hanami1294のブログ

現在休職中の小学校教員のつぶやきです(只今復職中)。

400-チアイとの会話Ⅰ-③

「だから子ども達の間に何の関係もない状態で、授業なんてできないな、俺には。すごい先生はよく、地方へ行って初めて会う子ども達と授業するけど、あんな事はできない。そういう先生はコミュニケーション能力が高いから、あっという間に子どもとの関係性を築けるんだろうな。俺はとにかく子ども同士が関わっていく授業をしたいだけだよ。さっきも言ったけど、そのためには、人の話を聞けないといけない。

俺は聞くことについては、性悪説の立場をとってるよ。だって、子どもも大人も聞いているふりをすることが上手いでしょ?チアイにも身に覚えがあると思うけど。だから授業でも「今○○さん何て言った?」って『聞き』を入れるんだ。これにもレベルがあって、「今○○さんは、リンゴが何個って言った?」という比較的答えやすいものから、「今○○さんが言ったことを再現してみて。」というレベルの高いものまでいろいろある。それで、友達の発言を聞いている子どもの様子を見ながら瞬時に判断して、誰にどのレベルの「聞き」をするか決めるんだ。

そうするうちに子ども達は「この先生は何を聞いてくるか分からないぞ。」っていう風に聞く態度が変わってくるんだ。それがまず「聞くこと」について俺が言いたいことだよ。それでね、若い時、教育委員会の指導主事が、『聞くことは反応すること』って言っていたんだ。なるほどって思ったけど、具体的にどんなことなのか漠然としていた。だから、ずっと考え続けて、さっきみたいにレベル1からレベル4まであるんじゃないかと考えたんだ。でも子ども達にあれを要求する以上、自分が一番いい聞き手にならなければいけない。だから一生懸命に子どもの発言やつぶやきを聞いてるよ。」


「ええ。それは良く伝わってきたわ。」


「だから、授業開きで聞く力を高めることを確認し合った瞬間から、『聞く力』を鍛え始めるんだ。時に授業を止めてでも、全員が話す子の方を向くまで待つんだ。今のこの状況ではちょっと難しいかもしれないけど。俺が話す子の後ろに立って、全員がこちらに注目しているか確かめるんだ。担任だったら単純に1時間に3回それをすると、1日に約10回、1週間で50回、ゴールデンウィークまでには150回『今誰が喋ろうとしてるの?』と確認することになるだろ?力ってそうやって継続して鍛えていくものだと俺は思っている。1時間に3回っていうのは、導入の時、集団解決の時、振り返りの時、なんかが考えられるよ。そうしていくと、6月下旬頃には、子ども達で授業を創っていくことができると思うんだ。」


「ちなみに聞くこと名人レベル4は何なの?」


「『話を聞いて自分の考えを再構成できる。』だよ。もっと簡単に言うと自分の考えが深まるっていうことだ。例えば小数のたし算だったら0.2+0.3の答えはみんな直感的に0.5だって言うんだ。ほとんどの子がね。でもなぜ0.5になるかは言えない。ほとんどの子が、0を取って2+3をしてあとで0をつけるって言うんだ。それはやり方であって考え方じゃない。ほんとは、0.1をもとにすると、0.1が(2+3)こあるから0.1が5こで0.5になる。このことを授業を通して、最初の自分の考えはこういうことだったのかって友達の話を聞いて分かること。それが『自分の考えを再構成する。』だと思っている。でも、レベル3までいけば、授業は『動き出す』と思っているんだ。先生がしゃべらなくてもどんどん子ども達で授業を進めていけるようになる。俺はそんな授業をやりたいと思っているんだ。」