奥さん、ここだけの話ですけどね。実はカートリッジを変えたんですよ。カートリッジっていうのは、レコード針がついているあの部分のことですよ。今日はこれについて聞いてくれませんかねぇ。
カートリッジを変えると音質が変わるっていうのは知ってたんですけどね、まあレコードプレーヤーも変えたばっかりだし、まだまだ先のことだなって思っていたんですよ。それがこんなことになるなんてねぇ。人間の心なんて弱いものですねぇ。
ふざけて誤魔化すのもこれくらいにして早速新しいカートリッジの紹介をしていこう。
ディスクユニオンとオルトフォンのコラボでカートリッジが発売されていることは知っていた。興味をそそられたが、まあ今のカートリッジに文句はないから別に慌てなくてもいいやと思っていた。
そしたら上野のロックバー「20世紀ロック」の店主ダイラさんがYouTubeでこの製品のことを取り上げていた。「これはなかなか、いやかなりいいよ」とのことだった。この一言で僕の心はグラグラ揺れた。なんせ音にうるさいダイラさんが言ってるのだから間違いないはずだ。
というわけで購入に踏み切ったわけだ。セッティングをするときは緊張した。こんなことやったのって初めてだよな。まずトーンアームを水平にして・・・と説明書を見ながら何とかカートリッジの付け替えは終わった。さあ、聴くぞ。
聴いてまずぶったまげたのは、音量の大きさだ。音圧って言うの?とにかく今までのボリュームで聴くとうるさい。僕は結構ボリュームを上げて聴いていて、それを真空管アンプのパワーのなさのせいにしていたのだが、どうやらそうではないっぽい。
次に、音の明瞭さが今までと段違いだということだ。こんな音は今まで聴いたことがないっていうくらいシャープな音だ。こりゃあ、今まで聴き慣れていたレコードを聴き直さなきゃって思って、デヴィッド・ボウイの「ジギー・スターダスト」を聴いてみた。
1曲目のイントロ(バスドラから入る)の途中で鳴り始めるギターの音に再びびっくり仰天だった。カートリッジでこんなにも違うんだ。2曲目は、パーカッションの音が限りなく心地よい。
結局最後まで聴いてしまった。次はルー・リードの「トランスフォーマー」でいってみっか。
これも1曲目冒頭のギターから「!!!」ってなった。切れ味が鋭すぎる。1曲目はそこまで好きじゃなかったけれどこのギターならもうフェヴァリットナンバー決定である。
前のカートリッジは大らかでまろやかな音だとしたら、今のはギリギリまでシャープだ。メインの楽器の音は最後の響きまでキッチリ鳴らしている。そして脇役の楽器たちの音も忘れずに拾っている。キンキンギラギラになる直前まで鋭い。こうなりゃクイーンの「オペラ座の夜」だ。
という風に新しいレコードを聴くことに加え、今まで聴き慣れてきたレコードを聴き直す作業が加わった。時間がいくらあっても足りない。
しかし人間とは恐ろしいもので(前にも書いたが)この音にすぐに慣れるという事態になっている。でも楽しい。この環境が今まで聴いた中で一番いい音であるから当然っちゃあ当然か。
これで、僕の「オーディオ自分なりにハイエンド化計画」も終わった。うん。そう信じたいものだ。これで終わりですよね?JUNさん。
それでは。