hanami1294のブログ

現在休職中の小学校教員のつぶやきです(只今復職中)。

トッド・ラングレンという大海

いつだったかトッド・ラングレンをさりげなく聴いていると書いたが、あれからずっと聴いている。といってもごくごく限定された範囲ではある。だってアップルミュージックでトッドのディスコグラフィを見ると一体何から聴けばいいんだ?っていくらいとんでもない作品数になっているんだもん。僕が丸ごと聴いたことがあるのは「トッドのモダン・ポップス黄金狂時代」(1982)とユートピアの「ディフェイス・ザ・ミュージック」(1980)ぐらいだ(どちらも大学時代にJUNさんから借りた)。有名どころの「サムシング/エニシング」(1972)や「ミンク・ホロウの世捨て人」(1978)はちょこっと、というくらいだろうか。名曲「アイ・ソウ・ザ・ライト」は聴いている。じゃあ「ハロー・イッツ・ミー」も当然聴いてるよね?と問われれば「うん、まあ・・・」と答えるしかない。

 

一応彼の紹介をしておかねばなるまい。トッド・ラングレン、現在73歳はアメリカ・フィラデルフィア出身のミュージシャンである。ソロ名義の他、ユートピアという名のグループでも多くの作品を発表している。他のミュージシャンのプロデュースでも有名だ。1970年代から自分で全ての楽器を演奏し、ヴォーカルをとる自宅録音を行うなど、マルチプレイヤーとしても知られている。1980年代後半から1990年代初頭にかけては、高野寛レピッシュのプロデュースも手掛けている。現在はハワイ在住、のはず。

 

なにゆえ僕がトッド・ラングレンを聴こうと思ったのかは定かではない。つい最近のことなのにね。覚えてないよ。それで最初に聴いてみたのが「ア・カペラ」(1985)という作品だ。この作品はタイトルにある通り本人の声を多重録音したアカペラ楽曲が収録されている。そういえば、と僕は思い出す。話は横道に逸れるが、ビョークも全編ヴォーカルのアルバムを発表していたよな(2004年の「メダラ」)。この作品は徹頭徹尾ヴォーカルのみで作り上げられたものだった。残念ながら愛聴するには至らなかったが、とても興味深いアルバムだったのは確かだ。トッドのアカペラは全部が全部ヴォーカルというわけではないが、なかなかいい曲が含まれている。当時としてはかなり実験的な作品だったのだろうが、トッド本来のポップさは失われていないから今聴いても色褪せていない。

 

しかし、何となく物足りなさを感じた僕は、昔聴いた「トッドのモダン・ポップス黄金狂時代」を再び聴くことにした。やっぱりいいよなあ、もう1曲目から飛ばしてるよ。そして僕はトッド・ラングレンに実験性は求めていないのだと分かった。となると、やはり「アイ・ソウ・ザ・ライト」とかの名曲も聴きたくなる。ここで努力すれば読者のみなさんにYouTube動画を提供できるのに・・・。まだそこまでいってないのが残念である。

 

一通り「トッドのモダン・ポップス黄金狂時代」や「アイ・ソウ・ザ・ライト」等を聴いた僕は、野性の勘を働かせてみることにする。すると、やったよ、野性の勘が当たった。1997年発表の「ウィズ・ア・ツイスト…」だ。これが素晴らしかった。1曲目から「アイ・ソウ・ザ・ライト」で始まるセルフカヴァーアルバムだ。これは乱暴に言うとしたら「自分の名曲をボサノヴァ・ヴァージョンで演ってみました」だ。11曲43分。この43分を途中で止めずに流しっぱなしで聴いていたい。今までの名曲がボサノヴァというフォームで演奏されていることが肝要だと思わされる。ここまで聴いていて気持ちの良い音楽はめったにないよ。これって世間から評価されているのだろうか、調べてみると何らかの記事が見つかるんだろうか。と思って探してみたらいくつかあったよ。よかった、ちゃんと評価されているんだ。ちょっと引用させてもらおう。

 

ボサノヴァを基調にAOR全開、1曲目に自らの大ヒットナンバー「アイ・ソウ・ザ・ライト」のボサノバアレンジ版を持ってくる。正直、トッド、AOR舐め過ぎだろうとあらぬ疑惑ももたげてくる~

 

~彼はこのアルバムでどういった曲を演っているかというと、自分のヒット曲やマーヴィン・ゲイの曲(「アイ・ウォント・ユー」このヴァージョンも素晴らしいby hanami)をボサノヴァにアレンジして演っているんですよ。これが良いんですよね~。素晴らしいんです。普通、こういった事は例えばトリビュートアルバムなんかで、他のミュージシャンが演ったりする事なんですが、彼は自分で自分の曲をいじっているんですよ。自分で«企画もの»を作っているんです~

 

他にもあったが、概ね皆このアルバムを評価している。僕もこのアルバムを見つけることができてよかったと思った。

 

というわけで僕のトッド・ラングレン探求の旅は始まったばかりだ。この記事は再び「ア・カペラ」を聴きながら書いた。大海なのでどこにでも行けるからこれから楽しみだ。