昔、レコードを買っていた時には結構熱心にライナーノーツを読んでいたように思う。なんてったって文字情報はそれしかないからね。確か渋谷陽一ってビートルズの全アルバムのライナーノーツを書いてなかったっけ?あれはCD時代になってからだったのかな。
まあとにかくライナーノーツはレコードを聴きながらとか聴いた後とかに読んでいた。もしかしたらレコードを聴く前にも読んでいたかもしれない。当時の僕はライナーノーツに書かれていた美辞麗句を読んで、「そうか、そんなにすごいのか」と思いながら読み、レコードを聴いていた。
そんな僕だが、今年になって買うようになったレコードのライナーノーツは一切読まなかった。理由は特にない。というかレコードを聴けば分かるだろ?くらいに思っていた。それに知りたいことはウィキで調べれば大抵分かるしね。だからタイトルにある「読まない派」というのは今年に入ってからのことである。それが昨日「これはライナーノーツを読まねば!」と思う作品に出会った。
キャット・スティーヴンスの「ティーザー・アンド・ファイヤキャット」というアルバムである。このアルバムについては最近ちょびっと書いた。朝方小さい音で聴いたがなかなかしみじみとしていいアルバムだ、みたいなことだ。
そのアルバムを昨日の夕方にいつものボリュームで(つまり大音量で)聴いてみたら、「これは大変な傑作だ」と思ったわけである。何気なく買ったアルバムだけど、これはいい。今年のベスト10、いやベスト5に入るかもしれないアルバムである。
マリア・マルダ―のアルバムは600円だった。このアルバムは800円だった。これからもよく聴くであろうと思われる大名盤2枚が合わせて1400円だ。ちょっと信じられないな。まあとにかく僕はいい買い物をしたわけだ。毎回セコイ話で申し訳ないが、レコード業界ってほんとにピンキリだな。そして安い逸品は、必ずあることが分かった。
キャット・スティーヴンスのことをもっと知りたい、と思い早速ウィキで調べてみた。いろいろなことが分かったけれど、肝心のこのアルバムの情報がない。そこでライナーノーツだ!となったわけである。
ライナーノーツの内容に触れる前にまず僕が彼を聴いた印象を書いておかねば。
まず1曲目の「ザ・ウィンド」のイントロのアコギの響きが素晴らしいことが一聴して分かる。何とも言えぬ滋味深さというか豊かというかそんな音にウットリしていると、すぐに思いのほか大きめのボリュームでキャットのヴォーカルが入る。この声もまた素晴らしい。あたたかい、実直そうな声だ。アコースティックな曲にピッタリな声である。この1曲で僕はこのアルバムの世界に引き込まれた。わずか1分40分の曲だが、至福の時間である。
2曲目の「ルビーラヴ」は少し異国情緒が感じられる曲。これも一発で気に入る。この曲は2分34秒。短いが、繰り広げられる世界はとても広く感じる。あ、それと書くのを忘れていたが、レコードの状態がとてもいい。チリチリした音は全然聴こえてこない。そのことも僕を気持ちよくさせているのだろう。
4曲目「幸せの光が」はドラムも入った賑やかな曲だ。こういう賑やかな曲もいいんだよなあ。いつまでも聴いていたい。
5曲目「渚をつつむ海のように」では打って変わってしっとりじっくりナンバーである。とにかくA面の5曲はどれも素晴らしい。この調子はB面も続く。10曲33分、何回も書くが至福の時間である。そろそろライナーノーツを読んでみるか。
「さて、アルバム『ティーザー・アンド・ファイヤキャット』は1971年に発表された傑作である。『白いバラ』『父と子』に次ぐ3枚目のLPで、事実この作品がキャット・スティーヴンスの人気を決定づけたと言ってもいい」。そうか、世間もこの作品を受け入れたんだな。そりゃそうだな。
「アメリカでもビッグ・セラーとなったのはもちろん、彼の才能、個性、作風、アーティストとしての存在価値などが高く評価されたのであった」そうか、アメリカで売れたんだ。このライナーノーツは1978年に書かれたものなので、きっと再発盤なのだろう。ライナー前半には1977年までの彼の活躍ぶりが書かれている。
あとは、例えば「創作に対するキャット・スティーヴンスの姿勢」とか「こうした非凡な才能を支えたのは、繊細な感受性とにごりのない鋭い感覚、がんこなまでの誇りと情熱、とぎすまされた豊かな表現力」とか「音楽の美を追究する真剣な気持ちが、自らの精神力の修練、はては人間存在の極みにせまろうとする求道の姿勢と一致し、禅や仏教にまで傾倒していく」などの美辞麗句が並んでいる。ライナーノーツっぽいな。懐かしいよ。
そんなこんなで僕はまた新たに素敵な人を見つけたのであった。
今日は朝の8時半に家を出て、親戚の家に玄米を取りに行き、精米所に行き、スーパーで買い物をして、実家に行った。そのまま家に帰ってYouTubeを観ていたが、これじゃあいかんと思い、プリント作りに精を出した。家で仕事をするなんて久しぶりだ。でもこれで月曜日と火曜日は凌げるかな。
その後、再び妻と実家に行き、おかずをもらってきた。今日の夕食作りはお休みだ。
明日から3週間は学期末の戦いだ。心穏やかに粛々と授業をしていこう。
それじゃあね。日曜日ももうすぐ終わるね。バイバイ!
こっそり書くけど、ビートルズの「赤盤」と「青盤」が届いたんだ。「赤盤」は全部聴いたよ。