テリー、天国は快適かい?

テリー・ホール(1959年3月19日~2022年12月18日・享年63歳)は英国のミュージシャン。2トーンの代表的バンドであるザ・スペシャルズのフロントマンとして70年代終わりから80年初めにかけ数々のヒット曲をリリース。ザ・スペシャルズ脱退後は、ファン・ボーイ・スリー、カラーフィールドなどを結成し、音楽活動を続けてきた。

 

 

「テリー・ホールの声は、まったくレゲエ向きじゃない」と言ったのはジョー・ストラマーだった。続けて「だからいいんだ」と言っている。

 

 

僕はそれプラス彼の目つき顔つきの悪さ&佇まいを付け加えたい。どんなにバンドがドカーンと盛り上がろうとも、あの緊張感のある佇まいのまま憂いのこもった声で歌う。それこそが「青白い炎」テリーの真骨頂である。

 

 

以前にザ・スペシャルズの妄想記事を書いた時に、他のメンバーは売れてチャラチャラしていたが、テリーはきっと女の家に籠り、日々言葉をナイフのように磨いていたと書いた。

 

 

その言葉はセカンドアルバムの1曲目「エンジョイ・ユアセルフ」で早速本領発揮されている。「♪君自身が楽しめ。もう遅いけど。元気があるうちに」。このフレーズに感じられる疲れっぷりこそがテリー・ホールなのだと僕は思っている。この曲はアルバム最後にもう一度演奏される。そのヴァージョンは1曲目とは違い、祭りの後みたいな演奏となっている。テリーのヴォーカルは前面には出てこず、女性ヴォーカルが優しく歌っている。

 

 

「テリー・ホールの声は、まったくレゲエ向きじゃない」。しかしこの声ほどイギリスを体現している声はない。極東の田舎にずっと住んできた僕が言うのもなんだが、当時のサッチャー政権がもたらした貧困と失業の増加、人種差別や性差別などが横行する世の中すべてに対する怒りや悲しみが詰まった声だということだ。

 

 

僕は、彼の死を知った時、初めて彼が長年双極性障害に苦しんできたということを知った。自殺未遂を図ったことがあることも知った。そして少年時代に性被害に遭ったことも知った。ずっと苦しんできたんだと思う。

 

 

双極性障害と付き合いながら生きてきた彼は癌を患い、63歳で亡くなってしまう。昨日今日と彼の音楽に触れているのは、きっと自分の病状と重ねているからだろう。彼の苦しさと自分とを重ねるなんておこがましいにもほどがあるけれど、2022年12月からテリー・ホールは僕にとって特別な人になってしまった。

 

 

テリー・ホールは今きっと天国でいろんな人たちと楽しく過ごしているに違いない。そこには彼を苦しめる人はきっといないはずだ。だってそんな奴は地獄に行ったはずだから。

 

 

あと、こんなことも僕は夢想している。双極性障害から逃れ(寛解し)、癌を患うまでの数年間は、現生でも穏やかに暮らしていけたのではないかと。好きな人と一緒に過ごし、気の置けない仲間と音楽を奏でる。そこに彼を苦しめるものはなかった、と思いたい。

 

 

僕の寿命がどれくらいかは勿論分からない。でも今は少なくとも穏やかに暮らしている。こうやってブログも書けてるしね。そして来年の4月から働き方は変わる。それが実現した時にも穏やかな時間を過ごしたいものである。

 

 

 

 

今日は膝がとても痛かったが、湖を1周した。1時間30分かかったが、とにもかくにも6.4㎞を歩くことができたのだ。その後シャワー&洗濯をしてレコードを聴いて、散髪に行った。今のところ大変いい1日である。

 

 

 

それでは。

 

 


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