hanami1294のブログ

現在休職中の小学校教員のつぶやきです(只今復職中)。

「大脱走」は今観ても面白い

午前中上手くいかなければ、大体午後も上手くいかない。こんな歳になると、上手くいかないことを受け入れていかないと気力体力が持たない。そう思いながらも何回も同じ失敗(午前の失態を立て直そうと午後頑張る)を繰り返している。昨日もそうだった。

 

タイヤ交換は予定では午前中に終わるはずだった。しかし終わったのは15時だった。天気が良かったのでドライブに行きたかった僕は、諦めかけていたが、やはり行こう、と思い立ち車に乗った。金沢へ行く途中途中で桜の樹を見かける。「おお、八分咲きくらいかな」なんて気分よく運転していたら、兼六園の横を通る道に入っていた。そこはさらに(桜が)すごいことになっていて、観光客もたくさん歩いていた。

 

「うーん、気持ちいい」と思いながらレコードジャングルに向けて車を走らせた。この前とは違う道だったが、勿論昔ここに住んでいた僕としては間違えようがない道だった。しかし、時はあまりにも町や道の風景を変えていた。僕はここから混迷を極め、目的地に着くまでにグーグルマップを使う始末だった。

 

レコードジャングルに着いてからは至福の時間だった。レコードを聴くようになって2回目の来店だけどいいなぁ、レコード屋さんは。お目当てのヴァン・モリソンの「ムーンダンス」とジョン・レノンの「メンローヴ・アベニュー」はなかったが、ジョンのニューヨークライヴを発見した。ジョン唯一のライヴアルバムで松村雄策ロッキングオンで「無惨なり・・・」と書いた曰くつきのアルバムだ。これは不思議なことにアップルミュージックにはない。3,000円かあ。どうしようかな・・・。こうやって迷うのも楽しい。少年時代は1枚買うのに随分迷ったものだ。

 

結局「買う!」と決めて、ロキシー・ミュージック、ブライアン・フェリー、ビートルズも購入したのだった。来月の給料日まで緊縮財政決定だ。

 

しかし、今のアナログ盤業界では、所謂ロックの名盤は売ってないのかね。デヴィッド・ボウイなんか、「トゥナイト」で溢れていたよ。あれかな、ブックオフ諸星大二郎の漫画なんか1冊も無いのとおんなじなのかな。

 

 

というわけで外を出ると陽が傾いている。いかん、早く帰らねば。急いで家路に着いた僕を待っていたのは、果てしない迷路だった。どこで迷ったのだろう。俺としたことが今どこにいるか全く分からない。やはりグーグルマップを使ってこの窮地を脱した僕だったが、家に着いたのは18時近くだった。

 

そして教務にメッセージを入れた。来年度のことで調整が必要なら話をした方がいいと思ったからだ。程なくして教務から電話がかかってきた。大まかなことは既に決められていたので、細かい調整をして話を終えようと思ったら、来年度の人事のことも教えてくれた。なかなか厳しい人事だった。それに僕の持ち時数も増えている。本校は大丈夫なのだろうか?

 

話し疲れたので夕食も作らず(前日の豚汁とご飯を食べた)、1001回目の記事をアップした僕はいつの間にか寝落ちしていた。

 

 

 

さあ、今日の話題に入るか。映画「大脱走」全180分の大作である。「PLAN 75」で大コケした僕は、他の映画に手を出してみた。しかし僕の家のハードディスクには精神科医が出てきてややこしい患者と対峙したり、記憶がどんどんなくなっていく男の物語だったりする映画ばかりでどうして?と思うくらい痛快な映画は入っていなかった。しかし「大脱走」があった。これならイケるんじゃないかと思って朝から挑戦している。ずっとノンストップで観るというわけにはいかなかったが、今半分くらいを過ぎたところだ。いよいよ大脱走の始まりだ。

 

この映画を観るのは何回目だろう。少年時代には金曜日の「ゴールデン洋画劇場」という番組で何回も放送されていた。そのたびに父親と一緒に観たものだ。

 

最初はヒルツ役のスティーブ・マックイーンアメリカ臭い顔つきにどうにも馴染めなかったが、繰り返し観るうちに段々かっこよく見えてくるようになった。今じゃああの顔じゃないとヒルツ役は無理だねって感じである。

 

第二次世界大戦下のドイツ。収容所に入れられた連合軍の捕虜が脱走を試みる。その度にドイツ軍が攪乱されるので、札付きの脱走のプロたちを一か所に集めて締めあげようじゃないかとドイツというかナチスは考えた。しかし、脱走のプロたちはその日からどうやって脱走するのかを考え始めるのだった。

 

その細かい工夫の見事なこと。情報屋、調達屋、測量屋、仕立て屋、トンネル掘りの名人、偽造書類作りの名人等々色々な分野での名人が中心となって、着々とトンネル掘りが行われる。何と言っても250人を一気に脱走させようというのだから大掛かりである。

 

そんな風に大人数がチームワークをフルに発揮してトンネル工事に勤しんでいる中、ヒルツは異質な存在だった。着いたその日に超えてはいけない針金を超え、しかも不敵に口答えするもんだから、独房20日をくらう。その後も脱走を試み、独房20日だ。そんなヒルツの異質さに気づいたリーダーと脱走計画の中心人物が、ヒルツにもう1回脱走して外の情報を我々にくれないかと頼む。最初は何言ってんのっていう反応だったヒルツだが、ヒルツを慕う友だちの死をきっかけに脱走を決意し、わざと捕まり独房20日生活を終えてからチームに貴重な情報をもたらすのであった。

 

 

 

でもなんで「大脱走」ならOKなんだろう。もう最初の出だしから僕の集中力を高めてくれる。だからこそ名画と言われるのだろうが、1963年の作品だよ。60年も前の作品に惹かれるのは、音楽と一緒かもしれない。つまりいいものは残るのだ、ということだ。

 

 

だったら何が「いい」のだろう?その「いい」は他の人にも当てはまることなのだろうか?

 

考えられることは「汗臭い」ということだ。これは肉体的にもそうだが、考え方も汗臭い。トンネルを少しずつ掘り進めていく様子は土と汗にまみれ、肉体的に汗臭い。それに掘った土をどうするか、という問題の解決の仕方(洋服の下にポケットを付けてそこに土を入れて置き、外に落とす)も、警備が来た時の連絡の仕方も汗臭いというか結構笑って観てしまう。今では考えられないシーンばかりだ。こういうエピソードがこれでもかとばかりに繰り広げられる。そこがたまらんのだ。まあ頭も体も僕が今お気に入りの言葉であるフィジカルを使っていると言えるのではないだろうか。

 

じゃあ、この「たまらん」は今の人にも共有できる感覚なのか、と言うとちょっと自信がない。もしかしたらスポーツをやっている人なんかは面白がってくれるかもしれない。自分も身体を使っているからという単純な理由からだが。

 

これ以上考えると頭がパンクするのでやめておこう。とにかく今の僕にはこの映画はとても楽しめるブツだということは間違いない。

 

これからどうしよう。観るのが勿体ないというか、最後ドキドキするので観ようか迷っている。これで「大脱走」の話はお終い。

 

 

 

今日のレコード活動はビートルズ(「ロックンロール・ミュージック」という編集盤)だった。これもまた60年近く前の音楽だ。やはりビンビン来たぜ。