hanami1294のブログ

現在休職中の小学校教員のつぶやきです(只今復職中)。

夏眠日記その41

アメリカのド田舎(アラバマ州)ですよ、そこに『マッスル・ショールズ・サウンド・スタジオ』というのがあって、アレサ・フランクリンウィルソン・ピケットやなんかがそこで作品を録音するんです。そのサウンドに憧れたローリング・ストーンズがこの地でレコーディングするわけですよ。」

 

「そこでセッションした音は、都会の音とはどうもタイム感が違うというか、少し遅く聴こえるらしいんですよ。それが逆に『クールだ』と言われるんだってマッスル・ショールズ・サウンド・スタジオのミュージシャンが言ってるわけです」って小林克也が言ってかけた曲が「ブラウン・シュガー」だった。調べると、1969年12月1日から4日にかけて行われたこのスタジオでのセッションから「スティッキー・フィンガーズ」の製作が始まった。そしてここで録音した「ブラウン・シュガー」「ワイルド・ホース」が収録されたということだ。

 

というわけで、僕は改めて「ブラウン・シュガー」を聴いてみる。いつも思うがこの曲でチャーリー・ワッツが奏でるドラムのタイム感は(今聴いても)只事ではない。このドラムの感じが2曲目以降もずっと続く。「スティッキー・フィンガーズ」はそういうアルバムだった。

 

時を少し進めて「ラヴ・ユー・ライヴ」(1977)の「ブラウン・シュガー」を聴いてみる。しかし、「スティッキー・フィンガーズ」とは随分違う。僕は少年時代にこっちの方を先に聴いたものだから、「『ブラウン・シュガー』ってノリノリのタイトなロックンロールナンバーなんだ」って思っていた。その後オリジナルヴァージョンを聴いて「もともとはこんな感じだったんだ」と思ったわけだ。でもほんとにオリジナルヴァージョンの凄さを分かったのなんてもっと後だった。お前、ほんとに分かってんのか?と言われれば俯くしかないけど。

 

そしてもう少し時を進めて「女たち」(1978)を聴いてみる。するとあったあった。「When the Whip Comes Down」だよ。初めてこの曲を聴いた時はとにかくじれったかったのを覚えている。この感じは「ブラウン・シュガー」だ。でも同時に「Lies」みたいにまるでパンクな曲もこのアルバムには収録されている。つまりチャーリー・ワッツは曲によって叩き方を変えていたわけか。

 

みたいな話を書こう書こうと思っているうちにチャーリーは亡くなってしまった。9月のツアーには参加しないというニュースは聞いていた。それに「ミックによればストーンズは解散しないんだって」「だから一人また一人と抜けることになるんでしょうね」と小林克也が言っていた(前に書いた)。これが現実のものになったんだ。

 

うーん、結構ショックだぞ。しばらくは彼の死を悼みながらストーンズを聴くことになりそうだ。

 

 

 

今日2回目のワクチン接種に行ってきた。いろいろなことがあって僕の気分は悪い。ワクチンの副反応かな。久しぶりに胸が悪くなってきた(比喩じゃなくて身体的に)。

 

 

 

しかし、思わぬところで助けが入った。たまたま買った本に救われたのである。その本の名は「ど忘れ書道」。著者はいとうせいこうである。彼がど忘れした言葉を忘れないように筆で書き留める、そしてどのように忘れ、どうやって思い出したのかが書かれた本であるが、一人でゲラゲラ笑いながら読むことになった。いとうせいこう、おそるべし、である。こんなに笑ったのは同じく彼の「ポタニカル・ライフ」以来だ。胸の気持ち悪さはいつの間にか消えている。