今日書く話は、どこにも着地しない話だ。でも何となく思い出したので書きたくなった。
高校3年の時(1982年)に、よくつるんでいた2人がいた。1人は大企業の御曹司。風貌からはそのことを窺うことはできなかった。もう一人は普通のサラリーマンの父を持つ高校でも屈指の秀才。僕の家と同じく決して裕福ではなかったと思われる。僕は、父が自転車屋を営むしがない商売人の息子であった。この3人以外にも友達はいたのだが(←僕としては珍しい時期だ)、特にこの2人とはよく遊んでいた。
3人で集まると、話題は当然女子に関することになる。2学期以降はそれぞれ好きな人がいたが、首尾よく付き合うことができたのは僕だけであった。2人は何とか好きな女子に接近して、付き合うところまでもっていこうとした。勿論つるんでいた僕としても最大限協力したが、どちらも残念な結果に終わってしまった。僕はといえば、彼女と一緒にいる時間の方が長くなっていった。
しかし3学期になってから付き合っていた彼女から手紙をもらった。受験勉強をお互い頑張りましょう、だからこれでお別れするねという内容だった。それから3人は再びつるむようになった。
ある日曜日、3人でデパートに行ってみたら、外の入り口で何やら売りつけているのが見えた。可愛い女子が3人ほど並んでにこやかに客に対応している。多分化粧品のようなものだったと思う。でも僕らは調子に乗っていたのでひるまなかった。「おい、姉の化粧品を探してるんだけどって言ってみないか?」と言ったのは僕である。
僕たちに対応してくれたのは、誠実そうなしかも僕にとってはビンゴ!なルックスの女子だった。姉にプレゼントをしたいのですが・・・とかなんとか言っちゃってその女子に話しかけたのは勿論僕だった。
そして、チラッと名札を見ておいた。「テラダ」という彼女の名前をしっかり頭に刻み付け、しばらく話してから(「バイトですか?」「近くの方ですか?」)その場を立ち去った。
これで話は終わったかと思われた。他の2人も満足そうだったし。でも僕は違った。あまりにもビンゴな彼女にすっかり惚れ込んでしまっていた。僕は数日経って2人に持ちかけた。「あの時のテラダさんなんだけど・・・また会ってみないか?」
2人は顔を見合わせた後、僕に「どうやって?」と言った。僕は「○○市のテラダさんに片っ端から電話をかけて訊けばいい」と答えた。一瞬ひかれるかなと思ったけれど2人は面白がって僕の提案にのってくれた。
公衆電話に入り、交代で電話すると4回目くらいでヒットした(御曹司がヒットさせた)。御曹司から変わってくれと言われたのでここからは僕の出番である。いやー書いてて恥ずかしくなってきたな。これは現代では完全にアウトな行為である。
僕は丁重に驚かせて申し訳ないこと、あの時の3人であることを伝えるとテラダさんはすぐに思い出してくれた。ここからが勝負だ。僕はもう一度会ってもらえないか頼んでみた。するとしばらく黙考していた彼女が分かりましたと言ってくれた。
数日後の日曜日に3人でテラダさんと会った。喫茶店で1時間以上話したと思う。その中で彼女が看護師を目指して、金沢の看護学校に行っていることを知った(つまり年齢は僕たちの1つ上だった)。僕たちの住んでいたところでバイトをしていたのは春休みの期間中でホントにたまたまだったらしい。
僕がビンゴと思ったのは、原田知世に似ていたからだ。当時(1982年7月にテレビドラマに初出演している)デビューしたてだった知世ちゃんに似ていて、笑うとその魅力が更に100倍くらいに増幅された。これが1983年3月中旬のことだったと思う。僕は彼女の笑顔が見たくて必死になってあれやこれやと喋っていた。
話はまだ終わらない。つるんでいた2人はどちらも関西方面の大学に進学した。僕は、金沢大学に進学した。新たな生活の始まりである。春だしウキウキしていたし、以前付き合っていた彼女とも電車の中で再会したりもした。
そして思い出したのだ。そうだ、テラダさんが金沢にいるんだ。もしかしたら会おうと思えばいつでも会えるんじゃない?と思った。でも1人で行けるのか?俺。3月は3人だったから怖いものなしだったけれど、大丈夫?とか思いながら日々を過ごしていたのだが、何とはなしにちょっと行ってみようという気持ちになった。5月くらいだったと思う。
テラダさんは、看護学校の寮に入っていると聞いていた。僕は小高い場所にある看護学校の寮目指して自転車を漕いだ。スマホもLINEもないんだから勿論アポなし突撃である。
寮に行き、入り口で「テラダさんはいるでしょうか?hanamiと申します」と係の人に言うと、その人は胡散臭そうな目で僕を眺めつつも話を通してくれた。しばらくするとテラダさんがやって来た。
久しぶりに見たテラダさんは、やはり僕にとってビンゴだった。立ち話もなんだから、ということにはならずに玄関で立ち話をした。1時間くらいだったと思う。その間テラダさんの友達がさり気なく僕を観察しに来たりもしたが、テラダさんは初めて会った時と同じように優しく僕に接してくれた。
ここからは僕の妄想だ。多分テラダさんは、僕を嫌がってはいなかったと思う。突然の来訪に驚きはしたけれど、嬉しくもあったと思う。そして僕があと一押しすればデートも出来たと思う。何となくそんな雰囲気は伝わってきた。村上春樹の小説で「こういうのって分かるんだよ」という意味のことが書いてあったけれどまさしくそんな感じだった。でも僕はデートに誘わなかった。
テラダさんと会ったのはこれっきりだった。ホントは行きたい気持ちはあったが、これ以上の勇気はでなかった。もしあの時の僕に今の僕が何か言えたなら「大丈夫、誘ってみろよ」と言いたい。あー書いてて恥ずかしいけれど胸がキュンとしますな。
以上で今日の話は終わりである。
月曜日の日中に突然はてなブログにアクセスできなくなってパニクっていた。どうしようと思いながら問い合わせをして、何回もやり取りをした結果、火曜日の夜に無事復旧することができた。前にも一度あったことだが、今度という今度は復旧できないかもしれないと思い、慄いていた。これで、執筆活動を再開できる。よかったよかった。
それでは。