水曜日(14日)に歯医者に行ってきた。本当は7日に予約していたのだが、2日に発熱したせいで泣く泣くキャンセルした分だ。初めて行った11月30日に虫歯を治療してもらった(歯をガンガン削られた)が、全然痛くなかった、すごいな現代の歯医者、という記事を書いた。
それで、水曜日は詰め物に取り掛かるのだとばかり思っていたら、何やらガリガリとし始めた、「うん?」と思いながらじっとしていると、来ましたよ、痛みが。「ジンっ」ときてから「ジュワー」と痛みが広がった。僕が身体を硬くしたのを察知したのだろう、医者に「痛みますか?」と聞かれたので、口を空けながら頷いた。
「麻酔をしましょうね」と言ってから間髪入れずに「ちょっとチクッとしますよ」と言い、瞬殺で麻酔をかけた。ほんとにちょっとチクッとしただけで後は全然問題ない。「痛かったら左腕を上げて下さい」と言われて、再びガリガリ削り作業に入った。
ほどなくしてガリガリ作業を終えた医者は「炎症を起こしていますから消毒しますね」と言い、その作業に入った。消毒作業も少し沁みたが我慢できるほどのものだった。その日はこれで終わった。約2000円である。次の予約をして帰ったが、一体いつまでこれが続くのだろう。歯医者って高額だよな、と思いいくらかかったかも記録しているが、今のところ想定内だ。でも詰め物によって金額が変わるんだろうな。それにしてもやはり沁みるもんは沁みますな。
ポール・ウェラーまみれの日が続いているが、僕が聴きたいアルバムがアップルミュージックにない(「スタンリー・ロード」)。どうして?と思い、iTunesストアで買う寸前までいったが、「待てよ」と思い、英語で「Stanley Road」と検索してみた。するとちゃんとあるではないか。首尾よく取り込んだ僕はこれからまたポールまみれになれる、とほくそ笑んだ。それにしてもアップルミュージックよ。ポール・ウェラーの全アルバムくらい日本語でカヴァーしてくれよな。
ここまでタイトルとは何の関係もない話を書いている。いつものことだ。今回は時間稼ぎのためだ。これを書きながらスペシャルズのセカンドアルバム「モア・スペシャルズ」を聴いている。そして今から彼らについて書こうというセコイ作戦に出たわけである。
というわけで、僕が初めてスペシャルズを聴いたのは、高校時代に聴いていたラジオ番組「サウンドストリート」でだった。渋谷陽一が紹介するのを聴いて「スペシャルズかぁ・・・」と思った記憶がある。
何故かというと、当時イギリスからスペシャルズとマッドネスという2つのスカグループがデビューし、世の中スカブームというか2トーンブームだったからである。チラッと聴いた僕は「まあ・・・いいか」とスルーすることにした。しばらく経ってマッドネスが日本のCM(ホンダ、だったよな)に出演してブレイクするのを横目で見ていて「ちっ」と思ったのも事実だ。
そんな状況で渋谷が紹介したスペシャルズのセカンドアルバム「モア・スペシャルズ」から1曲目の「エンジョイ・ユアセルフ」が流れてきたときは「おっ、いいじゃん」と思った。そして「これは素晴らしい」と思ったのが次に紹介された「ステレオタイプ」だった。「そうか、スペシャルズはここまで来たんだ」とクソ生意気にも思った僕は録音したテープをよく聴いていたが、レコードを買うまでには至らなかった(後に貸レコード屋さんで借りてアルバムの全貌を知った)。
だから僕にとってのスペシャルズはスカバンドではなくて「ステレオタイプ」のような曲も演奏するチンピラロックグループだった。「チンピラロック」か。今思いついた言葉だが、彼らを表すにはなかなかいい線をいってるかもしれない。
普段は、レストランやパブや洋服屋で働いている、だらけた青年たち。ヴォーカルのテリー・ホールはきっとヒモだ。女の家に言葉巧みに入り込み、そこに居つく。そしてひたすら言葉を磨いている。他のだらけた青年たちは、異様に煙草休憩時間が長かったり、すぐ女性客を口説いたりするダメ人間たちだ。
そんな青年たちがバンドを組んだ。練習は週1と決めてあったがテキトーだ。やる日もあればやらない日もある。来るメンバーもいれば、バックレるメンバーもいる。しかしライヴの日は決まっている。そこら辺はリーダーのジェリー・ダマーズが上手くやっていたのだろう。「この日はライヴだから必ず来いよ」とメンバーが働いている場所まで行って釘を刺すジェリー。メンバーは彼にだけは逆らえないから、ライヴ当日に小さな会場に行く。そしてリハーサルだ。半ばやけっぱちになって演奏するクズ青年たち。でも勢いがあってなかなかいいじゃないか。
いい気分のままライヴ突入だ。よく言えば荒々しいサウンドは、彼ら以上にクズな青年たちを魅了する。そしてライヴハウスに熱が生まれる。こうやってスペシャルズは段々とバンドらしくなっていった。スカを基調にした「チンピラロック」はこうして生まれた。
ロンドンでスカブームが起こり、彼らはその中心グループとなった。デビューアルバムが結構売れ、ライヴにもバンバン客が入る。金も入る。女も寄ってくる。ここで彼らがエライのは調子に乗らなかったことだ。リーダーのジェリーが手腕を発揮したのだろう。またしても一人一人と話をしてくれぐれも調子に乗らないように釘を刺し、納得させ、セカンドアルバムの録音に臨む。
「今までのサウンドを踏襲しつつ、新しいサウンドにも挑戦しよう」というジェリーの考えに基づいてアルバムが作られる。まずは「エンジョイ・ユアセルフ」だ。「このアルバムを楽しんで聴いてね」と一発かました後はやりたい放題だ。スカというスタイルに縛られずにいろいろなタイプの楽曲ができた。できた順から録音していくメンバー。そして「ステレオタイプ」だ。「おいおい、ここまでやるのかよ。ちょっと俺たちと合わなくないか?」というメンバーもいたが、テリー・ホールは「いいや。ここまでやるんだよ」とピシャリと言う。
そしてできた楽曲はリズムボックスを基調にした摩訶不思議なサウンドだった。「俺たち、スカから遠くまで来たなあ」と文句を言っていたメンバーが感慨深く言う。みんな満足気だった。しかし、チャートアクションは思ったほどではなかった。と同時にこのアルバム制作でエゴが肥大したメンバー達の不協和音が聞こえてきた。しばらくしてバンドは分裂することになる。
「モア・スペシャルズ」、そしてデビューアルバムを聴きながら書いた文章だが、全て僕の妄想である(それこそかなりステレオタイプな妄想だ)。ジェリー・ダマーズがリーダーなのかも知らないで書いているし、ロンドンでブームが起きたのかも怪しい。詳しい史実なんかこのバンドについては書かなくてもいいんじゃないかな。それではお送りします。「モア・スペシャルズ」から「ステレオタイプ」です。
いよいよ大寒波襲来だ。明日の朝は雪かきから始まるのだろうか。