hanami1294のブログ

現在休職中の小学校教員のつぶやきです(只今復職中)。

松村雄策の文章は好きだ

ボーナスが出た日に自分へのご褒美としてスピーカーを買った。BOSEだよ、BOSE。しかし、すぐにBluetoothに繋がると思ったがそう簡単にはいかなかった。BOSEミュージックアプリとやらを購入し、Wi-Fi環境を整えなければいけなかった。「おい、どうすればいいんだい、俺」と自問自答する僕。しかし、奇跡的にWi-Fiについての書類を探し出し、奇跡的にパスワードを見つけ出すことができた。音が鳴った時は感動したよ。音質がどうのこうのいう前に、自分で繋げたことに対して。それにしてもBOSEよ、こんな煩雑な手続きが必要なら説明書をつけてくれなければいかんと思うぞ。それに、もう少しボリューム調整が細かくできるとなおよいと思うぞ。

 

でも、奮発して買ったスピーカーはいいね。クラシックや現代音楽に合うように思った。アコギやプリンスとの相性もよさそうだ。錯覚かもしれないが今まで聴こえなかった音まで聴こえるような気がしたよ。一番新しいスピーカーのよさが分かるのは、車で音楽を聴いた時だった。「さっき家で聴いていた音とこんなに違うんだ」と思った。

 

ここまで、タイトルにある松村雄策のことは一切関係ない。これは、松村雄策の文章スタイルや文体をコピーして、彼の作品をレビューするという、素晴らしい試みなのだ。前にも書いたが、彼はよくロッキングオンの原稿を書く時、このような戦法を取っていた。前半は日常の些末なことを書き、後半はアルバムについて書くというスタイルだ。僕としてもスピーカーのことは触れたいと思っていたから丁度いい。早速今からこのスピーカーで松村雄策のラストアルバム「Unfinished Remembers」(1984)の一部を聴こうじゃないか。(ここまでで約500字。ノルマの半分は達成している)

 

僕がスマホに残した曲は6曲。「プライヴェイト・アイ」「グリーン・ライト」「枯葉色の午后」「あなたに沈みたい」「苺畑のヒッチハイカー」「傷だらけのガラス玉」である。

 

「それでは紹介しましょう、松村雄策」というナレーションからこのアルバムは始まる。そう、このアルバムは彼のラストアルバムにしてライブアルバムなのだ。紹介とともにすぐに「プライヴェイト・アイ」が始まる。そのまま前述した曲順通りにライブが進む。2曲目の「グリーン・ライト」は「一つの時が今きっと終わったのだろう」「流れ過ぎたカレンダー無駄じゃなかった」という箇所が涙を誘う。「枯葉色の午后」は恋人同士が別れる時の歌。これは年を重ねるごとに素晴らしい曲だということが分かった。「あなたに沈みたい」はタイトルが全てだ。サビもこの言葉だ。

 

僕が一番好きなのは5曲目の「苺畑のヒッチハイカー」である。これは今の作品と言っても通用すると思うな。他の曲は所謂ロックンロールな曲だけど、この曲は違う。サイケデリックとも違うような気がする。不思議な曲だ。だからこそ現在でも有効なのではないかな。

 

「傷だらけのガラス玉」は最後の曲(9曲目)。この日、松村は高熱を押してラストライブに臨んだ。最後に力を振り絞ってジョンについて書いたであろう曲を歌っておしまいだ。

 

彼はこのアルバムの前に2枚のスタジオアルバムを残している(1978年と1979年)。しかし売っていなかった(いや、売れなかった)。そして5年後ロックシンガーとしての引退を決意した彼はラストアルバムを発表する。僕はリアルタイムでそのレコードを買ったのだが、2007年突然松村のアルバム3枚がCDとして復刻された。いくら復刻ブームだったからといって松村雄策はどうなの?と思った僕だが、買わねばなるまい。

 

とまあ、こんな風に特にオチをつけることもなく(つける時もあった)終わるのが彼の文章スタイルだ。でも最後はやはりカッコいい文で締めくくっていたかな。これで既に1000字は超えている。実験は成功だ。

 

でもすみません。氏を知らない人にとってはなんのこっちゃい、の文章でしたね。彼はロッキングオン創刊時のメンバーであり、以後長きにわたってロッキングオンに自身の記事を書いていた。と同時にロックシンガーとしての活動も続けていた。彼の夢は本とレコードを出すことだった。それが両方達成することができて嬉しいというようなことを最初で最後の小説「苺畑の午前五時」のあとがきで書いている。

 

僕は、松村雄策の書く文章が好きだ。のほほんとしつつも分かりやすく、時に鋭いことを書くからだ。