hanami1294のブログ

現在休職中の小学校教員のつぶやきです(只今復職中)。

かけ算が「見えない」児童

久しぶりの教育ネタだ。そして祝300記事だ。

 

九九が頭の中に入っていない児童は勿論のこと、かけ算の意味理解ができていない児童は、まあ学力低位な児童と言えるだろう。そして20㎝の3倍の長さのテープの長さを黒板に掲示して長さを求めなさいと言うとほとんどの場合、「20+20+20」と答える。「20㎝の3つ分」として(かけ算として)認識できていないのだ。

 

なぜだろう。テープ図だったからか?それもあるだろう。

 

でも何より今まで、絵や図に馴染んでいないこと、それを式や言葉に結びつける体験が少ないことが考えられる。1年では「たし算」「ひき算」の場面絵をたっぷり描く体験が必要だと思われる。最初は余計なものも描くだろう。それがだんだん必要な事だけ描けるようになるという過程が大事なんじゃないかな。物事が洗練されていくには泥臭い表現を通過しなければいけない、というのが僕の考えだ。

 

だからテープ図なんて洗練されたものを見てもピンとこないのかもしれない。自分の手を通して獲得したものではないから。まず1年生のうちに文章と絵と式を結びつけること、そして絵とテープ図を結び付けること、これは必須だと思う。筑波大付属小の田中博史先生の「文章題カルタ」は使い方を工夫すればいい教材になると思う。

 

2年生ではかけ算の学習で、ワークシートにおでんの串にだんごが4つ、これが4のだんだよ、みたいな絵でいろいろなだんのかけ算を学習することが多いと思われるが、どうだろう。どうしても後半のだんは形式的になりがちではないだろうか。そうこうしているうちに九九を覚えることが至上命令になる。子ども達はその頃には「1つ分の大きさ」×「いくつ分」=「全体の大きさ」というかけ算の意味など吹っ飛んでいる。特に「いくつ分」が見えないのだと思う。そこから「算数が分からない」状態に突入するのではないだろうか。

 

そうなると3年生からの学習はお手上げだ。「車が6台あります。タイヤは1台に4つついています。タイヤは全部でいくつになるでしょう」という問題を「6×4」にしてしまう児童は中、高学年になっても必ずいる。場面が思い浮かべられないのだ。だから問題に出てくる順に数字だけで処理する。2年生以降もかけ算の意味を児童に問い続けることは必要であると思う。かけ算の意味理解でも田中先生の「ビジュアル九九カルタ」を活用するのは一つの手であると思う。