hanami1294のブログ

現在休職中の小学校教員のつぶやきです(只今復職中)。

400-授業Ⅰ-③

子ども同士でやり取りすることを何回か繰り返してから私は、
「2つ目の図でボール投げをした時にシンヤさんが困っていたら、ハジメさんが『誰でもいいんだよ』って言ってたの、素晴らしかったなぁ。マナさんとレンさんにも声をかけていたね。」
「スズカさんとタケルさんは、最初から手を出していたね。積極的だったよ。」
「みんなが、『ナイスキャッチ!』って言っていたのも素敵だったな。」
「シンヤさんやレンさんやマナさんは、自分で勇気を出してボールを取ったり投げたりすることができたね。これを難しい言葉で言うと『自己決定』と言います。つまり自分で考え行動に移す、ということです。」
「先生は、みんなに自己決定できる人になって欲しいと思いながらいつも授業をしています。」
私は、黒板に「自己決定」と書いた。
「今やったことは、授業の形でもあるんだ。ボールを投げることが、言葉になるってわけだ。先生が話したり、みんなが発言したりっていう風にね。」


「ところで先生は1つ目の図の時からすごいなって思っていたんだけど、みんなボールを下から投げていたね。あの投げ方だと相手の友だちが取りやすいね。素晴らしいな。あの投げ方は言葉にするとどんな言い方になるかな。」
スズカが、
「優しい言い方だと思います。」
「なるほど。タケルさんはどう?」
と聞くとタケルは、
「下から投げるとボールが取りやすいから、言葉にすると分かりやすい言葉だと思います。」
「反対に、上から速いボールを投げたら?」
4人が挙手した。私は挙手していないレンを指名した。
「きつい言葉だと思います。」
「きつい言葉って?例えばどんな言葉なの?ハジメさん。」
「『こんなことも分からないの?』とか『早くしろよ。』とか。」
「そうだな。これからも下からボールを投げる授業にしていこうね。」


そして私は、子ども達の顔を一人一人見ながらゆっくりとこう言った。
「じゃあ、みんなに聞くよ。みんなは、1つ目の図と2つ目の図のどちらの授業を目指したい?もう1回言うよ。君たちは1つ目の図と2つ目の図のどちらの授業を目指したい?しばらく考えてみて。」
顔つきを見ると、すぐに決まった子、うーん、と考えている子がいた。すぐに決まった子はどちらを選んだか予想ができる。おそらく2つ目の図だ。うーん、と考えている子がいることはいい兆候だ。結果が楽しみだ。


「それでは手を挙げてもらいます。」
「1つ目の図がいいという人」
挙手する児童はいなかった。
「2つ目の図がいいと思う人」
5人が挙手した。
タケルが、
「レン、なんで手挙げないの。」
と言った。
うーん、と困った顔をしたレンは、黙っている。
「じゃあ、レンさんにはどっちか決めたら言ってもらおうかな。」
よかった。困っている子がいて。と心の中で思いながら、
「他のみんなは、どうして2回目の図に手を挙げたの。」
と聞くと、3人が手を挙げた。マナとシンヤは手を挙げない。この2人はまだちょっと硬いかな、と思いながら、
「順に続けて言ってみて。」
と言った。あえて指名せずにどうするか様子を見てみた。
するとタケルが、
「俺から言うね。いい?」
と言った。