hanami1294のブログ

現在休職中の小学校教員のつぶやきです(只今復職中)。

ジギー・スターダストは何故アコギを手にしたのか

 デビッド・ボウイは1972年にアルバム「ジギー・スターダスト」を発表した。ボウイ自ら「ジギー・スターダスト(屈折する星くず)」という架空のキャラクター(ロックスター)に扮し、「スパイダーズ・フロム・マーズ(火星からの蜘蛛たち)というバックバンドを率いてその上昇から下降までを描いたコンセプトアルバムである。
 その最終公演が映像で残されている。妖しいメイクをし、何だか宇宙服?みたいな衣装で歌うボウイは恰好良かった。この世のものではない感を漂わせていた。そのステージでボウイは、数曲アコースティック・ギターを弾きながら歌っている。宇宙服とアコギ、全く相容れない二つのものが合体した時、得も言われぬ姿が誕生した。僕はそれを観て強烈な異和感を持った。
 何故ジギー(ボウイ)はアコギを持ったのだろうか。アウトテイクで「ジギー・スターダスト」のアコギを使ったデモが残されている。同時期に作られた「ハンキー・ドリー」にもアコギの曲が収録されている。当時作曲する時は、アコギを使っていたのだろう。それ以前のステージでもアコギを持って唄う写真もある。資料のようなものは読み込んでいないのでよく分からないが、ボウイはアコギを日常的に使っていた。  
 それにしても、だ。僕にはボウイがジギー・スターダストをやるにあたって、アコギを確信犯的に使っているように思える。地球外から来たジギーが、コンサートをする。奇抜な衣装と妖しいメイクでシアトリカルなステージングを繰り広げればコンサートは成り立つはずだ。しかし地球で使われている楽器を使って演奏もする。そこに強烈な異化作用が生じることを知ってアコギを手にしたのではないだろうか。エレキではなくアコギ。アコギは、地球、あるいは既存の物、もっと言えば古い物の象徴ともなりうると思い、あえて使ったものではないだろうか。異物としての自分と既存の物を掛け合わせることでマジックが生まれるというか。
 などという妄想をしてしまうくらい、ジギー時代のボウイのアコギ姿は異様にかっこいい。