そういえば遠藤ミチロウの歌にこんなタイトルがあったな。
♪壊れていきそうな いやな予感 だってポケットに穴があいたんだ
♪隠していたものが 抜け落ちたんだ きっと誰かに拾われたとしても
♪何だこんなの 気持ちが悪い さっさと何処かに 捨ててしまえと
♪言われそうな いやな予感 だって気まぐれに キミが笑う
♪ふいを突かれて ボクは死ぬ
どうやら、僕は絶不調期にさしかかったようである。とにかく体がだるい。どれだけ寝ても眠たい。授業をしようという気力がない。朝、コーヒーを淹れる気にもならない。文章を書こうという意欲が湧かない。コメントしてくれた人に返信もしていないし、購読しているブログも読んでいない。朝、学校に行ったら「またここで働くのか」という気持ちになってしまう。ないないづくしだ。これは予感どころではないな。ついに僕のポケットに穴があいたのだろうか。
思い当たることはいくつかある。
まず、仕事面からいってみよう。2月の下旬からの授業は(1年間の学習内容をほぼ終えたので)、自主学習やプリント学習がメインとなった。その結果、通常の授業は激減した。当然授業について考える時間が少なくなる。だから仕事に対して頭が働かなくなったということはある。それは3月に入っても続いている。
あと年度末ということもあるが、もう疲れちゃったのだ。この1年はまるで砂漠に水を撒くような授業をしていた。子ども達のせいばかりにするつもりは全然ないが、この1年で変わっていない姿(つまり4月に僕(達)が言っていたことを3学期になっても相変わらず言わざるを得ない状態)を目にして徒労感は募るばかりだった。成長したな、と感じるクラスは6クラス中2クラスだった。2クラスあればいいのかもしれない。
次はプライベート面だな。何故かは分からないが、寝る時間が長くなった。普通なら喜ばしいことなのであるが、精神的に落ちている時に眠いのはよろしくないような気がする。それに家に帰ってもギターの練習はするが、あとはぼぅっとしている時間が長い。そしてあっという間に寝る時刻になる。朝方は2度寝3度寝は当然のことになった。
音楽生活の面でも停滞している。トッド・ラングレンを聴き始めてから、彼のアルバムをいろいろ聴いているが、活動の範囲が広すぎて全貌が見えてこない。別にジャンル分けをしたいわけではないが、僕の脳みその中の音楽倉庫にちゃんと入ってくれないと座りが悪い。こういう感覚って僕だけかな?せっかくトッド・ラングレンを見つけたというのにもったいない話である。
最後は世の中面だ。毎日熱心にチェックしているのはやはりロシアとウクライナの動向だ。実はこのことが一番僕の精神を蝕んでいるように思う。このブログでは政治的なことは書かないでおこうと何となく思っていた。今までに新型コロナウイルスについて2,3回書いたくらいだ。本当は別にそんな縛りなど作らなくていいのに。きっと政治について書くことは僕にとって勇気がいることなんだろう。でもでも、やっぱり今回の戦争のことは気になる。これから世界はとんでもないところに足を踏み入れるかもしれない。しかし・・・。当事者意識が欠けている僕が政治的なことを書いたって意味がないのではないか。そう思うから書かなかったのだろうと思うけれど、今回の戦争はいくら何でもまずくないか?くらいは書いてもいいだろう?
そんな僕なので、今は戦争の行方を注視している日々だ。それが辛い内容なだけに僕の心をへこませているのかもしれない。
話を変えよう。昨夜「エコー・イン・ザ・キャニオン」というドキュメンタリー映画を観た。これは1965年から1967年の「ローレル・キャニオン」(ハリウッドのナイトクラブ街から車で5分のところにある。多くのミュージシャンが住み、カリフォルニア・サウンドを作り上げた伝説の地、だそうだ)の音楽シーンに焦点をあて、当時の住人だった多くのミュージシャン(ジャクソン・ブラウン、トム・ペティ等)とのインタビューやビーチ・ボーイズ、ママス&パパス、ザ・バーズ、バッファロー・スプリングフィールドらの音楽を取り上げ、ローレル・キャニオンの歴史的音楽シーンを描いている。この映画のエグゼクティブプロデューサーはジェイコブ・ディラン。ボブ・ディランの息子だ。
彼がロジャー・マッギン、ミシェル・フィリップス(ママス&パパス)、ブライアン・ウィルソン等々の名だたるミュージシャンにインタビューし、彼らの曲をカヴァーしたコンサートを開いた。ライヴ盤も発表されている。
誰かが「バッファロー・スプリングフィールドの『Expecting to fly』から全てが変わった」と言った。また他の誰かが「ザ・バーズの12弦ギターのリフが生まれた瞬間、ロジャー・マッギンは死んでもよかった。それくらいの発明だった」とまで言う。どうも1960年代とひとくくりにできないようだ。1965~1967年という時期だからこそ生まれた音楽があるらしい。それはビートルズにも影響を与えた。「恋をするなら」を発表することになった時、ジョージはロジャーに断りの手紙を送ったとのことだ。確かに。パクリではないけど、かなり影響を受けたサウンドだもんね。
「エコー・イン・ザ・キャニオン」のライヴ盤を聴きながらこの記事を書いているが、ジェイコブ・ディランの声はなかなかいいぞ。ルックスもいい。アコギの弾き方もかっこいい。何でもっと世に出てこないのだろう。でも60年代サウンドを再現しようという試みには賛成できないな。(←単なる僕の勘)そこがちょっともったいないと思った。
それにしてもこの時期の音楽は僕の中にはないことに改めて気づいた。もしかしたら鉱脈なのかもしれない。