hanami1294のブログ

現在休職中の小学校教員のつぶやきです(只今復職中)。

松村雄策の出した結論

僕は記事を書く時にまず、タイトルを決めてから書き始めるのだが、最近これに時間がかかってしょうがない。何を書きたいかは大体決まったが、上手い具合にタイトルが思い浮かばないということが多くなっている。そういう意味で言うと、今日のテーマでもある松村雄策はタイトルを付けるのが抜群に上手い。

 

 

そしてうーん・・・と悩んでつけたのが「松村雄策の出した結論」である。なかなか大仰なタイトルである。一体何を書き始めるのだ、お前は?なんて思われちゃったりして。

 

まず、材料は彼の著作「ウィズ・ザ・ビートルズ」である。今日はこの本のことについて書こうと思っている。実はこの本を読んでなかったんだよね。最近になって気づいたんだよ。

 

 

思えば彼はビートルズに関する記事を山のように書いているが、1冊のまとまった本として、つまりビートルズだけをテーマにして書いた本は「ビートルズは眠らない」だけだったのではないだろうか。「ビートルズは眠らない」は、2003年にロッキング・オン社から出版されている。彼が52歳の時の作品だ。

 

初めて松村が本を刊行したのが1981年、彼が30歳の時だった。今まで書いてきた文章を1冊の本にまとめたものだ。その時の最初の記事はビートルズの解散について書かれたものだった。つまり彼は20代の時からビートルズのことについて書いていた。

 

それから22年後初めてビートルズだけを題材にした「ビートルズは眠らない」が刊行される。松村52歳の時である。

 

そして「ビートルズは眠らない」から9年後、つまり61歳の時に今日の材料である「ウィズ・ザ・ビートルズ」が刊行されている。20代から書いてきたテーマを60過ぎても書き続けてきたということになる。驚嘆すべきことである。しかし意外なことでもあった。

 

 

まるごとビートルズの本がたったの2冊だったのか。

 

 

しかし還暦を過ぎて「ウィズ・ザ・ビートルズ」が刊行されて松村雄策は満足だったに違いない。これ以上何を書けばいいのだ、というくらい魂のこもった文章が綴られている。

 

しかしながら内容はもうみんな知っていることばかりだ。この曲はいついつにリリースされて、何週にわたって1位で居続け、その次のアルバムはいつからいつまでレコーディングされて、その間にどんなコンサートがあったのか。もう僕は過去の彼の文章で読んで知っていた。

 

また、昔はビートルズファンなんかほとんどいなくて、とかビートルズを目の敵にしたヤツは許さんとか、そういう彼の人生とビートルズはどう関わってきたのかも今までの文章で知っている。だから目新しいことはないといってもいいだろう。いつもの松村雄策である。

 

 

本書の「はじめに」で今年(2012年)はビートルズのデビューシングル発売50周年だということ、60周年までは待てないということでビートルズの全オリジナル・アルバムについて記してみようと思ったと書いている。

 

しかしながら穿った見方かもしれないがそのようなこと、つまりビートルズの最初から最後までをアルバムを順に追いながら書くこと、そして自分はどう彼らと関わってきたかを1冊にまとめたかったんだと僕は思っている。還暦過ぎたら誰だって人生の終わり方を考えるものね。松村は還暦前にこれは是非せねばと思い、実際にやり遂げた。

 

だからこの本は発表されたアルバム順にレビューする章、その間に自分にとってのビートルズを書く章という風に構成されている。その最初に松村はビートルズについてこう結論付けている。やっと今日のタイトルの話になった。

 

 

「しばらく前まで、僕はビートルズは音楽の世界遺産だと言っていた。今では、音楽の北極星だと思っている。他の星は動いても、北極星は四百年光年の彼方で光っている。五十光年の彼方から輝いているビートルズがいたから、僕は生きてこられた」

 

 

彼はきっとこの4文が書きたかったのだ。特に「北極星」だということを。彼はついにビートルズを結論づけることができた。またビートルズがいたから生きてこられたと言う。そして71歳まで生きて、多分「ゲット・バック」を観てから亡くなった。

 

 

 

今日松村雄策について書きたくなったのは、もしかしたらパンタのことがあったからかもしれない。パンタは亡くなるギリギリまで(余命宣告をされていたのにも関わらず)歌を作り続けていたと聞く。

 

 

さっき「還暦過ぎたら誰だって人生の終わり方を考えるものね」なんて分かったようなことを書いた僕は今年59歳になる。もしかしたら男性(に限らないか)は還暦前後に死に様というか、生き様というかそういうことについて思いを巡らせるようになる生き物かもしれない。そして何らかの結論を出したくなるものなのかもしれない。「かもしれない」というのはまだ僕はのんびりしているからだろう。

 

 

というわけで僕はまだ「ウィズ・ザ・ビートルズ」を読んでいなかった、つまり松村雄策の全作品を読んでいないということになる。今は「ホワイトアルバム」の章を読んで、この先読み進めようか悩んでいるところだ。