ボブ・ウェルチよ、生きていたのか!と思ったら・・・

絶対ミュージックシーンから姿を消していると思っていたボブ・ウェルチの新曲「Future Games」が今年3月に発表されていた。僕の中では「きっと野垂れ死にしているであろうミュージシャン」の上位だというのに(1位はトム・ヴァ―ライン。彼は元気に活動していた)。そうか、生きていたのか。

 

「Future Games」は新曲なのか?声は劣化していない。曲調はメロウ路線だ。間奏ではギターがそっと唸りを挙げる。しみじみとしたいい曲だ。

 

そろそろ彼の紹介をするか。

 

ボブ・ウェルチ。ソロ活動の前から書かねばなるまい。彼は元フリートウッド・マックのメンバーであり、その後自身のバンド「パリス」を結成し、バンド解散後ソロ活動を始めている。

 

フリートウッド・マックピーター・グリーン等の脱退により、なんとな~く加入したウェルチは、ブルース・バンドであったこのバンドをポップでメロディアスな方向に変化させていき、5枚のアルバムに参加している。そしてそれなりにバンドを成功させた(フリートウッド・マック自体はその後スティービー・ニックス等の加入でさらに大爆発する)。

 

しかし彼は脱退後「パリス」というスリーピースバンドを結成する(1975)。これは渋谷陽一が絶賛していたな。「第2のツェッペリン」みたいな言い方をしていたと思う。大分たって再発されたレコードを聴くと、「乾いたハードロック」みたいなサウンドで嫌いではなかったけれど、そんな聴き込む程でもなかったな。今聴くといいと思うかもしれない。

 

彼の全盛はやはりその後のソロ活動だろう。初のソロ名義のアルバム「フレンチ・キッス」(1977)は彼のキャリアで最大の成功をもたらした。僕が初めてボブ・ウェルチを聴いたのもこのアルバムだ。これも渋谷陽一が絶賛していた。

 

ギザギザロックばかり聴いていた僕にしては珍しいがこのアルバムは好きでよく聴いていた。今聴いても十分イケる。最初から「いいね!」と思う曲だがそれが最後まで続くのが素晴らしい。「エボニー・アイズ」、かっこいいよ。1979年「スリー・ハーツ」収録のビートルズナンバー「アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア」はまったくもってボブ・ウェルチ流ポップとなっていて僕は好きだ。間奏のギターがかっこいいよ。

 

その後も良質なポップアルバムを発表しているが次第にセールスは落ち込んでいく。

 

と、ここまで、ウィキペディアに頼って書いていたが、実は重要なことをとばしている。それは最初に「ボブ・ウェルチ:生誕1945年、死没2012年」と書いてあったことだ。そうか。生きていなかったのか。もう少しウィキに頼ろう。

 

TYタレントとして活動もしていた彼は、その後ヘロイン中毒で入院したり麻薬所持で逮捕されたりするが、再び音楽活動を復活させる。

 

そして2012年6月7日、ナッシュビルの自宅で、銃で自殺しているところを妻に発見された。享年66歳であった。

 

一体彼の身に何があったのだろう。またヘロインをやっていたのだろうか?彼の中にある「ギザギザ」(それがあることは何となく感じていた。だから「野垂れ死に」のイメージを持っていたのだと思う)がそうさせたのだろうか?それになんでまた、今年になって彼の音源がアップルミュージックに出現したのか、今一つ分からない。再評価か?

 

しかしそんなことはどうでもいい。彼の残した傑作アルバムは確かにこの世界に残されている。しばらくはこれもプレイリストに入れてボブを偲ぼうじゃないか。

 

 

 

 

ボブつながりというわけではないが、昨日の「ベストヒットUSA」で「祝80歳!ボブ・ディラン特集」をしていた。それで今、2020年発売の「ザ・ベスト・オブ・ザ・ブートレッグ・シリーズ」を聴いているがなかなかいい。あのブートレッグ・シリーズがコンパクトにまとめられている(といっても28曲、2時間3分だが)。でも、これは新しいブートレッグが入った作品なのだろうか。それとも今までのブートレッグ・シリーズからチョイスされたものなのだろうか。今一つ判然としない。こちらのボブもそろそろプレイリストに入れようかな。

 

 

この後パリスを聴き始めたが、いいじゃないか。これもプレイリストに入るな。