hanami1294のブログ

現在休職中の小学校教員のつぶやきです(只今復職中)。

文体について考え、「水滸伝」を読む

1Q84」読了後、村上春樹の小説を読む気持ちにはなれなかったが、彼の文章は読みたかったので「村上さんのところ」(「村上春樹が読者からの質問に答えます!」)という本を斜め読みしていたら、こんな文章に出会った。

 

読者からの「村上さんはレディオヘッドに会ったことはありますか?」という質問に対しての答えだ。

 

「・・・僕の小説を好んでくれる音楽関係者はけっこうたくさんいるみたいです。それは僕の小説文体が基本的には音楽的だからじゃないかなと思っています。小説の文体って、音楽系と絵画系に分かれるのが僕の説です。絵画系の人の文章ってとても美しいんだけど、ときどき細部にこだわりすぎて、流れがふと止まってしまうことがあります。音楽系の人の文章は流れがいいのが特徴です。そのかわり細部が少し強引になることもあります・・・」

 

僕はどちらだろう?と考えるまでもなく音楽系の方だ。いや、音楽系であることを心がけている、と言った方が正確か。僕の記事の書き方はこうである(前にも書いたような気がする)。まずは、あまり考え過ぎずに書きたいことを1回ばぁ~っと書いてみる。それで、しばらく時間を置く。以前は数日寝かしておいたが最近はそんなに寝かさない。午前に書いたら午後には見直す。そして「ああ、これは読者には分かりにくいかも」と思ったところや、つながりが悪いところを直す。思い切って文章を削除することもある。気をつけるのは推敲したことによって文章のリズム(僕の文章にそんなものがあるとしたら、だが)が損なわれないようにすることだ。この作業を2回やっている。そういう意味において、僕の書く文章は音楽系だろうと思う。「そのかわり細部が少し強引になることもあります」か。それは否定できない。

 

 

この本で村上春樹は推敲が趣味だとも書いていた。そして僕の敬愛する花村萬月は書き直ししないくらいの純度を持って手書きしろ!って昔言っていた。僕は書き出しに関していうと大体は直さない。そこだけは結構時間をかけて考えているかもしれない。推敲するのは確かに楽しい。なんせ書きたいことは決まっているから気が楽だ。あとはどんな風に届けるかだけを考えればいい。

 

 

もう少し文章というか、小説に関することが書いてないかチェックするとこんな質問があった。

 

Q:村上さんに相談したいことは、どうやったら説明や情景描写をわかりやすくできるか、ということです・・・

A:情景描写と心理描写と会話、というのがだいたいにおいて、小説の三要素みたいになります。この三つをどうブレンドしていくかというのが、小説家の腕の見せ所です。・・・あなたも自分の手本を見つけて、熟読玩味されるといいと思います。・・・

 

 

うーん、質問した人は少なくとも説明したいことや描写したい情景があるんだ。そこが羨ましい。僕が書いている記事に情景描写や心理描写は必要ないかもしれないけど(書けるんなら書きたい)、話が小説となるとその2つがどうしても必要になるのは理解できる。ところが最近も書いたが、どうも僕にはそんなことを書く「目」を持っていないようだ。これは由々しき問題だ。「あなたの話には具体性がない」といつも妻に言われるのも「目」がないからだろう。これは仕事にも大いに関係するの話なので、今からでも遅くないから鍛えていくべき事案だろうと思っている。

 

 

とまあ、こんなことを土曜日の朝から考えるのは何だかもったいない気もしてきた。今日は風が強いし、午後からは雪が降るらしい。一日家に居てゆっくりといろいろなことをしよう。

 

 

 

そうだ。俺、「水滸伝」を買ったんだった。これは書いておかねば。横山光輝が描いた漫画「水滸伝」(全6巻)は、1967年から1971年にかけて描かれた。僕は従弟に勧められて小学生時代に読んだ。これにハマった僕は続いて漫画「三国志」を読んだのであった。そしてそれに飽き足らず、学校の図書館で日本史、中国史等の本を探して読み漁った。

 

僕の読書遍歴はシャーロック・ホームズからの推理小説から始まり、眉村卓からのSF物、そして「水滸伝」からの歴史物へと続いていったのだ。

 

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だんだん思い出してきたぞ。「漢楚軍談」という「項羽と劉邦」の小学生向けの本にも夢中になったな。「水滸伝」(吉川英治版だったと思う)も「項羽と劉邦」(司馬遼太郎だっけ?)も「三国志」(これも吉川英治版だったと思う)も高校時代に勉強しているふりをしながら読んでいた。当時は吉川英治が決定版!みたいな感じだったが、今では北方謙三ヴァージョンの方が有名なのかな。

 

その「水滸伝横山光輝ヴァージョンを40数年振りに読んでいるのだ。いやあ、感慨深いものですなあ。こうなると、全然関係ないけどアニメ「タイガーマスク」が無性に観たくなってくる(特に最終回)。何でも手に入る世の中というのも困ったものだよ。さて、ギタ練するか。

 

 

 

ギタ練してから「水滸伝」を全部読み切っちゃったよ。読み進めるうちに何だか既視感を覚えて仕様がなかったがその正体が分かった。諸星大二郎である。彼の中国物というか「西遊妖猿伝」が頭をよぎって仕方がなかったのだ。どうしよう。これから大変なことになりそうな予感がする。