昨夜、チャボの無観客生配信ライヴ「今はもう秋」を見た。場所は南青山のMANDALA。告知には150分演奏する予定だと書いてあった。150分って2時間半だよな。昔彼のライヴを見た時もそれくらいやってたけど、72歳になってもやるのか。そう思いながらパソコンを繋いだのが18時55分のことだ。
SEが流れている。ぼうっと聴きながらウイスキーを飲んでいたが、段々その曲達に惹かれていった(1曲が短かった)。僕は「これはチャボがコロナ禍で作っていた音源に違いない」と勝手に思っていたがそうではなかった。ライヴでのMCで言っていたが、昔々「LAIN」という映画のサントラを作った、その中の曲だと言っていた。「これは欲しいな」と思い、ライヴの途中だというのに検索したらバカ高い値段で売られていてがっかりしたよ。
そんなこんなで「いい曲だな」と思っているうちに画面が変わった。チャボ登場だ。19時10頃である。しかしチャボが登場しても拍手がないってどういうわけなんだ?ああ、これが生配信か、と思う僕であった。
1曲目から何となくポエトリーリーディング風である。そして長い。10分以上はあったな。しかし言葉はスコンスコンと僕の心に届く。素晴らしい破壊力だ。2曲目は「GOOD DAY」。曲の終盤でギターのマイクのトラブル発生。しかしそのままやりきり、バシッとポーズを決める。勿論拍手はない。さりげなくMCをしてその場を繋ぐチャボは慣れたものだ。どうも本ライヴのテーマは「秋」のようである。
3曲目は「サイクリング」。歌詞がいい。「軽やかに滑るよ/そよ風に乗ってサイクリング/気の持ちよう次第さ/一日の天気も変わる」「君の昨日の胸の痛み/誰が知るすべもないけど/君の昨日の身体の痛み/誰が変われるすべもないけど」「みなぎる日差しの中/青空のずっと向こう/遥かなる山の呼び声が僕達を誘い招く/さあ行こう/サイクリング」。古びない言葉ってあるんだなあ。確か1999年発表の「My R&R」からの歌である。
今回この「My R&R」から4曲演奏された。だったら「ガルシアの風」も聴きたかったぜ、チャボ。
次は「キヨシローと共作してたんだけどさー。未完に終わっちゃってたのを完成させました」「本邦初公開です」と言って「作りかけの歌」という曲を演奏した。ああ、そうだ。今回はキーボードのたつのすけとのデュオだというのを書き忘れていた。ここまでしみじみ路線でなかなかいい。この曲が終わると天井を指さし「キヨシロー、聴いたか?完成させたぞ」と言うチャボの心の中にはまだ、勿論忌野清志郎がいることを感じた。
しかし聴いたことのない曲をガンガンやる。僕は最新アルバムからの曲を早くやってほしいなあと思いながらずっと見ていた(結局1曲もやらなかった)。MCでチャボが「こういう形(無観客配信ライヴ)では100回ほどやっていますけど・・・」と言った時にはちょっと驚いたな。あのチャボが?と一瞬思ったが、もしかしたらこの環境は彼が一番やりやすい環境かもしれないな、と思い直した。
ライヴは21時頃いったん終わる。「あとでおまけやるよー」と言ってステージを去るチャボ。10分くらい経って戻ってきた。そこから2曲やり、ライヴは終了した。ほんとに150分やったよ。
多分テーマが「秋」だったこともあるのだろう、チャボは終始エレアコを使っていた。エレキは1回も持たなかったのが残念だった。でも、そうだなあ。お腹はいっぱいになって満足したよ。満足はしたけれど、思わずアマゾンで検索して7年前にアルバムを発表した時のDVDを注文してしまったよ。
夏はほとんど音楽に食指が伸びなかった僕だが、最近はあがた森魚、トッド・ラングレンときてチャボである。これは季節がそうさせるのか、僕の体調がそうさせるのか今イチ判然としないが、音楽はやっぱり聴くと幸せになるな。
ところで今回のライヴを見ながら何となくこうも思った。もしも清志郎やミチロウが「無観客配信ライヴ」というおもちゃを手に入れたら、一体どんなことをしていただろうと。ミチロウは多分地方のライヴハウスまで出向いて無観客配信ライヴをやると思うな。そしてライヴハウスと利益を折半するのだ。2日に1回は生配信をやってたりして。そうなると見る方も大変である。ミチロウの生配信ライヴ、見たかったな。
あと、無観客配信ライヴっていうのは昔のラジオみたいなものだと思った。チャボがDJとゲストの2役をやっている感じって言えばいいのかな。うん。だから肩ひじ張らずにウイスキーを飲んだり煙草を吸ったり、寝そべったりとこちらは自由に楽しむことができた。とかそんなこんなを考えた夜だった。
というわけで今朝ユーチューブ番組をザッピングしていたら、とんでもなくかっちょいいベースラインが飛び込んできた。なんだ?と思いよく見ると麗蘭だった。この曲は知っているはずなのに、今頃僕の心に届いたのだ。このベースは早川岳晴だよね?「サイクリング」の歌詞といい、心に届くまでがとんでもなく遅い僕である。
「Lain」のサントラから「Lain’ theme」。かっこよくない?昨日一番の収穫かもしれない。
ベースは感じた?