夏眠日記その40

映画「イエスタデイ」を最後まで観た。

 

結論を言うと、「僕には楽しめた作品ではあったが・・・」である。どうもこの映画は評判がよくないようだ。「ビートルズを曲だけで扱っている」とか「陳腐なラブロマンスかよ」とかいろいろ思うところがあるみたいだ。そう思っている人たちのブログを読むと「うんうん、なるほどね」とも思うのだが、一方で「そこまで力を入れなくてもよいのでは?映画なんだからさ」とも思う。やはりビートルズを大切にしている人たちからみたら、この設定や扱いは酷い、と感じるのだろうか。

 

僕は単純に現代音楽シーンにビートルズの楽曲(だけ)を放り込むとこういう風になると考える人もいるんだ、ふうん、面白い、であった。でも、ちょっと扱いが軽すぎるのは確かだ。「ヘイ・ジュード」を「ヘイ・デュード」に変えさせるなんてアイディアには全然のれない。それをエド・シーランに提案させるなよな、とかね。だから、ビートルズにこういうことをしてもいい世の中になってしまったんだ、と改めて思った。

 

思えば「ビートルズをいじる」のは、アルバムリミックスから始まったのではないだろうか。その後「シルク・ドゥ・ソレイユ」のアルバム(LOVE)が出た時は、「ホントにいいの?切り貼りなんかしちゃってるよ。こんなことして大丈夫か?」と思ったものだ。最近では「ジョンの魂」のデラックスエディションまで発売されている。それと、この「イエスタデイ」は違うのだろうか。うーん、それとこれとはやっぱり違うのかな。

 

それにしてもポールの曲ばかりだな、と思っていたらやっとホテルの屋根で「ヘルプ!」を歌ってくれた。パンクヴァージョンの「ヘルプ!」はかっこよかったぞ。

 

でもねえ。映画のサウンドトラックを聴きたい!と思ってアップルミュージックで聴いてみたのだが、どうも面白くない。多分もう聴かないだろう。こっちの方が僕にとっては問題だ。せっかくビートルズのカヴァーをやるんだからもう少し頑張ってほしかった。これじゃあアマチュアバンドのコピーだよ。勿体ない。映画の中で聴く分にはよかったんだけど。これを初めてのビートルズの楽曲として聴く人はとても不幸だと思う。と、サウンドトラックを聴きながら書いているが、ほんとに犯罪的なのは映画の内容よりこっちの方じゃないかと思えてきた。楽曲をシンプルにしたヴァージョンも、ちょっと今風にしてみましたよヴァージョンもどちらも受け入れがたいな。

 

あと、ビートルズを知っている老夫婦は必要だったのか?脚本家に言いたいのだが、でっかい風呂敷を用意したのはあなたなんだから、みみっちい小話で回収しないでいただきたい。ジョンが登場する場面なんてもってのほかだ。必要ない。大嘘をつくのならちゃんとそれを貫き通してもらいたいものだ。

 

最後は何だ?結局この作品はラブコメディーだったのか?という気持ちになったのは多くの人が感じることであろう。ビートルズに対するオチはないんかい!幸せそうに「オブラディオブラダ」を歌ってる場合じゃない!と思った。でも最後に(本物の)「ヘイ・ジュード」が流れてきたときは「やっぱり、これだよね」と思った。よくポールは許可したな。

 

とまあこんな感じで「僕には楽しめた作品ではあった」。もう1回観るかなあ。微妙なところだ。でもビートルズ関連の話は好きだから許すことにしよう。この冬の本物のビートルズ映画「ゲット・バック」が楽しみになってきた。

 

 

今日、久しぶりに学校に行ってきた。約40日ぶりの学校は何も変わっていなかった。喋りかけてくれる先生もいて嬉しかったが、とても疲れた。僕は人と喋る練習から始めなければいけないようだ。結局1時間半くらいで疲れて帰ってしまった。僕は「ゲームから下りた老人」の気分だった。始まれば何とか授業もできるだろうとは思うし、仕事モードになるんだろうとも思う。しかし、「何かが終わった感」を色濃く感じた一日だった。

 

 

でも何かが終わったんなら、別の何かが始まるかもしれないしな。僕の中の何かが動き出すのをしばらく待ってみよう。