hanami1294のブログ

現在休職中の小学校教員のつぶやきです(只今復職中)。

今夜 俺は 別人

「この1曲でご飯5杯はいける」シリーズ第6弾である。曲は仲井戸麗市の「別人」だ。

 

 

この曲はチャボ初のソロアルバム「THE 仲井戸麗市BOOK」の第1曲目に収録されている。チャボならもっと聴きやすい曲もあるが、やはり「別人」で決まりだな。なんてったってまずタイトルに驚いたもん。と同時に「やはりそうだったのか」との思いも持った。何でタイトルに驚いて、何が「やはり」だったのかを今日は書ければ嬉しい。

 

 

では当時のRCサクセションの状況を振り返ってみよう。(←あ、チャボはRCのギタリストでね、「チャボ」というのは仲井戸麗市の愛称です)

 

 

1980年に発表されたライヴアルバム「RHAPSODY」をきっかけに大ブレイクを果たしたRCはその後もコンスタントに活動を続け、ライヴの帝王になる。1983年には「THE KING OF LIVE」なんていうタイトルのライヴアルバムも発表している。

 

 

その後独立して事務所を立ち上げ、1984年に「FEEL SO BAD」を発表。このアルバムで清志郎は「自由」等の怒りに満ちた曲を歌っている。チャボはと言えば、それまでのロックンロール路線から一変して「遠い叫び」(←これも超名曲)という内省的な、しかし怒りも感じられる歌を歌っている。

 

 

そして次の年の1985年8月31日に自身初のソロアルバムを発表するのだ。ソロを発表するニュースを聞いた時には「そうか・・・チャボがソロか。そうだな、それはいいアイディアだ」くらいには思っていた。

 

 

だからアルバムの発売日にはレコード屋に行って買ったと思う。そして家に帰ってジャケットをしげしげと眺めて思った。「これがチャボのソロアルバムか」。ジャケットにはゴーグルをして水面から顔を出したばかりのチャボの顔が映っている。口を開けて息を吸っている。「チャボって水泳してたんだ」。単純にそう思った僕だが、当時のチャボの心境をそのまま表した写真だったのかもしれない。生粋のロックンローラーを演じていた(僕にはそう見えた)チャボが、ついに本当の姿を見せたんだ。

 

 

それから徐にレコード針を落として流れてきたのが「別人」である。こんな歌である。

 

 

俺の脳ミソ レヴォリューション

ぶちこめ最強 ミサイル

ひとっかけらも無く 木っ端微塵に

 

生み落とす精鋭 コミュニケーション

感じる鮮烈 バイブレーション

打ち砕け けちくさいプレッシャー

 

Oh! 俺は 別人

Oh! 見知らぬ 別人

Oh! 今夜 別人

Oh! 無敵の別人

20世紀末 流れ出してる 夜 夜 夜

 

 

はき出す 蓄積フラストレーション

巻き起こす 一大センセーション

詰め替えをあおぐ 俺の脳細胞

 

 

奴等の宇宙へ デモンストレーション

つきさせ最新 インフォメーション

打ち上げる 空飛ぶメッセージ

 

 

Oh! 俺は 別人

Oh! 見知らぬ 別人

Oh! 今夜 別人

Oh! 無敵の別人

20世紀末 流れ出してる 夜 夜 夜

 

 

俺の脳ミソ レヴォリューション

ぶちこめ最強 ミサイル

ひとっかけらも無く 木っ端微塵に

 

 

音も歌詞も僕の胸に突き刺さってきた。それは今聴いても変わらない。うーん、詩としても成立しているんじゃないかなあ。清志郎のようにロックする姿もあるけど、チャボのように内面に向かってロックする姿もありなんだ。それを具現化したのがこのアルバムで、それを高らかに宣言したのが「別人」である。

 

 

 

ちょっと話は逸れるが、当時携帯電話もなかった時代に、女の子のアパートに行くことは至難の業だった。いわゆるアポなし直撃訪問だったからね。内気な僕はトウモト先輩の家に行きたかった。しかしどうにも踏ん切りがつかない。そういう時にまずこのアルバムのA面を聴くのだ。そして「俺は別人になるのだ」と言い聞かせて家を出たものだ。

 

 

 

話を戻そう。チャボはRCではサイドマンとして清志郎を引き立てる役を自ら進んでやっていたように思う。ロックンロール最高だぜ、イェ~イ!ってな感じで半ば無理しつつ、でもその役を楽しみながらしていたのだと思う。古井戸ファンなら「チャボ、大丈夫?頑張り過ぎじゃない?」なんて思ってたかもしれない。RCでチャボを知った僕でさえ、「きっとナイーブな人なんだろうな」くらいには思っていた。

 

 

 

繰り返すがこのソロアルバムのジャケットは、水面から顔を出したばかりのチャボの顔が左側に映っている。顔を出したばかりだと分かる波紋も映っている。あ、忘れてた。この写真はモノクロである。これがまたいいんだよなあ。そして青い文字でタイトルが書かれている。

 

 

長い間息を止めて潜っていたけれど、やっと息をするために水面から出た、そういう瞬間を切り取ったジャケットだ。今一度考えると、「ふぅ、やっと息ができる。さあ、やるぞ」という風情にも見える。

 

 

ジャケットをじっくり眺めてからの1曲目「別人」は格別だ。もう俺はRCのチャボじゃなくてただの仲井戸麗市だ、内臓まで曝け出すぜ、というような覚悟も見受けられる。じゃないと1曲目に「別人」なんて曲を持ってこないよな?僕はこのタイトルで初めてチャボの言葉のセンスに打ちのめされたのかもしれない。間奏ではジョン・レノンの「コールド・ターキー」を想起させるような唸り声を披露している。その間の演奏もフリーキーだ。

 

 

こんな風にして「THE 仲井戸麗市BOOK」は幕を開けるが、その後も「カビ」「秘密」「打破」「早く帰りたい PARTⅡ」など、独特の語感を持ったタイトルの曲が並ぶ。「打破」なんて今の子は分からないんじゃないか?

 

 

どうでしょうか?「別人」、聴きたくなった?じゃあ紹介しちゃうね。これです!

 

      ↓↓↓↓


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そういえば、吉井和哉がこの曲をカバーしていたな。吉井には悪いけど、相手が悪すぎる。この曲を選ぶセンスはさすがだとは思うんだけど。カバーの名手吉井和哉でも手に負えない曲ってあったんだなと思った次第である。

 

 

 

これで今日の「この1曲でご飯5杯はいける」を終わります。イェイ。

 

 

 

 

今晩は初挑戦の芋煮汁を作ろうと思う。上手くできますように。

 

 

 

じゃあね!ビール飲もうっと。