400 授業Ⅰ-④

他の子がうんうんと頷いたので、私は、
「今、タケルさんは何て言ったの?」
と聞いた。
「俺から言うね、と言いました。」
ハジメが言う。
「そうだね。先生が何も言わなくてもタケルさんは自分から言ったんだ。これがさっき言った自己決定だ。ハジメさんもそう。自己決定して言ったんだ。こうやって自分を鍛えていくんだよ。タケルさん、よかったぞ。お待たせ。どうぞ。」
タケルは、
「1つ目の図だと先生が喋ってばかりで何かつまらない感じがするけど、2つ目の図はみんなで意見を言い合っていて楽しそうだからです。」
続けてスズカが、
「タケルさんと似ていて、2つ目の図はみんなで話し合って問題を解決しているんだと思います。そっちの方が勉強になると思ったからです。」
そしてハジメが、
「先生の話を聞くだけじゃあ勉強にならないと思うから2つ目の図にしました。」
と発言した。
「なるほどなぁ。みんなの話、とても分かりやすかったぞ。」


「ひとつ聞くよ。タケルさんとスズカさんの発言の中に同じ言葉がありました。聞き取れたましたか。」
みんなうーんと首をひねっていたので、
「もう1回言ってごらん。」
と言って、タケルとスズカにもう一度言わせたら、ハジメがあっ、と声を出した。
「おっ、ハジメさんが気づいたみたいだぞ。」
他の子は、やっぱり分からないという顔をしていたので、私は
「こういう時は、『もう1回言って下さい。』って言えばいいんだよ。」
と言った後、
「じゃあ助け船を出すね。その言葉を通り過ぎたら、ストップをかけるね。タケルさんから言ってみて。」

と言った。そしてタケルが、
「~みんなが言い合って、」
と言った瞬間にストップをかけた。すると、マナがあっ、と声を出した。気づいたようだ
ここはマナに頑張ってもらおう。指名した。
「『言い合って』と『話し合って』の『合って』だと思います。」
するとみんな、あーんと言って納得した。


「そうだね。『合って』という言葉を二人とも使っていたね。先生はこの『合う』という言葉を先生は大切にしています。だって『合う』がないと、2つ目の図にならないでしょ。」
さっきと同じように、「合う」と黒板に書いた。
「授業で使う『合う』って、『言い合う』『話し合う』の他にどんな言葉がありますか。」
「質問し合う」「聞き合う」「確かめ合う」などの言葉が出てきた。さあ、そろそろレンの出番かな。


「レンさんは、どう?決まった?」
と言うとレンは、意を決したように、
「私は、1つ目も2つ目も大切だと思います。」
と発言した。他の子は、ハッとした顔をしてレンの方を向いた。
「だって、1つ目の時みたいに、先生の話を聞かなきゃいけない事もあると思うからです。」
聞いている他の子達は「ほう~」「なるほど」などとつぶやいている。
「でも2つ目みたいにみんなで解決しなきゃいけない時もあると思う。だからどっちも大事だと思います。」
今度は、他の子達はレンに拍手を送った。
「何?その拍手は。言葉にしてみて。」
「私は、2つ目だけを目指したいな、って思っていたけど、確かに先生の話を聞かないとどうしていいのか分からない時もあるから、レンさんの意見に賛成です。」
とスズカが答えた。
「なるほど。それでは、1つ目も大事、2つ目も大事、でいいんだね?こんな風に友達の考えを聞いてなるほどって思うことはとても大事なことなんだよ。そういうのを『自分の考えが豊かになる。』と言います。じゃあもう少し授業のことを考えてみるぞ。」