hanami1294のブログ

現在休職中の小学校教員のつぶやきです(只今復職中)。

400ー授業Ⅱ-④

「最初の問題で、どうすると分かりやすいって言っていたっけ?マナさん。」
と聞くと、マナは固まってしまった。すると、ハジメが、
「マナ、さっき俺が言ったこと言えばいいよ。」
と助け船を出した。その励ましを受けてマナは、
「囲む、だと思います。」
と言った。よし、もう一押しだ。私は、
「『思います』って言ったよね。『絶対』、じゃないのかな。」
マナは、ますます固まる。今度はタケルが、
「マナ、『思います』を使わなきゃいいんだ。」
とアドバイスした。タケルも昨日から随分伸びてきたな。そしてマナは、
「囲む、です。」
と言うことができた。よし、マナ。よく言った。みんなにも確かめた。


「囲むと分かりやすいんだね、絶対に。」
みんな、うん、と力強く頷いた。
「じゃあ、やってごらん。」
みんな黙って式を見ながら、図にいろいろ書き込んでいる。私は、シンヤのところへそっと行き、小さな声で
「自分の書いた式でやってごらん。」
と言った。シンヤは、納得して作業に取り組んだ。シンヤは、彼なりに一生懸命授業に参加している。
もう1枚欲しいという子にもいたので、
「1つだけじゃ物足りない人はどんどん取りに来なさい。」
と指示した。
「そろそろいいかな。1つは解読できたよっていう人。」
と聞くと、全員が挙手した。


「じゃあ最初に話す人だけ先生が決めるね。シンヤさん。どうぞ。」
といい、私は黒板の隅に行った。シンヤは、前に出て、
「ここに4このまとまりがあります。そしてここに3このまとまりがあります。」
と言った。
「シンヤ、3このまとまりをマジックで囲んだらどう?先生いいですか?」
とスズカ。
「勿論。」
と私。シンヤが赤いマジックで囲もうとした時にレンが、
「シンヤ、色を変えたら。」
と言った。シンヤは、納得して黒いマジックで3このまとまりを囲んだ。

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「解決した?シンヤさんはどの式を解決したの?マナさん。」
「4×4+3×3です。」
みんなは頷いた。私は最小限の言葉だけ言うつもりだ。しかし、このままみんな黙っていたので、
「続けて。」
と言った。しばらくみんな黙っていたが私も知らん顔をしていた。さあ、誰が手を挙げるかな、と思っていたらハジメが手を挙げた。しかし私は、マジックで囲もうとして前に出て来たハジメを制し、
ハジメさん、あなたがやろうとしていることを、まず言葉で言ってくれないかな。」
そしてハジメに、こそっと、
「みんなにも考えてもらいたいんだ。」
と言った。ハジメは、「分かった。」という顔をして、言った。


「3このまとまりが8つとあまりが1つあります。」
「ふーん、あまりかぁ。おもしろい囲み方になりそうだぞ。」
と言ったら、「できる、できる」とシンヤ以外挙手したので、
「それじゃあペアになって説明してみて。起立。説明が終わったら座って下さい。」
と指示した。おのおのが図を指し示しながら一生懸命説明している。全員が座ったので、
「じゃあ、ハジメさん、お願い。」
と言ってハジメに囲ませた。

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「どうだった。これで納得したかな。」
と言うと、スズカが、挙手して、
「3は3でも三角みたいな3と横に並んでいる3があります。」
と言った。
「えっ、何だって。」
と聞くと、スズカが、
「先生、レベル2だね。」
と言った。いいぞ、スズカ。エンジンがかかってきたな。さあ、誰に当てようか。ここは、マナかシンヤだな。
「今、当てられたら困る人。」
と尋ねると、手をぴんと伸ばして、マナとシンヤが挙手した。


「はい、じゃあマナさん。」
と言うと、マナは困った顔をした。
「当てられたら困る人って聞いただけだぞ。当てないとは言ってない。頑張れ。」
マナはほんとに困った顔をして、
「三角みたいな3と・・・。」
 と言って、途中で言葉に詰まってしまった。
「途中まで言えたじゃないか、マナさん。それでいいんだよ。大丈夫。あとは友達がつなげてくれるから。」
とマナと他の子ども達を見て言うと、みんなが、
「つなげます。」
と言って挙手した。レンを指名して、スズカが発言した言葉を再現することができた。