hanami1294のブログ

現在休職中の小学校教員のつぶやきです(只今復職中)。

400-授業Ⅰ-②

私の手の中にソフトバレーボールが現れた。


私は、
「はいっ」
と言っていきなりスズカにボールを投げた。スズカは、びっくりした様子だったが、上手くボールを取ることができた。
「はいっ」
と私はスズカの方に手を出してボールを返して、というポーズをとった。続けてハジメ、レン、シンヤ、タケル、マナの順に同じ事をした。
「みんな上手だったね。スズカさん、いきなりボールを投げられてびっくりしたでしょ。反射神経いいね。」
「シンヤさんは先生が高く投げすぎたのを上手くキャッチしてくれたね。ありがとう。」
と言うと、タケルが、
「先生、先生が僕に投げたボールは低すぎたよ。」
と言ったので、
「そうだったな。あれも上手く取ってくれたよな。ありがとう。」
とタケルに言った。
よし、いい感じだぞ。


「みんなと一緒にしたのは、この図です。」
私は、先生と子ども一人一人が線でつながれた図を黒板に掲示した。みんなでそのことを確かめ合ってから、黙って次の図を見せた。
今度は、子ども達同士が線でつながっているものだ。しばらく間をおいて、
「じゃあこれは?できる?」
と聞くと、みんな口々に出来るとか出来そうと答えたので、
「じゃあ、やってごらん。最初は先生からだよ。」


スズカがパッと手を出した。続けてタケルも。私はあえて、シンヤにボールを投げた。自信がなさそうだったが、この距離なら取れると思ったからだ。問題はシンヤが誰に投げるかを自分で決められるか、だ。そう思ってシンヤに投げた。シンヤは取ることができたが、案の定誰に投げればいいのか困っている。すると、ハジメが、「誰でもいいんだよ。」
と言った。スズカとタケルは予想通り、自分にボールをくれと言っている。シンヤは、タケルにボールを投げた。タケルはスズカに投げる。スズカは、
「誰かいない?」
と聞いた。誰も反応しないので、
ハジメ!」
と言って、ハジメにボールを投げた。ハジメは戸惑いながらもボールを受け取った。残るは、マナとレンだ。マナとレン、そして周りのみんなはどうするだろうか。すると、ハジメが、
「頑張れ!マナ、レン!」
と言った。しかし2人は手を出さない。これを乗り越えられないと授業は出来ないと思っている私は、じっと6人を見守った。
レンが手を出した。ハジメがすかさずレンにボールを投げる。レンがキャッチすると、
「ナイスキャッチ、レン。」
とみんなが言った。レンがマナの方を見ると、マナが手を出した。まぁ、この状況じゃあ仕方ないか。
「ナイスキャッチ、マナ。」
みんなが言った。みんな心が少しほぐれたようだ。
「忘れてる人がいるぞ。」
と私は言って、先生のところにも線が引いてあるところを示した。
「マナ、先生に投げろ!」
みんなが口々に言うと、マナはニコッと笑って、私にボールを投げた。