現在午前1時20分。僕はリビングで妻と2人で向かい合いながら記事を書いている。妻は僕に明日のことを相談している。こんな時刻に2人で何してんだろ。妻はずっと起きていて僕は寝て目覚めたところだ。一体どんな家庭なんだ。相談されている内容は、そんなこと言われても俺にはどうにもできないよっていう事案である。僕は一生懸命聴いているふりをしている・・・。遂にボイスレコーダーの使い方の話になった。普通ボイスレコーダーって立場の弱い人が使うものだが・・・かなり怖い話になってきたな。
僕の方は何故目覚めてリビングにいるか・・・CPAPの失敗である。せっかく加温チューブを使ったというのに、あったかい空気は流れてこなかった。冷たい気流は僕の鼻の穴をジーンとさせるばかりだった。これでは眠れない。結局1時過ぎに諦めてリビングに行ったというわけだ。まあ2週間かけて徐々に慣れていくしかないのかな。
それよりも音楽である。今日はトム・ヴァ―レインが奏でる音楽を聴きまくって、彼について書いてみよう。(結局トムのソロ作品までにはいかなかった)
トム・ヴァ―レインがアーティストとして、世間にその名を知られるのは、1977年にテレヴィジョンという名の、シンプルだけど奇妙な名前のグループでデビューした時からだ。アルバムのタイトルは「マーキー・ムーン」。ジャケットでの彼は痩せこけた顔をし、異様な目つきでこちらを見ている。秀逸なジャケットだ。彼と付き合っていたこともあるパティ・スミスはトムのことを「ロックの世界で一番美しい首の持ち主」と言っていた。トムはこのバンドのリーダーであり、ギター&ヴォーカル担当だった。
このアルバムは評論家受けもよかったようだ。その勢いで翌1978年にセカンドアルバム「アドベンチャー」(このジャケットも好き)を発表するが、あんまり新機軸な要素を打ち出していなかったので評論家受けは悪かったらしい。
僕は先に「アドベンチャー」を買って後に「マーキー・ムーン」を聴いた。このことは過去記事に書いたことがあるが一言付け加えさせてもらうと、当時の田舎でよくテレヴィジョンのレコードなんか売っていたなあと思う。思えば他にもいろいろマイナーなグループのレコードを買ったものだ。
話を戻さなきゃ。そうだなあ、僕はまずトムのヴォーカルに痺れた。遠藤ミチロウ曰く「鶏が首を絞められた時のような声」。言い得て妙である。この当時、荒んだヴォーカリストに惹かれっぱなしだった僕は、ワイルドサイドを歩くヴォーカリストとしてジム・モリソン、ルー・リード、イギー・ポップの次にトム・ヴァ―レインの名前も入れることにした。
次。アルバム「マーキー・ムーン」は今聴いても名盤だ。全く色褪せていない。特にA面の4曲の並びは完璧だ。B面も同じく4曲並んでいるが、CDが何回か再発売された時に、さりげなく最初に発表したシングル曲「リトル・ジョニー・ジュエル」(デビューシングルなのにもう大名曲である)等数曲をアルバムの最後に忍ばせるようになった。そこは勿体ないな。A面4曲、B面4曲でこのアルバムは100%成立している。他の曲を入れる余地はない。
僕は「マーキー・ムーン」「アドベンチャー」がテレヴィジョンの全てだと思っていた。もちろん再結成したことやライヴ盤の存在は知っていたが、この2枚、特に「マーキー・ムーン」があれば十分だと思っていた。しかし状況は変わった。トムの死去によってもう一度スタジオアルバムを聴いたり、ライヴアルバムを聴いたりした。そして、ライヴの素晴らしさに気づいたわけだ。
アルバムでの彼のギターも素晴らしいが、ライヴではもっともっとギターを弾き倒しているっていうのかな、青白い炎のようなギターがさらに青白く燃えてるって言えばいいのだろうか、よく分からんがとんでもなく熱いギタープレイを聴かせてくれる。その最たる曲が「リトル・ジョニー・ジュエル」「マーキー・ムーン」だと思う。2曲とも10分を超える大作なのだが、トムのギターに聴き入ってしまうこと間違いなしだよ。10分と言う長さでハードルが高く感じる人もいるかもしれないが、聴いたことがない人は、こんな曲があるんだ、って思うんじゃないかな。僕はトムが奏でるギターの奔流に飲み込まれっぱなしだった。
↓↓↓↓こちらは「マーキー・ムーン」のスタジオヴァージョン
僕は、彼らの奏でる音楽がどこから来たものか今ひとつよく分からないでいる。その思いは今も変わらない。例えばビートルズやストーンズは黒人音楽がルーツだね、っていう風に分かるんだけど。ドアーズにしたって最初はブルースから始まったんだと思う。「ジ・エンド」なんていうとんでもないところにもいってはしまったけど基本はブルースだったように思う。それでテレヴィジョンにはそういう〇〇をルーツにしていますっていうのが感じられないのだ。
1977年に突然出てきたロックの変異種、といえばかっこよすぎるだろうか。僕はトムのギターを聴くと、ドアーズの「ハートに火をつけて」のレイ・マンザレクのキーボードプレイを想起しちゃうんだよね。どちらも共通項は「青白さ」だ。
ライヴ盤は今では何枚も発表されている。ライヴ終盤ではディランの「ノッキング・ヘヴンズ・ドア」とストーンズの「サティスファクション」をやっている。特に「サティスファクション」をコンサートの最終曲に持ってくるのは定番だったようだ。ストーンズより青白く同時に熱い「サティスファクション」から聴いてみるのもいいかもしれない。
今日はとにかくひたすらテレヴィジョンを聴きまくっていた。こんなに一点集中して一つのグループを聴いたのは久しぶりだ。だからトムのソロの方にはちょっとまだいけない。今晩ゆっくり聴くことになると思う。
さて、そろそろ記事をアップしてご飯を作るかな。なんたって長い1週間だったもんね。特に今日はグダグダな授業が多かった。しかしそんな時もあるさ。今日明日明後日と充電して、また来週も頑張るのだ。