JOY-POPSだよ

13日土曜日にJUNさんとリモート飲み会をすることになった。前回は昨年末だったから半年以上経っている。その間に僕は何をインプットしたのだろうか。ビートルズの「ゲット・バック」を夢中になって観ていたのが遠い昔のようだ。病休をとって以来、何もインプットしない度に更に拍車がかかっている。せめてギターの練習をして今はここまで弾けますというところを見せたいものだ。何にせよ楽しみである。久しぶりに人と喋るんだもの。

 

病休をとって以来、コロナの感染状況が急速に悪化し、それもあってスーパーに行くくらいしか外に出ていない。ガソリンなんか週1で入れていたのに、この1か月は入れていない。ほとんどインドア生活でなかなか無為な日々を過ごしている。でも改善されたこともある。睡眠時間だ。やっと人並みに眠ることができるようになってきた。朝の2時3時に目覚めてぼうっとしていることはここ最近ほとんどないと言っていい。やれやれだ。

 

さてさてJOY-POPSの話だよ。

 

まずはザ・ストリート・スライダーズの話から始めなければいけないな。ザ・ストリート・スライダーズは1979年に結成され、1983年にメジャーデビューし、2000年まで活動した日本の(良質な)ロックンロール・バンドである。フロントマンは村越弘明「ハリー」(ヴォーカル&ギター)と土屋公平「蘭丸」(ギター)であった。その2人がサードアルバム「JAG OUT」(1984)から共同で作詞作曲を始めるようになった。そのユニット名がJOY-POPSであった。

 

単なる作詞作曲ユニットであったJOY-POPSが更に前面に出たのが、1989年に発表されたザ・ストリート・スライダーズの3枚組のCDシングル「ROUTE S.S」である。その中の1枚がJOY-POPS名義の作品として発表されたのであった。「GET OUT OF MIND」「EMPTY HEART」というその2曲はアコギ2本で奏でられたそれは素晴らしい楽曲で長らく愛聴したものだ。

 

その後JOY-POPSとしてのライブ活動も気まぐれで始めるようになる。バンド休止期の

1987年から1989年の頃である。チラリとその時の映像を観たが、2人ともなかなか楽しそうであった。

 

しかし、2000年のザ・ストリート・スライダーズ解散によってこのユニットも同時に消滅する。ハリーはソロアルバムを出すし、蘭丸はいろんなバンドに参加したり、アルバムを作ったりしていた。ハリーはソロ活動を続けていくうちにスライダーズのリズム隊とも演奏するようになっていた。でも蘭丸とは絡まなかった。

 

そんな2人が2018年、つまりバンドを解散してから18年経って突然JOY-POPSとしての活動を復活させると発表。勿論ファンは狂喜だ。その年2人で全国を周ってコンサートをするが、チケットは売り切れ続出で追加公演が決まるほどだった。その時の模様はCD化、DVD化されている。僕にとってはついこの間のことだ。

 

2020年にもコンサートが予定されていたが新型コロナウィルス感染症拡大により、コンサートは中止となった。年末に1回だけ旧渋谷公会堂で有観客生配信ライブをやった(この音源も発表されている)。そんな中ハリーが肺がんになったんだっけ?だから2020年は2人でミニアルバムを作ろうぜっていう話になって7月に発表されたのが「Inner Sessions」という6曲入りのアルバムだった。(調べたら2020年11月に検査で肺がんを発症していることが判明している)うーん、2020年初頭にコロナによって公演がキャンセルされた、だったらアルバム作ろうぜってなって、7月に発表、その後11月にハリーの肺がんが発覚する、という流れになるのかな。「Inner Sessions」は限定発売だったので気がついた時はもう売り切れだった。

 

そしてハリーは闘病生活を経て再びJOY-POPSのアルバムを作ろうぜとなったのだ(と思う)。題して「Inner Sessions2 夜更けの王国」。これもよく分からない。もしかしたら前回のInner Sessionsのアウトテイク的な作品なのかもしれない。とにもかくにもこのアルバムが家に届いたのが日曜日のことだった。

 

・ミッドナイト・アワー

・泥沼の妖精

・空虚のブルーズ

・暗い月のブルーズ

・らせん(インスト)

 

の5曲である。2曲に「ブルーズ」という言葉を遣っているのが気になる。曲調はまあ、いつもの2人である。

 

歌詞はどうしてもハリーの病のことを考えてそれに結び付けて聴いちゃうところがあるのは否めない。気になる箇所を書き出してみよう。

 

「ある者は夜空をかけて行き/ある者は縛られ万策尽きる/歌い知らせるビルの大時計/過ぎ去った月日を刻んでいる」「ある者は愛され敬われ/ある者は見捨てられ忘れられる/夜更けの王国に佇んで/ただただ街を眺めているのさ」(ミッドナイト・アワー)

 

「なあ今日も晴れないぜ/この気分晴れないぜ/泥沼にはまって見えたんだ/誰がお前を遣わせた?/泥沼の妖精/邪な妖精」「そのクスリは効かないぜ/この痛みはやまないぜ/海を越えて現れ出て/悪人どもが逃げ出した/泥沼の妖精」(泥沼の妖精)

 

「ヘイヘイそこは空虚さ/空虚だぜ/砂の城は波にさらわれ消えるだけさ」「ヘイヘイそれは博打さ/博打だぜ/やっぱり賭けるつもりかい?/冷や汗ものさ」(空虚のブルーズ)

 

「出かける頃に空を見上げた/アー今夜もついて離れない暗い月」「上っ面の明るさのその値段を知りたいか/上っ面の明るさにその値打ちはあるのかい」(暗い月のブルーズ)

 

まあハリーはいつもいつもそんな元気な歌を歌う人じゃないんだけど、4曲ともこんなダウンな色合いの歌を発表するのは異例なことではなかろうか。僕はこの5曲の後に、2018年にJOY-POPSが再結成された時のライブを入れたプレイリストを作った。最初の5曲でしみじみと暗くなった後に、少しずつ元気が出てくるようにと思ってのことだ。でもこれは毎日聴くのは危険だな。どんどん底なし沼に沈んでいきそうで怖いので気をつけよう。

 

今日もスーパーに行って食材を買い、粛々と夕食を作った。今年の夏の思い出は「料理」で決まりだな。こんなに毎日毎日心を込めて料理するのは初めてだ。