はてなブログでは「こよみモード」といって、（僕の場合）昨年一昨年の同日に何を書いていたのかが分かる機能がある。去年の今日、つまり6月25日に僕は金沢に行ってエレキ・ギターを購入していた。昨日妻に言われた通り、この時期の僕は絶不調で何とか事態を打開したくてエレキ・ギター購入に走った感は否めない。というわけで、ちょうど今聴いているのが泉谷しげるの「長い友との始まりに」という曲だが、エレキ・ギターとの付き合いが始まって１年。僕はまだ彼女と友だち関係を結べていないような気がする。早くもっと仲良くなりたいものである。
例によって土曜日の目覚めは早かった。3時には目を覚まし、シャワーをして音楽を聴いているといういつものルーティンだ。そしてこれもいつものように心持ちは穏やかである。さあ、何を書こうか。
泉谷しげるか。彼について書いたことはなかったな。僕はそんなに彼のいいリスナーというわけではないが、一時期よく聴いていた。その時期の泉谷には確かにギラギラとした輝きがあった。彼がメンバーを集めてLOSERというバンドをつくり、活動をしていた時期だ。
僕が今でも時々聴いているのは「吠えるバラッド」（1988）だ。彼の12枚目のアルバムである。1978年発表の「80のバラッド」に呼応した作品だと思われる（後に「90‘S バラッド」という作品も発表している）。作品制作の経緯はロッキングオン社刊の「わが奔走」で詳しく書かれている。
メンバーは村上ポンタ秀一（ドラムス）、吉田建（ベース）、下山淳（ギター）、そして仲井戸麗市（ギター）である。今思えばよくこんなメンバーを集めることができたな、と思う。忌野清志郎もコーラスとピアノで参加している。桑田佳祐もギターを少し弾いている。
改めて聴くと、ミディアムテンポの曲が体に沁み込む。特に「あいまいな夜」という曲が好きだ。のっけから「あいまいなこんな日々は/俺とお前の見飽きたもの/何処かへ捨ててしまえ」と歌う泉谷。こういうのを書かせて歌ったら泉谷のペースになる。
「果てしなき欲望」では「今のうちにしなけりゃ後がないのさ俺には/知らずに立ってるここは/誰かの捨てた崖っぷち」「今からでも遅くはないかい/今からでも間に合うのなら走るぜ/チャンスをくれた分の絶望が体をさするようにまとわりつく/それでもいいぜ俺の分だけ君を抱く」という歌詞が好きだ。
「あらゆる場面で」では「俺とお前が入れ替わる/夢と現実を入れ替える/うおおお～何というイズム」という歌詞が好きだ。キヨシローのコーラスがいい（RCのコンサートの次の日に録音したらしい。壮絶な声だ）。
LOSERはその後泉谷自身が自分の曲をカヴァーした「SELF COVERS」（RCサクセションが「COVERS」を出した後に発表したはず）でも大活躍する。特に下山淳の活躍ぶりがこのアルバムをかっこいいものにしている（前に書いた）。
次に僕がよく聴いたのは15枚目のアルバム「メッセージ・ソングス」である。LOSERが解散（？）して、「あんなスーパーバンドでもいつまでも続かないのだなあ」と思っていたところにひょこっと発表した作品である。この中の「激しい季節」（CMソングにもなった）が好きで、そればかり聴いていたが、気づくと他の曲も聴いていた。
生ギター1本で歌う1曲目の「手のひらの風景」から2曲目「激しい季節」、続いて「存在する愛のもくろみ」「教祖がころんだ‼」「トーキング・ブルー」「愛しの臨死体験」までは気軽に一気に聴くことができる。7曲目「黒い波」からは内容がヘヴィになるので聴く時は気合を入れて聴くか、これ以上聴かないことにしていた。
生ギターのみで歌われる「黒い波」では、「瓦礫に絶望している子どもを立たせて/被害の悲劇を演出するテレビカメラ/撮るだけ撮ったらその場でバーベキューしてるお前ら/一体何しに来てるのか/一体何を見てやがる/お前らこそお前らこそ黒い波に飲まれちまえ」「善意という名のもとに/汚れた服を送る馬鹿ども/自分が着なくなったものをあげることが善意と言うのかい/善意という名の偽善をしている自己満足の人の波/お前らこそお前らこそ黒い波に飲まれちまえ」と凄味のある声で歌う。これこそが泉谷しげるの真骨頂であろう。
この後は珍しくピアノのみで泉谷が歌う「落葉樹」が心に沁みる。と、ここまで聴いちゃうともう最後まで聴くしかない、というアルバムである。
もう少し真剣に聴いてみようかな。
来月からの猛暑に備えてサンシェードを買った。フィアット純正のやつだ（そう言えばこれもつい最近フィアット純正の可愛い車検証入れも買っちゃった）。来月から使うもんだと思ったけれど、早速今日から使った。そうしないと絶対車内が溶けちゃいそうだ。あの内装、絶対溶けますよね？
エレキ・ギターの話にならなかったな。
