hanami1294のブログ

現在休職中の小学校教員のつぶやきです(只今復職中)。

「笑えるくらいかっこいい」再考

おはようございます。こんばんは。まずはこの歌詞を読んでいただこう。岡村靖幸「聖書(バイブル)」です。

 

 

   Baby なんか強引ですが今 Teenagerのあなたが

   なんで 35の中年と恋してる 学校じゃもちきりだよ その事で

   ダスティン・ホフマンの様にさらいたい 囚われたあなたを

   だって奥さんもいる 妻帯者 このままじゃ僕はちぎれそう

 

   きっと本当の恋じゃない 汚れてる 僕の方がいいじゃない

   同級生だし バスケット部だし 実際青春してるし 背が179!

 

「聖書(バイブル)」がシングルとして発表されたのは1988年の9月である(デビューは1986年12月)。僕はまだ教採に合格していなくて講師をしていた。20代半ばでこの曲を聴いた時、曲がかっこいい(ファンク歌謡みたいだった)ので「おっ」と思ったが、よくよく聴いてみると「がはは」と(僕にとっては)笑える内容だったので、「誰だ!こいつは?」と興味を持った。さらにB面はA面のリミックスで、そのサウンドはプリンスに酷似していた。こっちの方をよく聴いていたかな。

 

「がはは」と笑える内容の歌詞はサウンドによく馴染んでいた。そうだなあ、桑田佳祐でも佐野元春でもない、新しい日本語のノリをきっと当時の僕は感じたんだろうな。よく車の中で口ずさんでいた。まずはこれを聴いてみてね。笑えるくらい気持ち悪くてかっこいいよ。

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とにかく「聖書(バイブル)」を発表してから同年11月に「だいすき」、翌年4月に「ラブ タンブリン」を発表し、岡村の快進撃が始まった。アルバムでいうと1988年「DATE」、1989年「靖幸」、1990年「家庭教師」だ。さっきの「聖書(バイブル)」はアルバムに収録されていない。そのかわりと言っちゃあ何だが「いじわる」という曲が収録されている。こんな歌詞だ。

 

   ユカは確かに美人だ 僕のヒップにしゃがんで「うちに来ない」と誘った

   ユカはタフかと聞くんだ 濡れたリップがしぼんだ 僕はちょっぴり笑った

   職場はディスコで遅番のウエイトレス 頭はちょっと染めてるかんじで

   crazy little thing is called love

   愛されていたいならば 聞かせてよBedでのlove song

   愛されていたいならば 靖幸にBedでのlove song

 

この曲もかっこいい。しかし歌詞カードを読んだ僕は目を疑った。そしてまたしても「がはは」と爆笑した。「靖幸だって?自分の名前を歌詞に入れてる!気持ち悪い!」である。

 

彼は当時EPICソニーに所属していたので、よく関連の番組に出演していた。話を聞いているとよく「愛とは?」みたいなことを言ったいた。「こんなスケベな歌作っていて何が愛なんだ」と当時は思ったが、次々に発表されるシングルやアルバムの曲を聴いているうちに「岡村は本気なんだ」と思うようになった。しかし岡村が真剣になればなるほど、歌ははしたなくなってくる。と同時に笑えてくる。

 

はしたなさの極みに達したのがアルバム「家庭教師」に収録されているタイトル曲だ。途中で寸劇みたいな箇所がある。家庭教師役の岡村が女子生徒に勉強を教えているうち(「それが第二次世界大戦勃発のきっかけになって・・・」)に段々イヤらしくなり、「まずこうするじゃない」「・・・ああ、そうそう」とか「ここにキスして」とか「僕はベッドの中じゃすごいんだよ」とか「2人でこうやってこうやってこうやって革命を起こそうよ」とか「ちょっと触って」とか言うのだ。その間喘ぎっぱなしである(だから当時この曲だけ家で聴けなかった)。ちなみのこの曲が終わった直後に次の曲のイントロが流れる(「あの娘ぼくがロングシュートを決めたらどんな顔をするだろう」)。これがまた青春真っ盛りの名曲なんである。その落差にクラクラする。

 

これが第1次岡村絶頂期である。ここで完全に岡村は自身の地位を築いた。岡村靖幸とは「愛について大真面目に考えていてその結果、(一般大衆にとっては)笑えるくらいかっこいい存在」である、と定義された(はず)。

 

しかし「家庭教師」発表後、岡村は長い沈黙期に入る。次のアルバムが発表されたのは5年後の1995年12月だ。その後岡村は裏方の仕事をメインとするようになる。代表的な仕事は川本真琴のデビュー曲「愛の才能」の作曲、編曲、プロデュースだろう。

 

しかし大事件が起こる。2003年1月に覚せい剤取締法違反で逮捕され、執行猶予付き有罪判決が下されたのだ。このニュースを聞いて僕は「ああ、岡村ちゃん、終わっちゃったんだ」と思った。

 

ところがその半年後、ステージ活動を再開する。「へぇ、音楽業界は優しいな。まあいいか」と思っていたら、2005年7月に同罪で2度目の逮捕。これは執行猶予期間中の再犯だったので、実刑判決が下された。「今度こそ終わった」と誰もが思ったはずだ。しかし、出所後の2007年に音楽イベントで復帰を宣言する。「うーん・・・大丈夫かぁ。田代まさしみたいになってない?」と、これも誰もが思ったはずだ。そして嫌な予感は的中する。2008年に3度目の逮捕。懲役2年の実刑判決を受け、またしても服役する。この頃の岡村は(まあ2000年頃からそうだったが)ブクブクに太っていたらしい。

 

出所後の2011年に、過去の曲をリアレンジした「エチケット」発表。その後もコンスタントにシングルを出し、ツアーも行っている。2016年には11年ぶりにニューアルバム「幸福」を発表する。

 

「今度こそ、今度こそもう岡村ちゃんは大丈夫」と思っている(思いたい)ファンは日本に大勢いる。僕もそうだ。それにしても3回覚せい剤で逮捕されてまだキャリアを続けることができているなんて日本じゃ、彼くらいだろう。それだけ音楽的才能があるということなんだろうけど。だから、今が第2次岡村絶頂期なんだと僕は思っている。

 

でもね。やっぱり笑えるんだよ。今の岡村ちゃんは少し痩せたとはいえ、「デブではないが大柄な人」だ。その彼が昔と同じようにキレッキレのダンスを披露するんだけど、それが「かっこよい可笑しい」という言葉しか思いつかないほど、笑えてかっこいいんだ。この映像も是非見てもらいたいな。「ぶーしゃかLOOP」です。

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昔何回か、この「笑えるくらいかっこいい」問題について書いたことがある。もちろん話題は岡村靖幸、そして平沢進だ。今日は岡村ちゃんについて頑張って書いてみた。

 

 

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明日からまた1週間が始まる。取り敢えず、月と火だ。じゃあね。