奇跡の1枚

「奇跡」などという言葉を遣うのは少しおおげさか。でもこのアルバムを初めて聴いたのは30代初めの頃だったと思う。リトル・フィートザ・バンド等を聴き始めた時期だ。当時の僕はこの作品にピンと来なかった。そしておよそ30年後の今年の始めにレコードで何気なく買った(800円だったからだ)。そのままほとんど聴いていなかったのだけれど、先週ふと聴いてみようという気持ちになりターンテーブルにのせたところ、やっとこのアルバムが素晴らしい作品だということが分かった。

 

やはり奇跡の1枚と書いてもよさそうだ。それにしてもブログを書くようになってから「奇跡の1枚」が多くなったような気がするな。そろそろ紹介しよう。

 

 

マリア・マルダーのデビューアルバム「マリア・マルダー(邦題は「オールド・タイム・レイディ」)」(1973)である。

 

 

マリアは、1943年生まれで現在80歳。幼い頃からカントリー・ミュージックR&Bなど様々な音楽を聴いて育った。1964年に「イーヴン・ダズン・ジャグ・バンド」に参加(ジョン・セバスチャンも在籍していた)する。

 

 

しかし間もなくバンドは解散する。続いてマリアはジム・クウェスキン・ジャグ・バンドに参加する。ここでジェフ・マルダーと結婚し、マリア・マルダーと名乗る。1968年にバンドは解散するものの2人はジェフ&マリア・マルダーとして活動を続け2枚のアルバムを発表している。

 

 

1972年、2人はデュオを解消し離婚。マリアはソロ活動を始める(名前は変えなかった)。そのデビュー作が今回紹介するアルバムである。

 

 

その前にその後のマリアの活動を書いておこう。1974年にはセカンドアルバムを発表(この作品も好評だったらしい)。その後も80歳になる今日までコンスタントに活動を続けている。ウィキで調べたら33枚のアルバムを発表していた。昨年か一昨年にジョン・セバスチャンのアルバムを記事に書いたが、そのアルバムにもマリアは参加していた。驚くべき活動っぷりだ。

 

 

とにかく30歳になって満を持してソロデビューしたマリアのアルバムが今僕の心を捉えて離さない。今年下半期のベストかもしれないという勢いである。全11曲、約36分の至福の時間である。

 

 

最初のキャリアのスタートがジャグバンドという名の付くグループだった。次もそうだった。だからこのソロアルバムでもジャグバンドの色が濃いというか、カントリーやブルースの影響が色濃く反映されている。このアルバムはビルボードで最高3位を記録し、ゴールドディスクに認定された。

 

 

A1「エニー・オールド・タイム」・・・艶やかなアコギから始まり、そこにこれまた艶やかなマリアの声が絡みつく1曲目としては最高のナンバー。暫くすると、ジャグバンド風のバックが入ってくる。この後もバックの素晴らしい演奏が続く。

 

A2「真夜中のオアシス」・・・マリアにとって最大のヒット曲でビルボードの6位まで上昇した。A1とは打って変わってオシャレな曲である。ヒットしたのも頷ける。エイモス・ギャレットのギターが有名。彼のギターは中盤から結構弾きまくっているが、前にしゃしゃり出るような演奏ではない。あくまで歌を引き立てるためのギターと心得て演奏しているように思う。それにしてもファンキーなギターだ。


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A3「マイ・テネシー・マウンテン・ホーム」・・・ドリー・パートンのカヴァー。ということはカントリーである。バックもアコギやバンジョー(かな?)が大活躍している。フィドル(っていうの?)の響きもカントリー気分を盛り上げてくれる。これぞカントリー!な曲。

 

A4「ラヴ・ソングは歌わない」・・・3曲目からのカントリームードが続くがこちらはしみじみ系。ピアノの響きが心地よい。昔はこういう曲はとばしていたなあ。今だからこそいい曲と断言できる曲である。終わり方はあっさりしている。

 

A5「ザ・ワーク・ソング」・・・この曲もピアノがフィーチャ―されている。途中で管楽器などが入り、賑やかになる。でもやっぱり聴きどころはピアノとマリアの声だな。最後は賑やかに終わる。

 

 

B1「ドント・ユー・フィール・マイ・レッグ」・・・この曲もピアノからだ。古き良き時代のアメリカ!って感じがする。けれん味たっぷりに歌うマリアが素敵だ。しかし3分弱で終わるなんてもったいないよ。うっとりしているとあっという間に終わってしまった。

 

B2「ウォーキン・ワン&オンリー」・・・これは僕が2番目に好きな曲である。ジャズ風味のウッドベースがかっこいい。それに負けじとマリアもリズムよく歌う歌う。気分は盛り上がるけれどこれも3分弱なんだよなぁ。

 

B3「ロング・ハード・クライム」・・・穏やかに始まり、しっとりとマリアのヴォーカルが入る。それにしてもこのアルバムの曲はイントロが短い。だから曲も短いのかな。しかしイントロの短さには潔さを感じる。

 

B4「スリー・ダラー・ビル」・・・ビルボードアダルト・コンテンポラリー・チャートで7位まで上昇した曲。落ち着いた曲かと思っていたが、管楽器がパーンと威勢よく鳴り、すぐに歌が始まる。バックで下から支えている(こういう表現をしたくなる)ピアノが素敵だ。中盤から後半にかけ、賑やかに騒いで、そして終わる。

 

B5「ヴォードヴィル・マン」・・・さっきは派手だったので次はアコギで落ち着いて始まる。相変わらずイントロもそこそこにマリアは歌い出す。でも徐々にいろいろな楽器が鳴り出したぞ。気がつくとやはりピアノに耳がいってしまう。管楽器も結構鳴っているが、僕はピアノの響きが好きだな。

 

B6「マッド・マッド・ミー」・・・アルバムラストナンバー。僕が一番好きな曲である。ピアノで静かに始まる。もしかしたらこのアルバムで一番長いイントロかもしれない。そこに優しいハイトーンボイスのマリアだ。ヴォーカルは優しかったり、力強かったり、だ。3分13秒。至福の時間だ。そしてアルバムは幕を閉じる。

 

 

こうやって1曲1曲について書こうと思うと聴く時の集中度が違う。記事を書いたことでまたこのアルバムに近くなったように思う。朝はしばらくこれになりそうだ。

 

 

 

 

 

ところでところで。夏のドラマが終わってさみしい思いをしていた僕だったが、先週の水曜日から始まった「パリピ孔明」という音楽青春コメディ番組にハマりつつある。

 

 

向井理演じる諸葛孔明五丈原の死から転生した場所は現代の渋谷のど真ん中だった。そこで孔明はある一人の女性シンガー(上白石萌歌演じる「EIKO」)の歌に惚れ込む。天才孔明は瞬く間にスマホなどの現代のあらゆるツールを使いこなすようになり、彼女の軍師(マネージャー)になる。彼はEIKOを売り出すために・・・という話だ。

 

 

まだ2回しか放映されていないが、これはイケる。多分若者にも高齢者にも人気が高いと思われる。三国志マニアだったら堪らないだろうマニアックな話もふんだんにある。ネットを検索するとこの番組を話題にした記事が多くなってきた。

 

 

これからどうなるか楽しみだなあ。それに、演者のクオリティーが高いので繰り返し観られるのもよい。僕にとっては今どきの音楽に触れるチャンスだ。でも1回目でEIKO原田真二の「タイムトラベル」歌っていたから、そこら辺を聴いていた年齢層にも観てほしいと思っているのだろう。

 

 

 

じゃあ、今日はこれで。