、再びテレビ用の顔になる。ジョークの嵐に困るセラーズ。セラーズが帰ると3人は再びシリアスになる。ジョンは「ヘルプ!」の歌詞を持ち出し、「今より若かった頃は誰の助けも要らなかった」と言う。深刻に聞くポール。ジョンは続ける。「でも生活は大きく変わった」。そして「こんなの続けていられない」とポール。

 

その後、よく分からないことを真面目な顔つきで延々と話すジョン。こわい。こわいけどかっこいい。クスリのせいか?

 

「ミーン・ミスター・マスタード」の練習。リンゴは憔悴し切っている。そして「どうする?スタジオでアルバムだけ作る?」と言うと、ポールが「取り敢えずフィルムは止めて。ジョージは明日帰ってくるはずだ」

 

「翌日のリハは中止され、ジョン達3人は再びジョージと会った」

 

1月15日水曜日

「会合は前向きで建設的なものになる。4人はプロジェクトの方向修正で一致する。TV特番は中止となった。彼らはスタジオに移って録音することに」

 

1月16日木曜日セッション10日目。

 

トゥッケナムスタジオ最終日。ポールはデモ録音をしにやって来た。ドラムセットを片付ける中、「オー・ダーリン」を録音する。孤独だ。

 

1月17日金曜日

 

EMIの機材をサヴィル・ロウへ移す作業が行われる。18日、19日と機材を整える。

 

1月20日月曜日。セッション11日目。

 

リハーサルが行われる。撮影は許可されなかった。ジョージも来た!颯爽と歩くジョージがかっこいい。

 

1月21日火曜日。セッション12日目。

 

ジョージ・マーティンがリンゴと話し合う。ジョージ・マーティンはやっと自分の意見が言えるって感じでガンガン自分の考えを話している。そうこうするうちにジョージ(・ハリスン)が来た。笑顔だ。気がついたらジョンも来ていた。新聞を見てジョージがジョンに「2人が殴り合うのは初めてではない」と読み上げる。それを聞いたジョンがジョージに殴りかかる真似をする。応じるジョージ。2人とも嬉しそう。ジョンが「ユー・アー・マイ・サンシャイン」を歌い出す。ジョージとリンゴがそれに応じる。楽しそうだが、ポールはいない。何だかんだふざけているとポール登場だ。すぐに椅子に座る。ジョージの真向かいだ。

 

4人がせっかく揃ったのにグリン・ジョンズの準備が整わない。仕方なくずっとどうでもいいセッションをする4人。でもこういう時間が必要なのかもしれない。

 

やがてジョンが「曲のリストを教えてくれ」とポールに言うとすかさず答えるポール。「まずはカメラの前で30分ほどやろう」とジョン。リーダーシップをとっている。やればできるじゃないか、ジョン。しかしマイクがハウってしまい中断。自分達に否定的な新聞記事を読みだすポール。音楽的だ。ジム・モリソンみたいだ。それにロックンロールをかぶせるジョン。これまた音楽的だ。

 

やっと録音が始まる。ビートルズ、本気モードになる。「ディグ・ア・ポニー」を演奏してプレイバックを聴く4人。何だかジョンはハイテンションだ。再び演奏。段々曲がまとまっていくのが分かる。ジョンがリンゴに注文する。「アイ・ガット・ア・フィーリング」はポールがマジで歌う。「ドント・レット・ミ-・ダウン」はジョンとポールが途中からハイテンション。「シー・ケイム・スルー・ザ・バスルーム・ウィンドウ」ではポールが指示をし始める。細かい。でもみんな素直に聞いている。いい感じだ。やっとバンドにエンジンがかかってきたようである。そして今日のセッションが終わった。リンゴがとても嬉しそうなのでこちらも安心する。でも最後はポールとジョンは意見を闘わせている。前向きなものっぽいからまあ、いいか。

 

 

 

今日僕は、頑張って最後まで「ゲット・バック」を観た。大団円と言えるか分からないけど、とにかくみんなハッピーな顔をしているのを見て心から安心した。だからもう少し、もう少しで事態がより好転する。次のレポートのタイトルは「ありがとう、ビリー」になるだろう。