hanami1294のブログ

現在休職中の小学校教員のつぶやきです(只今復職中)。

マーキー・ムーン=ギザギザ

僕はバカな男である。いつもその作品の良さにその時気づかない。←前にも書いた

あるいは勘が鈍い。どのアルバムを買えばいいか順番を間違えることが多々ある(この前のUB40はたまたま成功したが)。←前にも書いた

 

テレビジョンは、公式には2枚だけアルバムを出している。そして僕は初めてのテレビジョンを買うのにセカンドアルバムを選んだ(選んでしまった)。呪われているとしか思えない。あの時ファーストの「マーキー・ムーン」を買っていたら僕は楽器屋さんに行ってギターを注文していたかもしれない。その時は知らなかったけれど、フェンダーのジャズ・マスターを。

 

例によって数年後「マーキー・ムーン」をバンドリーダーから借りた。聴いた瞬間心を鷲掴みにされた。「これだよ。俺の聴きたかったのは」という思いで一杯になった。まず、声、そしてギター、曲にやられた。声は遠藤ミチロウ曰く「鶏が首を絞められたときに出すような声」。リチャード・ヘルジョニー・サンダース系の声だ。僕は3曲目の「フリクション」に惚れこんでしまった。「フリクション=摩擦」という曲はその名の通り、ギザギザしていた。後に日本のミュージシャンがこの曲名をバンド名に使ったのもよく分かる。ここでのギターは、引き攣ったような音、とでも言えばいいのかな、ロック的カタルシスが感じられるような音ではなかった。音に文学性が感じられた、とでもいえばいいのか。そうだなぁ、文系の若者は夢中になっていただろうなっていうギターだった。

 

かわいそうなセカンドアルバムも悪い出来ではないよ。でもその音にギザギザは感じられなかった。だから「テレビジョン=ギザギザ」ではなくて「マーキー・ムーン=ギザギザ」なのだ。ファーストアルバムの奇跡なのだ。その後、トム・ヴァ―レインはバンドを解散させ、ソロアルバムを発表した(その中の1曲はデビッド・ボウイにカバーされてもいる)。ソロアルバムを2枚発表してから、トムはかなり長い間アルバムを出さなかった。代わりにテレビジョンを再結成させてアルバムを1枚発表したな、確か。調べたら1992年だった。例のセカンドアルバムから14年経ってからだ。今ではまぁこんなもんか、と思うけれど、当時は「えっ!?」と思った人は多いはずだ。

 

トム・ヴァ―レイン。残念ながらその時のテレビジョンのアルバムは買わなかった。そしてまた長い時が過ぎた。何となく心の中に小骨が刺さっている感じだったがそのままにしておいた。

 

そうしたらパティ・スミスの記事にも書いたが、パティのライブDVDにトムがいるではないか!しかもベースを持っているぞ。ギターも弾いている。座ってだけど。

 

よかった。ほんとによかったよ。僕はどこかでトムが野垂れ死んではいないかひそかに心配していたのだ。小骨というのはそういうことだったんだ。

 

サポートメンバーもいいが、そろそろ自分の作品も出してね。まあ、生きててくれればそれでいいんだけど。

 

大名曲「マーキームーン」には触れられなかったな。

 

 

 

と、この記事を書きながら1992年発表のテレビジョンのサードアルバムを聴いていたのだが、これが結構いい。テレビジョンのテイスト(声、ギターの響き)を残しつつ、でも何だか静謐さを感じさせるサウンド。僕はドゥルッティ・コラムを思い出してしまった。しかし文学性は感じられない。悪く言うとテレビジョンのパーツを使ってアルバムを作ってみましたって感じである。でも「心地いい」テレビジョンって言ってもなぁ…。この再結成時のライブも出ているではないか。また忙しくなるな。

 

もう少し調べてみたら、トムは、ソロ(1979)になってからコンスタントにアルバムを発表していた(6作)。2006年には16年振りの7作目のアルバムを発表している。