hanami1294のブログ

現在休職中の小学校教員のつぶやきです(只今復職中)。

夏眠日記その11(忘れていたよ編)

僕は大きな(別に大きくもないか)忘れ物をしていた。それは、生まれて初めての海外旅行記を書くことだ。いつか書こう書こうと思っていたのに、つい忘れていた。書いてみるか。海外旅行記は今回とあと1回書けるぞ。「また海外旅行記かよ」と思われた方、すみません。あと2回。2回で永遠に終わります。どうぞお許しください。

 

僕が海外旅行に行こうと思ったきっかけは、講師時代に一緒な学年(4年生)を組んだ先生の影響が大きい。その先生は、頻繁に海外に行っていて、日本でも海外の人々との交流を深めていた人だった。その人に何気なくポツンと「海外、行ってみたいな」と言うと、「海外、いいよ。是非一回行ってみたら」と言う。「行くと今までの考え方がころっと変わるよ」とも言われた。

 

その学校の講師が終わって次の学校に行くまでに1か月ちょっと間が空いていた。これは海外に行くチャンスだと思ったが、どうすればいいか分からない。しかも僕は海外へ行くなら絶対一人旅で、と固く決意していた。パッケージ旅行なんてまっぴらごめんだ、集団行動なんてできないと当時の僕は思っていた。教員なのに協調性のないやつなんだ。これは今でも変わっていない・・・。(例によって長くなりそうだな)

 

海外旅行を勧めてくれた先生からHISという単語だけは聞いていた僕は、訳も分からずHISを探して行った。そして「初めて海外旅行をするんですけど」「一人で行きたいんですけど」「どこがいいですかね」と矢継ぎ早に尋ねた。受付のお姉さんは「だったらバリ島なんかお勧めですよ。治安もいいし」と言った。バリ島?聞いたことがあるけど、よく分からん。でもその後バリの話を聞いて、よしっと思った僕は日取りとか何やらを決めていた。

 

当然母親は反対だ。それは無視してリュックを買ったりガイドブック(「地球の歩き方」)を買ったりと準備を進めていた。父親は・・・父親もさすがに心配していた。今まで陰ながら僕の一人旅を応援してくれていたのに。まあ、最後はいつものように「もし何かあった時のためのお金」をドルで渡してくれたけど。

 

当時関空はなかったので、当然成田空港から出発だ。飛行機の手続きすらままならなかったが、なんとかチケットを入手した僕は飛行機を待つ間、「地球の歩き方」を必死で読んでいた。心の中はドキドキだ。ワクワクする余裕がなかった。僕はこの旅を一種の修行ととらえていたのだと思う。

 

ドキドキは飛行機に乗っても同じだった。機内食が出る時、英語で聞かれアワアワしていると、隣に座っていたお姉さんが優しく教えてくれた(多分「野菜か肉か」聞かれたんだと思う)。その後もお姉さんは優しく僕に語りかけてくれ、僕も敬語で答えつつ楽しい時間を過ごすことができた。事件はその後起こった。いつものように恥ずかしい事件だ。

 

お姉さんと話していた時に、尿意を覚えた僕はトイレはどこにあるか聞いた。教えてもらった場所に行って用を足す、その瞬間である。そうなんだよ。粗相をしてしまったのだ(小の方です)。少しパンツにおしっこが付いてしまった・・・。呆然とする僕。しかし何とかしなければいけない。だが、これは履くわけにはいかないと判断した僕は(小さい)パンツを丸め、ジーンズの横ポケットに厳重にしまった。そしてノーパンのままジーンズを履き、何食わぬ顔をして戻り、再びお姉さんと談笑したのだった。心の中では動揺しまくっていたけど。

 

飛行機は無事バリ島のデンパサールに着いた。お姉さんと別れることになった僕は不安しかなかった。「じゃあね。楽しんでね」と言われた僕はただただ周りを見回すことしかできなかった。すると、例のやつが現れた。アジアでは恒例の人達である。「オニーサン、タクシー、ヤスイヨ」と言われ、もじもじしていると、ワッと人がやって来て取り囲まれてしまった。

 

アワアワした僕は何とか一人の運転手を選び(いや、半ば強引に引っ張られた、かな)、タクシーに乗り込んだ。腹を括るしかなかった。もう夜だったので勿論辺りは暗かった。僕は「絶対に辺鄙な所へ連れていかれて殺される」と思った。僕が覚悟していたにもかかわらず、無事タクシーはクタビーチにあるホテルに僕を届けてくれた。料金を払いホテルに入ると、チェックインという新たな関門が僕を待っていた。何とか手続きを済ませると、ホッと安心したが、まだフロントの人は僕に何か言ってくる。そして帰りの飛行機のチケットを渡せと言う。僕は混乱した。

 

 

                                                                                                              (続く)