hanami1294のブログ

現在休職中の小学校教員のつぶやきです(只今復職中)。

青年時代、植村直己が僕のヒーローの一人だった

小学生の時からよく読書をしていた。最初はご多分に漏れず、名探偵ホームズシリーズ、怪盗ルパンシリーズから入り、SFもの、歴史ものに手を出していた。そして中学生で出会った本が、「北極圏一万二千キロ」の文庫本(1979)と「北極点グリーンランド単独行」の文庫本(1979)である。今までの読書遍歴からすると脈絡がないし、何故この本を購入したのかは覚えていない。

 

とにかくこの本は僕の心を鷲掴みにした。今思うと、どうもキーワードは「孤独」だったと思う。一人で極北の知らない土地に行き、犬橇を駆使して旅をする様子がこの本には克明に描かれている。そのことに感動したのだと思う。

 

特に僕が気に入った箇所は、食べ物に関することが書かれているところだった。アザラシやカリブーってどんな味がするか、生肉ってどんな食感なのかをよく想像していた。なかでも「キビア」について書かれた文章が気に入っていた。キビアとは、海鳥をアザラシの中に詰め込み、地中に長期間埋めて作る発酵食品である。食べる時は、羽を取った後、排出口に口をつけて内臓をすする。肉も頭蓋骨も食べるそうだ。強烈な匂いがするらしい。今では時々テレビで見かけることもあるが、当時は想像するだけだった。

 

そう。植村直己のこの2冊の本は、あまりにも現実離れしていて想像するしかなかったのだ。犬橇の扱い、乱氷群、白クマとの遭遇、とてつもない寒さ、とにかくいろいろなことがフィクションではなく、現実なんだと文章で僕に迫って来る。

 

その後、彼はマッキンリーで遭難し、行方不明になる(1984)。

 

この本はずっと繰り返し読んでいる本の中の1冊だ。

 

僕は、今度は山岳小説に手をのばした。といっても3冊だが。新田次郎の「孤高の人」「栄光の岸壁」「銀嶺の人」である。この本もずっと繰り返して読んでいる。キーワードも植村直己同様「孤独」だ。

 

僕は、無意識に「孤独」や「放浪」に憧れる人間になっていった。そして行動に移したのが23歳の時にした一人サイクリング、25歳の時に行った人生初の海外旅行であった(勿論一人旅)。スケールは超小さいけど。20代~30代は結婚しても一人で海外に行っていた。

 

孤独癖がある人にはぜひ読んでもらいたい本達である。