昨年の5月頃だったと思うが、「政府のコロナ対応と太平洋戦争とは似ているんじゃないか。誰かそのことを具体的に書いてくれないかなあ」という趣旨の短い記事を書いた記憶がある。
あれから誰も言ってくれないので、自分で調べてみた。山本七平の本のレビューを読んでみるとちゃんと書いてあるじゃないか。同じように思っている人はたくさんいるんだ。今日はそのレビューから無断で引用させてもらおう。
「空気の研究」のレビューから
太平洋戦争の開戦直前、1940年9月、勅命により内閣総理大臣直属の機関として設立された「総力戦研究所」の事を思い出した。
この組織は「日米開戦のシュミレーション」を行い、「開戦後、緒戦の勝利は見込まれるが、その後の推移は長期戦必至であり、その負担に日本の国力は耐えられない。戦争終末期にはソ連の参戦もあり、敗戦は避けられない。ゆえに戦争は不可能」という「日本必敗」のシナリオを導き出して政府に開戦回避を提言。
結論を聴いた政府は、「机上の演習は無意味。戦争は計画通りにはいかない。(この演習の結果は)意外裡の要素というものを考慮していない」と一蹴。
結局総力戦研究所の研究結果は現実に行かされることなく、日本は「必敗」の戦争に突入していく。
果たしてウイルスに対しての戦いは「安心安全」といくだろうか?当時と同じ過ちを繰り返そうとしていないか?
「日本はなぜ敗れるのか 敗因21か条」のレビューより
今も、戦前と変わらない日本人の思考様式を再発見することができる。
・いきあたりばったりの思考
・量だけ増やして同じ方法をやめれない
・ネガティブな事実をニュートラルな言葉に置き換えて、真実から目をそらす気質
・思想的貴族の、真の貴族の不在。
・押し着せられた、思考や組織を採用して、うまくいかなないときにどうにも動けない日本人
・芸の絶対化。職人礼賛的な思考様式が、結局は、その職人を成立させている前提条件が変わっても、それを認めようとせずに、それを貫きとうし、最後に崩壊するまで続ける
・思想的不徹底さ・・・
書ききれないが、すべてが現代の日本にも通じている。
山本七平(1921―1991)は、日本の評論家として主に太平洋戦争の体験を基に日本社会の構造について問いかけ続けた人だと僕は認識している。特に日本軍の「どんぶり勘定」具合はいかにひどかったかについて書いてある文章(どの本だったかは忘れた)が印象に残っている。
日本社会・日本文化・日本人の行動様式を「空気」「実体語・空体語」といった概念を用いて分析した。(ウィキペディアより)「日本はなぜ敗れるのか 敗因21か条」は彼の死後出版された本らしい。
というわけで、今五輪開催に反対している人が多い。そんな人の中には次のように考えている人はきっといるはずだ。怖いけど書くよ。
「いっそのこと新型コロナ感染の大きなリバウンド(感染者数が東京で1000人を超えるほどの規模)が6月20日までに東京を中心とした全国各地に起こり、五輪どころではなくなればいいのに」
勿論そんなこと誰も言わないし、言うこと、考えること自体不謹慎この上ないのだが自分の中の「悪い自分」が心の中で「良い自分」にこう囁き続けている人はゼロではないと確信している。
ああ。遂に書いちゃった。批判非難は勿論受けます。
おっと、僕は五輪開催反対派だ。五輪が開催されるとおそらく一定数の国民は盛り上がる。それを見て政府が「しめしめ」と思うことに耐えられないくらい怒りを感じるからだ。