平沢進が使う変な楽器 その1

平沢進について書くのはいつ以来のことだろう。「インタラクティブ・ライブ」についてと「実は肉体派(身体性を重視している)」だということについて書いたと記憶している。その時に触れることのなかったのは、彼の使う変な楽器についてである。

 

なぜか?あまりにも文章力のない僕としては、その変さを伝えるのはちょっと無理だな、と判断してしまったからだ(じゃあみんなやっているように写真を入れろよ、という話になるのだが・・・)。今日はそれにチャレンジしてみようと思う。

 

まず楽器ならギターなり、MIDIキーボードなりがあるだろうと言われそうだ。確かにそれも使っている。MIDIキーボードの前にパソコンを広げ歌う姿が平沢の基本形である。ここだけはずっと変わらない。

 

ギターは、スタンドに固定してキーボードの横に置いておいて(ちょうどそのまま弾けるような高さに調整してある)、ギターソロのパートにくると、おもむろにギターのある方へ行ってソロを弾き、また所定の位置へ戻る、なんてことをやっている。

 

勿論ストラップをつけて普通にギターを弾けるようにも置いてあって、激しいギターソロの場合にはそれを用いて客席に近づき床や自分の体にギターを叩きつけながら弾く場面もある(デストロイギターと呼ばれている)。コンサートでとても盛り上がるお約束の場面だ。それだけ動く平沢はとても珍しいのだ。

 

それでは他に何を使っている(いた)のかと言われると、「チューブラHz(ヘルツ)」「Miburi」「グラヴィトン」「レーザーハープ」「テスラコイル」である。どうですか?どんな楽器か想像つきますか。これについて書こうというのが今回のチャレンジである。

 

まずは「チューブラHz(ヘルツ)」。1990年代よく使われていたと思われます。最近は使用していません。名前の由来はきっとマイク・オールドフィールドの「チューブラー・ベルズ」である。まず、シンセを立てます(弾く方を上にして)。その手前にパイプオルガンのように鉄パイプを立て、鉄パイプを手前に倒すことでシンセの鍵盤が押され、音が出るというシンプルな仕組み(多分)の楽器です。「ロタティオン」で使われていたような記憶がある。ごめんね。こんなこと言われても分かんないね。確認はレッツ・ユーチューブ、でよろしく。

 

次は「Miburi」。「Miburi」は、「身振り」のことであろう。まずウエアを身に着けます。僕が観たDVDではグレーのウエアでちょっとダサかった。ウエアにはセンサーが付いていて体を動かすことでメロディが奏でられます。手には音階を制御するグリップを持っています。その動きがある種独特のダンスの様に見えて笑えるくらいかっこいい。「かっこいいほど笑える」という僕の持論を具現化している楽器?です。これは「LIVE SOLAR RAY」のDVDで観ることができます。しかしこれも現在は使われていない。

 

この2つの楽器を見るだけでも、平沢進の肉体性(じっと演奏している印象が強いテクノなのに体を大きく動かしてパフォーマンスすることでライブでの身体性を獲得する)がうかがえるのではないでしょうか?いやあ、遂に平沢の変な楽器に手をつけてしまった。少しでもその変さが伝わればいいが。次も頑張ろう。