A面が完璧すぎるレコード3選

世の中にはA面が素晴らしすぎて、「B面は聴かなくていいや」と思ってしまうレコードが確かに存在する。と言ってもまだこの時点で3枚しか思い浮かんでないんだけどね。書いているうちに思い出すかもしれないので早速いってみよう。

 

まずは何と言ってもレッド・ツェッペリンの「Ⅳ」(1971)がぶっちぎりで1位だ。だって「ブラック・ドッグ」「ロックン・ロール」「限りなき戦い」「天国への階段」だよ。これでB面が素晴らしかったら大変なことになる。よってこのアルバムのA面だけを愛する人は世界中にいるはずだ。

 

ところで「ブラック・ドッグ」を聴いて、「ジミー・ペイジはリズム感が悪いね。ギターずれてるじゃん」と宣った人がいるらしい(笑い話或いは都市伝説なのかな?)。僕はこの曲を初めて聴いた瞬間「何てことしてるんだ」と思った。調べてみると、これはジョン・ポール・ジョーンズの発案らしい。ライヴでは(「アウト・オン・ザ・タイルズ」の)イントロを合体させて演奏されることが多かった。こちらもかっこいいが、スタジオ盤はこれが正解だと僕は思う。

 

「ロックン・ロール」はジョン・ボーナムがたまたまリトル・リチャードの曲のイントロを叩いていたら、ジミー・ペイジが即興のリフで応じ、そのまま15分でほぼ完成させたという。前に「最強の1,2曲目」という記事でこの2曲を書いたが、何回も聴いてもこの意見は変わらない。最強の1,2曲である。

 

最強の後に何を持ってくるのか。彼らも考えたに違いない。その結果「限りない戦い」を持ってきた。大正解である。3曲目もおんなじ勢いで来られちゃさすがにしんどいものね。簡単に言っちゃうとアコースティックな曲なんだけど、しみじみといい曲である。これも「ロックン・ロール」同様降ってわいたように作られたらしい。ある夜にジミー・ペイジジョン・ポール・ジョーンズマンドリンを手にしてリフを弾き始めた。それに合わせてロバート・プラントが歌い、この曲ができた。何だか出来過ぎた話だが、そういう風に言われている。ゲストに迎えられたサンディ・デニーのヴォーカルも素晴らしい。

 

そして4曲目は「天国への階段」だ。これは調べたらいくらでも逸話がありそうだ。世界遺産に指定されてもおかしくはない、ロック・ミュージックが到達した至高の名曲である。聴きどころは満載だが、やはりここは最後の下りの歌詞を紹介したい。

 

♪彼女は示したい すべてが黄金に変わる様を

♪そこでじっと耳をすませば ついに思い出されるあの調べ

♪すべてが一つに 一つがすべてになるとき

♪一つの岩になり 転がりはしない      

               (すみません、どっかから引用させてもらいました)

 

僕はロバートが「if you listen very hard」と歌うところが堪らなく好きだ。「じっと耳をすませば」どころではない迫力と決意を感じる。

 

こんな調子で書いたらキリがなくなりそうだ。もう少しツェッペリンのことを書くと「Ⅳ」のB面もいいんだよ、勿論。いいんだよ、で済まされないくらいなんだけど、A面を聴くと満足しちゃうんだよね。だから必然的にB面を聴く回数が減る。そんなアルバムでもある。

 

 

 

次にいってみようか。テレヴィジョンの「マーキー・ムーン」(1977)である。このバンドやリーダーのトム・ヴァ―レインのことは何度か記事にしているが、バンドの出自とかはそんなに書いてなかったかな。あ、その前に曲紹介だ。

 

A面は「See no evil」「Venus」「Friction」「Marquee moon」の4曲である。

 

テレヴィジョンは、1973年にニューヨークにて結成されたアメリカ合衆国パンク・ロック/ニュー・ウェイヴバンド。1970年代のニューヨーク・パンクムーブメントにおいて活躍。トム・ヴァ―レインの文学的な歌詞や、緊張感のある演奏が高い評価を受けた」(ウィキ)

 

この度レコードを購入し、改めて「マーキー・ムーン」を聴くとトムが縦横無尽にギターを弾いていることがよく分かった。僕は今までそこまでトムのギターに注目してなかったこと(どちらかと言えば彼のヴォーカルやメロディに注目していた)に気づかされた。

 

トムのギターってあんまりロックンロールロックンロールしてないっていうか、このギターはどこから来たのだろう、と思ってしまうフレーズがいっぱいある。もちろんストーンズの「サティスファクション」をカヴァーしているし、1曲目「See no evil」のギターソロはロックンロールマナーにも則って演奏されているように思う。しかし、何だかズレて聴こえるんだよね。ロックっぽくないというか。そこが僕がテレヴィジョンに感じるロックっぽさなんだけどね(ややこしい)。

 

デビューアルバムなので、1曲目はちょっと威勢がいい曲を選んだようだ。しかし2曲目は落ち着いた曲になる。ここがツェッペリンとは違う。そして3曲目4曲目に畳みかける戦法に出た。3曲目「Friction」は僕の大のお気に入りである。イントロのヘヴィさは、今までありそうで聴いたことがなかったスリリングなものだ。ギターソロも引き攣れた感じがとても気に入っている。サビは結構ポップかな。

 

4曲目はツェッペリン同様の配置で、誰もが認める名曲「マーキー・ムーン」を置いた。こちらも調べたらいろいろ分かるかもしれない。深夜にこれを聴くと沁みるよ。

 

 

 

最後はヴァン・モリソンの「ムーンダンス」だ。これは、恥ずかしながら今年になって初めてその音楽の素晴らしさに気づいた作品である。

 

1曲目から紹介すると、「ストーンド・ミー」「ムーンダンス」「クレイジー・ラヴ」「キャラヴァン」「イントゥ・ザ・ミスティック」である。

 

北アイルランド出身のシンガーソングライター、ヴァン・モリソンがこのアルバムを発表したのが1970年。ソロ名義では3作目になる。初のセルフ・プロデュース作品で、バック・バンドの人選もモリソン主導で行われた。本人曰く「ホーン2人とリズム・セクション。それが私の一番好きなバンド形式なんだよ」。(ウィキより)

 

確かにヴァン・モリソンの音楽に、ホーンセクションは不可欠だと思う。それにしても、このアルバムの素晴らしさに気づくのが我ながら遅い(「ムーンダンス」の凄さは一聴して分かった)。1曲目からヴァンのヴォーカルは突き抜けている。3曲目の「クレイジー・ラヴ」では一転して囁くように優しく歌う。そして「キャラヴァン」である。ザ・バンドの「ラストワルツ」でもこの曲を歌っているがその迫力たるや凄まじかった。スタジオ盤はそれよりもおとなしく聴こえるが、それでもこの曲の良さが伝わるいいテイクだ。「ソウルフル」と言う言葉が相応しい。

 

とにかく2,3,4曲目の爆殺力は凄い。このA面は先程のツェッペリンテレヴィジョンとは趣が違うかな。5曲目、つまりA面最後の曲は落ち着いて締める。このA面もロック世界遺産認定だ。

 

 

 

この3枚のアルバムのA面を聴きながら記事を書いていたらお腹いっぱいになっちゃったよ。でもまだ他にもあるはずだ。

 

逆にB面1曲目からラストまで素晴らしい出来のアルバムもひょっとしたらあるかもしれない。でもどうかなあ。そういうのはきっとA面からイケイケだと思うな。ビートルズは「ア・ハード・デイズ・ナイト」以降はほとんどそうだもんな。ストーンズの名盤と言われているのもそうかもしれない。

 

 

昨日家に帰ってからも痛かった右肩はもう痛くない。よかったよかった。