hanami1294のブログ

現在休職中の小学校教員のつぶやきです(只今復職中)。

虫の知らせだったのだろうか… 昨日からハリーを聴いている

ゴールデンウイークは全然違うアーティストを聴いていたのに昨日の夜何故か眠剤でぼぅっとした頭でハリーのプレイリストを作ってずっと聴き続けていた。

 

そうしたら購読しているブログで、ハリーが肺がんを患っていることを知った。どうしても清志郎とミチロウのことが頭をよぎってしまう。どうかゆっくりと治療に専念してほしいとしか言えない。

 

昨年の今頃ハリーについての記事を書いた。「狼煙」というCDとそのライブDVDについてのコメントだった。そこで僕は「ハリー(村越弘明)は背筋を伸ばして歌を歌っていた」と書いた。きっと病気に対しても背筋を伸ばして対峙していることと思う。

 

僕が生の村越弘明を初めて見たのは、当然のことながらストリート・スライダーズ時代だ。確か雑誌「宝島」の情報で凄いバンドが出てきたということを知り、「夜をぶっ飛ばせ」という映画に一瞬出ていたのを観たような気がする。アルバムはセカンドを買った。

 

日本のストーンズなどと書かれることが多かった彼らだが、なるほどルックスや佇まいは確かにそう思える。でも問題はボーカルだと思っていた。誰もが「ストーンズっぽい」サウンドを目指して、ある程度成果を上げているバンドもあった(例えば村八分なんかはそうだと思っている)。上手くいかないバンドもあった。その原因はボーカルのダサさに尽きた。

 

誰もミック・ジャガーにはなれない。とするとどう歌うか。その答えをハリーは出して見せた。バンドは確かにストーンズを彷彿とさせる音だった。そしてボーカルは「不良な声」を具現化させたらこんな声になるのかな?と誰もが思う声と歌い方だった。

 

ハリーの声質と歌い方がバンドの成功に導いたと僕は思っている。清志郎の次に出てきた「真似したくても真似ができないボーカリスト」の誕生だった。

 

そんなハリー、ストリート・スライダーズを生で観たのは、セカンドアルバム発表直後のライブだった。地下にある狭いライブハウスはぎゅうぎゅう詰めだった。そして彼らは定刻の2時間後に姿を現したのであった。その間僕たち客はぎゅうぎゅう詰めのままだった。

 

そのライブで驚いたのは、ライブの方がレコードよりあきらかに遅いテンポで演奏しているところだった。普通ライブではレコードより若干早くなると思い込んでいた僕はそのことに衝撃を受けた。そしてあえて遅く演奏するこのバンドに痺れた。

 

その後の快進撃は素晴らしいものだったが、村越には常に「孤高」とでもいうような雰囲気を纏った存在だった。ライブで「ハロー」と言うだけでも客は大喜びだ。2000年のラストライブのジャケットは彼の孤高ぶりが良く伝わるジャケットだった。

 

それから20年。昨年本当に久しぶりに彼の音源を聴いてショックを受けると同時に嬉しくなった僕は何枚かのCDとDVDを購入した。見た目はそれなりに歳をとったなぁと思ったが、声とギターの切れは相変わらずだった。歌詞の世界はむしろ進化、深化しているのではないかと思った。

 

僕にとって、そしてファンにとって唯一無二の存在としてハリーは今も立っている。背筋を伸ばして。