hanami1294のブログ

現在休職中の小学校教員のつぶやきです(只今復職中)。

友部正人に睨まれた

友部正人は特別な声を持っている。いろいろなアーティスト達をシャッフルして聴いていた時に友部正人の歌が流れると手が止まる。もしくは手が動く。何か書かねばという思いにとらわれて。

 

そんな友部正人のことを知ったのは「休みの日」(2001)というアルバムからだ。知り合いに誘われて友部正人の参加するコンサートに行った僕は彼の声に心臓を鷲掴みにされた。その場で「休みの日」を買った僕は、毎日聴いてその声にうっとりしていた。ニューヨークにも住んでいる彼は、そこで起きたこと、感じたことを歌っていた。

 

後に自分が駅前で路上ライブをやることになった時、彼の曲を3曲歌っていた。そのうちの2曲がこのアルバムに収録されている「地下鉄の音楽」と「言葉の森」だ(もう1曲は「6月の雨の夜、チルチルミチルは」)。彼の歌詞は、ほんとに独特でユニークなんだけれども、この2曲はすっと僕の心の中に刺さり、歌いたいな、と思わせる曲だった。

 

そういえば今思い出したが、僕がライブをするごとにふらふらと来るお兄ちゃんがいて、吉井和哉の「スティル・アライブ」と友部正人の「6月の雨の夜、チルチルミチルは」をリクエストしてくれていた。しかも、「もう1回」と何度も言うものだから、一晩に何回この2曲を歌ったことか。

 

その友部正人のライブを観に行った時、リハで「地下鉄の音楽」をやっているのを聴き、鳥肌が立ったのをよく覚えている。ライブでは知人と一番前の席に座り聴いていたが、途中で何を思ったのか僕はステージの上に灰皿を置いてしまった。それを見て友部はギロッと僕を睨み、おもむろに「煙草、止めているんですけどね」と言った。それであわてて灰皿を戻したことがあったっけ。でもライブ後にCDを買った時にはそんな無礼なことをした僕にもにこやかに対応してくれた。

 

前に、自分の声には「歌う動機がないことを思い知った」と書いたことがあったけれど、そう思うようになったのは、友部正人がきっかけだ。彼の声には「歌いたいことを自分自身の声で歌う」という強い意志が込められている。僕は路上ライブで何回歌っても自分の思い描くようには歌えていない自分にがっかりしていた。

 

もう10年近く新しい音源を聴いていないが、今もアルバムを制作し、ライブを続けている。再び僕にも友部正人ブームがやってくるはずだ。

 

あ、それとライブで彼は、足をそろえて背筋を真っ直ぐにしてギターを持って歌うんだけど、その姿がかっこよかったな。