10年ぶりくらい?に従弟からツェッペリンのDVDを返してもらった。「ああ、俺、ブックオフに売っていなかったんだ。よかったよかった」と思い、早速観ることにした。
いやあ、若いっていいっすね。確かにそう思った。勢いが違うよ。でも再結成ツェッペリン(2007)はこれからも聴き続けていくよ、とも思った。あれは奇跡だったからな。
DVDの2枚目のマジソン・スクウェア・ガーデン、アールズ・コート、は有名だから今回は、ネブワース(1979)でのツェッペリンについて挑戦してみよう。
この頃イギリスではセックス・ピストルズを筆頭とするパンク・ロックの嵐が吹き荒れていたはずだ。ツェッペリンも他のベテランバンドと同じように「化石」呼ばわりされていたような気がする(キンクスは敬愛されていたというのに)。そんな大きな逆風の中でツェッペリンはネブワースの音楽フェスに出演した、と記憶している。
最近結論から書く事が多いように思うが、今回もそうさせてもらおう。
結論。最高である。堂々としている。オールドウェイブで何が悪い?である。ただし、髪の毛は短い。これだけは時代の影響かな。
パンクロック勢は悔しくて苛立たしかったに違いない。こんな演奏できないんだもの。だから発明したのが彼らのスタイルだ。余計なギターソロ等は入れない、肉声を重視する等で反撃するしかないではないか。しかしそれが世界を動かした。これも素晴らしいことだ。
思えばツェッペリンもブルースやブルースロックに対するカウンターだったはずだ。歴史は繰り返されたんだ。
ロック界ではこういう既存の音楽に対するカウンター、それがまたエスタブリッシュメントになったらそのカウンターが生まれる構造になっていた。ロックとは、何かに立ち向かうことなのだ。
ネブワースのツェッペリンは、エスタブリッシュメントととして堂々と演奏を繰り広げた。ただ一つ気になったことはジョン・ボーナムの異相ぶりである。その後の彼の運命を知っているからかもしれないが、あまりにも顔つきが異常なジョン。しかし、ドラミングは相変わらずキレがいい。逆にそれが怖いくらいだ。ここでやはり僕は思わざるを得ない。「死を前にする時、(才能がある)人はとてつもない仕事をする」と。フロントの3人と違う世界でプレイしているように僕には見える。
DVDに収録されているのは、「Rock And roll」「Nobody’s Fault But Mine」「Sick Again」「Achilles Last Stand」「In The Evening」「Kashmir」「Whole Lotta Love」の7曲である。
圧巻は、「Achilles Last Stand」と「Kashmir」だ。「アキレス」の方は若干リズムが走り気味だ。特にギターソロの時のドラム「ダダダダン、ダダダダン、ダダダダン、ダ、ダ、ダダダダン・・・」のところは思いっきりジョンが走っている。そこが怖い。「Kashmir」では、ここしかない、というタイミングでリズムを刻んでいる。ジョンは自身で意識してなかったかもしれないが、ギリギリのところで生きていたのではないだろうか。心に血を流しながらプレイしていたのではないだろうか。
ロバートのことも書きたくなってきた。ほんとにこの人は歌が上手い。「ロックンロール」でのフェイクは最高に気持ちいい。そして、「アキレス」でのメロディ。きっと曲が先にできるバンドなんだろうけど、どうしてあんなメロディが出てくるのか不思議でたまらない。
しかし、ネブワースの7曲を観るだけでも体力がいるな。