先日妻にさり気なくスピーカーの位置を変えたいんだけど、と言ってみた。今はテレビの両サイドに置いてある。そうすると、右側のスピーカーが彼女の定位置（テレビに向かって寝そべるのが定番）を邪魔する置き方になる。
そっちのスピーカーをあっち（←どっちか分かんないよね）に置くといいんじゃないかと思ってるんだよねと提案してみたわけである。これはJUNさんが来た時にアドバイスしてもらった位置にあたる。巨大なランニングマシンを断捨離したからそういったセッティングが可能になった。
妻は「私はあれ（ランニングマシン）捨てた時からそう言ってたわよ。是非そうして」と答えた。やった！とほくそ笑んだ（最近ほくそ笑んでばかりいる）僕は早速以前買った4芯ケーブルを10m分注文した。
昨日そのケーブルが届いたので、再びド素人のバイワイア接続だ。2回目なので慣れたものだ。午前中はこれにかかりきりだった。ということは昨日から体は元に戻っていたということになる。
スピーカーの間を2.2ｍ離し、壁からも若干離し、いよいよ聴いてみるタイムだ。最初はもちろんビートルズの「アビイロード」だ。それにしてもこんなに「アビイロード」を聴いたのは初めてだな。JUNさんが初めて僕の家に来てスピーカーのチェックをするために選んだこのアルバムは、僕にとって基準のアルバムになった。ちょっと何かを変えたりすると、まずは「アビイロード」である。もう少し書くとＢ面のジョン作の「サン・キング」が昔からどうにもゆるく聴こえて困っていたが、スピーカーのお陰で今では大のお気に入りである。
これでこの部屋で、そして僕の知識で今のところ出来得る限り最強のセッティングがなされたはずである。「アビイロード」は僕の耳にどう聴こえるのだろうか。
そうだなあ。僕のリビングの半分がロック喫茶にでもなった気分だったよ。スピーカー2台と僕とで作る三角形が広くなった分だけ、いやそれ以上に空間的な広がりを感じながら音楽を聴いたっていうのかな。ある閉ざされた空間が自分の好きな音で満たされるってこんなに気持ちの良いものなんだと思った。このスピーカーが僕の人生最後のスピーカーになってもいいと思った。
あとは、ジョージの「ヒア・カムズ・ザ・サン」のイントロのアコギの響きがもう何とも言えないくらい透明感があったぞ。清流を思わせるきれいな水分を含んだ音っていうの？もうフレッシュそのものであった。何だか俺、食レポみたいになってない？大丈夫？続けるよ。スピーカーの位置を変えても、ベードラやパーカッションの響きの心地よさは相変わらずである。これはB&Wの特徴なのかな。とにかくいろいろなレコードをこのセッティングで聴くと絶対再び「当たり」に出会うはずだと確信した。
ああ、すっかりタイトルのことを忘れていたな。「なかなか彼らの音楽にまで辿り着かない」だった。これもスピーカー関連の話である。スティーリー・ダンである。「ガウチョ」を僕はよく聴いているのだが、未だに一音目から「おおっ」と思ってしまい、結局どんな曲かはよく分からないままである、という話である。
かっこいいギターのカッティングやベースライン、とか各々の演奏が素晴らしい音質で左右のスピーカーから出てくるもんだから、驚くやら感心するやらで彼らの音楽にまで気が回らない。いや、それこそが音質に拘ってレコーディングしたスティーリー・ダンの正しい聴き方かもしれない。←そんなわけないか
スティーリー・ダンの音楽にまで辿り着くのにはもう少し時間がかかるようだ。
とにかく僕は身体が復活したら、休日前にはウィスキーを飲みながらこのセッティングでレコードをずっと聴いていたいと思っている。
もう少し書こうかな。いや実はね、ホントにすごいなと思ってる逸品があるんですよ。密かに教えちゃいますね。マイルス・デイヴィスの「カインド・オブ・ブルー」のＢ面なんですよ。なんでＢ面だけかというと、Ａ面は傷が入っていて聴いているとストレスを感じるので聴き込んでいないんですよ。だからＢ面だけ聴いてます。これがすごいのなんのって。
これこそ鳴った瞬間に空気が変わる音楽である。ピンク・フロイドの時にもそんなようなことは書いたが、マイルスの音の方がすごい。だから「カインド・オブ・ブルー」のＢ面を聴いてから、ロックのアルバムを聴くとちゃっちいというか幼く聴こえちゃうんだよね。別に貶してるつもりはないんだけど。ジャンル分けするつもりもないんだけど、ジャズアルバム「カインド・オブ・ブルー」を凌駕するロックアルバムは果たしてあるのだろうか？探してみなくっちゃ。
さあ、今日で引き籠り終了だ。明日は休みを取ったけれど、食材を買ったり、ガソリンを入れたりしよう。娑婆に戻るのだ。
ではでは。
