「空が落ちてくる」VS「うつろな愛」

タイトルについて少しずつヒントを出していこう。「空が落ちてくる」の原題は「I Feel the Earth Move」である。「うつろな愛」の原題は「You’re So Vain」である。さて、どんな曲かお分かりでしょうか?

 

「I Feel the Earth Move」はアルバム「Tapestry」に収録されていて、「You’re So Vain」はアルバム「No Secrets」に収録されている。発表されたのは前者が1971年、後者が1972年。「Tapestry」は長らく日本では「つづれおり」というタイトルで親しまれている。「No Secrets」は「ノー・シークレッツ」のままである。

 

もうお分かりでしょう。今日のミュージシャンはキャロル・キングカーリー・サイモンです。2人の奏でる音楽について書きたいのだが、初心者の僕にはアルバム単位では何も書けない。そこで1曲に絞ってならどうだろう?と思ったわけである。

 

まずキャロル・キングからいこうか。こっちはカーリー・サイモンよりたくさん書ける。僕が「つづれおり」を買ったのは20代半ばだったと思う。それまでロックガイド本には載っていたが、「シンガーソングライターか。別にいいや」と不遜にも思って手を出していなかった。しかし、ある日の音楽番組で吉井和哉と(多分)奥田民生が今日取り上げる「I Feel the Earth Move」をカヴァーしているのを聴いて「何だこのかっこいい曲は?」と思い、調べてみると・・・・というわけで、早速CDを買いに行ったのが「つづれおり」との出会いである。

 

そこからが長かった。「I Feel the Earth Move」はアルバムの1曲目で、聴いた瞬間「おおっ!これはいい」と思ったのだが、後が続かなかった。でも「So Far Away」「It’s Too Late」「You’ve Got a Friend」等、名曲が目白押しだよ、とロックガイド本に書いてある。しかしこれが僕の心には響かなかったんだよね。今思えば何でだろ?と思うが、やはりまだギザギザロック一直線だったのだろう。

 

そして何年かが過ぎ、当時の知り合いから「私は、高校の時ずっとこればっかり聴いてた」と言われ、再びチャレンジしたのだが、やはり今ひとつピンと来ない。それから折に触れ挑戦したがことごとく敗れ、今日に至っていた。でも「I Feel the Earth Move」に惚れ込んでいた僕は、キャロルのライヴがあるというと録画してこの曲だけは聴いていたものだ。

 

それが今週に入って様相が変わってきた。いいのだ。素晴らしくいいのだ。ついに僕は戦いに勝ったのだ(何の戦いだ)。これには原因がある。カーリー・サイモンである。

 

ちょうど先週の土曜日に「20世紀ロック」を観ていて、視聴者のキャロル・キングの「つづれおり」があんなに評価されているのにカーリー・サイモンがあんまり評価されてないのはおかしい、私は「ノー・シークレッツ」が好きだ、という投稿を読んだ。

 

カーリー・サイモンか。俺、1回も聴いてなかったな」と思い、「ノー・シークレッツ」を取り敢えず取り込んでみた。そして聴いてはみたんだけど、「うん?うーん・・・」っていう感じだったのでそのまま放置しておいた。

 

それで「アムステルダム」を重点的に聴いていた今週だったけど、ふとカーリー・サイモンキャロル・キングを同じプレイリストに入れて流しっぱなしにしていたのが、一昨日昨日のことである。そしたらいきなり同時に来たよ。キャロル・キング「つづれおり」は素晴らしいアルバムだ、そしてカーリー・サイモンの「You’re So Vain」は超名曲じゃないか。僕にも分かったのである。やっと「つづれおり」を楽しめるようになったのだ。これだったらカーリー・サイモンの「No Secrets」も楽しめるはずだ。

 

ということで、記事にしようと思いついたというわけである。

 

一応タイトルは「空が落ちてくる」VS「うつろな愛」と書いたが、曲に優劣なんかつけられるわけがない。ないんだが、まあそれも一興ということで許してもらいたい。

 

 

先週の今頃だったら、「I Feel the Earth Move」は100で「You’re So Vain」は0だった。それがだんだん「You’re So Vain」のポイントが高くなってきたかといえばそうではなくて、昨日いきなり「You’re So Vain」のポイントが40くらいまで跳ね上がった。そして今、点数を付けるとしたら「I Feel the Earth Move」51、「You’re So Vain」49と言わざるを得ない。長年愛聴してきた分「I Feel the Earth Move」に軍配を上げたいというのが正直な気持ちである。でもこれから「You’re So Vain」を心ゆくまで楽しめると思ったらこれも嬉しい。

 

というわけで、曲対決という企画だったが、これはやはり作者に失礼というものであろう。今日が最初で最後、ということにしよう。

 

それにしても、ロックを含むポップミュージックというのは3分で繰り返し楽しんで聴ける、という点で大変優れた表現形態だと改めて思う。映画だとこうはいかないからね。時間に追われる現代人にとっても優れものだと思う。しかも聴けば聴くほど味が出るっていうか、その時の心境とか状況とかで印象が変わるってところも素晴らしいと思う。

 

とにかくこの2週間ほど、色々なアーティストの曲を聴いてきたが、自分の中にまだ受け皿があることにホッとしたよ。まだ枯れてないっていう感じっていうんでしょうかね。

 

さてとこれで終わろうと思っていたら、曲についてのデータを全然書いていないことに気づいた。これは読者に不親切である。まだ、字数はある。ちょっと頑張ってみようじゃないか。

 

 

「I Feel the Earth Move」・・・「イッツ・トゥ・レイト」とのカップリングでシングルとしてリリースされた、幸せの2分58秒。最強のシングルレコードだな。A面B面の扱いについては色々あったみたいだ。とにかくイントロからキャロル・キングのピアノが大フィーチャ―されていてかっこいい。ベースも跳びはねている。ドラムとギターはちょっと控えめなのがまたいい。歌詞が性的だということを何人もの評論家が書いている。あ、日本のGLIM SPANKYがカヴァーしてるんだった。


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「You’re So Vain」・・・アルバム「ノー・シークレッツ」からの第1弾シングル。まあ当然ですな。こちらも幸せの4分17秒。アメリカでは1位をとった。イギリスで録音されているが、このアルバムにはローウェル・ジョージビル・ペインリトル・フィート勢やジム・ゴードン等のアメリカのミュージシャンが多数参加している。しか~し、何と言っても特筆すべきはこの曲のコーラスとしてミック・ジャガーが参加していることだ。カーリー・サイモンは最初の出だしからいきなり聴く人の心を鷲掴みにする歌いっぷりだ。メロディも素晴らしい。俺、これに気づかなかったのか。ある意味凄いな。


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さてと。実はのんびりと記事を書いている場合じゃないのだ。報告が遅れたが、注文していたギターが午前中に届いたのだ。早速ピストルズを弾いてみた。これについては後日改めて書こうと思う。

 

 

あ、もういっこ忘れないうちに書いておこう。先日NHK高橋幸宏の追悼番組が放送された。今朝最初の方を観たのだが、サディスティック・ミカ・バンドの映像がもう想像を絶するほどかっこよかった。あれは一見の価値ありですぜ、奥さん。