個性個性って言わない方がいいんじゃないかな(by今敏)

個性を尊重するとか個性を伸ばすとかもっと個性を出してって言い方ってすごくしますよね。それで、こういう言葉を繰り返し聞かせ続けられるとですよ、個性って何か内蔵されてる、自分に埋蔵されているようなものとして思ってしまうじゃないですか。

 

個性を表現するってことは、表現すべき個性がある、みたいな感じがしてしまいますよね。だからその一時期流行った自分探しにしても本当の自分っていう物語にしてもそうなんだけど、自分の中を覗けば、表現されることを待っている何かがあるっていうようなイメージになってしまっているんですよね。

 

でも個性っていうのは実を言えば表現する仕方にあると思うんですよ。外に出すことによって初めて確認されるものだと思うんですよね。だから目の前にあることをまずきちんと初めてみようと、それはもしかしたら人から与えられた勉強かもしれないし、仕事かもしれないし、あるいはたまたまきっかけがあって始めた何でもいいと思うんですよ。それを何か一生懸命自分だったらこう関わるんだよっていう関わり方をすれば開けることってたくさんあると思うんですよね。

 

要するに「動く」ことですよね。「動く」ことによって初めて何かが見えてくるし、あのーなんて言うんでしょうかね・・・ゴールなんて設定できないんだ、ゴールを設定する考え方ばかりなのは危ないんじゃないかと。ゴールっていうのは進む中で常に設定されていくもので、何か固まった地点ではないと思うんですよね。そういう風に毎日を目の前にあることに一生懸命関わるやり方をしていけば、決して悪いところには辿り着かないような気がするんですよ。

 

だからどっちがより得かっていうよりも選んだ方が正しかったものにしていけば、おのずとその~・・・だって正しい選択だけをしているように見えてその時に辿り着いた場所がゴールであるっていうことでいいと思うんですよね。

 

何かまず「ゴールを見つけなきゃ」とかね、そういう発想を少し控えると見えてくるものも多いんじゃないかなと思いますね。

 

以上が「創作活動で大切にしていることは?」という問いに対する今敏の返答である。2005年NHKの「トップランナー」に出演した時の発言だ。

 

今敏は、日本のアニメーション監督である。1963年生まれで2010年46歳の若さで逝去した。劇場アニメは、「PERFECT BLUE」(1997)、「千年女優」(2001)、「東京ゴッドファーザーズ」(2003)、「パプリカ」(2006)の4作品で、テレビアニメとしては「妄想代理人」(2004)などが制作されている。

 

僕は、平沢進を通じて今監督作品を知った。特に「パプリカ」を観た衝撃は今でも忘れられない。というかあの作品を思い出すと今でも狐につままれた気持ちになる。よく分からないが何か凄いものを見せられているような気分になったものだ。今監督も平沢進のファンだったらしい。数々の作品で平沢は音楽を担当する。

 

 

トップランナー」出演時、彼は41歳だったはずだ。その時こんな発言をしていたんだ。よほどの人じゃないとこんなこと言えないよな。