hanami1294のブログ

現在休職中の小学校教員のつぶやきです(只今復職中)。

才能、という言葉で片付けてしまおう あがた森魚の巻

9月3日(土)

 

現在9月3日土曜日の午前11時である。4日ぶりにぼうっとしている。この3日間で頭の方はすぐに仕事モードになったが、体の方はそんな風にはいかなかった。階段なんて膝が痛くてゆっくりしか上り下りできない。とはいえ例によって「授業できるんかな」と心配していた僕だったが、普通にできたので、よしとしよう。

 

この3日は定時ダッシュで帰って、すぐにシャワーをして、洗濯をして、夕食を作っていた。これがなかなか忙しい。ついでに料理しながらウイスキーも飲んじゃっていたので、20時を過ぎると眠くなってしまう。それでも、中途覚醒しながら午前5時過ぎまで眠っていた。それから忙しくなったらなったで人間は時間を有効に使うようになるものだと思った。朝なんか学校に行く直前に掃除をしちゃっている始末だ。やはり時間は有限だと思った時こそ、シャキシャキと動けるようである。

 

さてと。タイトルの話にいこうか。あがた森魚である。彼については1回「素晴らしいね!」と書いたことがある。それ以来ほとんど聴いていなかったのだが、またブームが来たのかもしれない。

 

というのも数日前、ヤフーニュースで彼の過去の作品がサブスク解禁される、しかも3回に分けて、というニュースを読んだからだ。何で3回に分けるんだ?と思って記事を読み進めていくと、それはもう膨大な数の作品を発表しているからだと分かった。ニュースのタイトルにはこう書いてあった。

 

あがた森魚、アルバム全57タイトル733曲がサブスク順次解禁、第1回配信は2000年代以降の23タイトル」

 

57の作品って、そして733曲って、そりゃあ一挙に発表されても聴く方は困るよな。まあ、だから3回に分けるんだろうけど、弱ったね、と思いながらアップルミュージックを検索するとある。確かにたくさんある。これをどういう順番で聴いていけばいいんだろう、と思いながら、そして普通は最新盤からかな、と思いながらそんなに期待もせずに流しっぱなしにしていた。「浦島2020」というアルバムだ。新しい音楽を聴くこと自体久しぶりだったが、このアルバムがよかった。最初は、数曲ごとに「うん?これは、もしかして名曲?」とひっかかっていたが、もう一度アルバム全編を集中して聴いてみると、素晴らしい傑作だということが分かった。

 

9月4日(日)

 

昨日は記事を書いている途中で挫折してしまった。買い物(食材、加賀棒茶、ウイスキー、コーヒー)をして、その後すぐに病院に行ったからだ。帰ってからは、夕食作り、シャワー、洗濯だ。休日でも忙しいもんは忙しい。

 

病院では、久しぶりに待たされた。自分の診察番号を飛ばされた時には「ふぅ、これは時間がかかるな」と落胆し、イヤホンのボリュームを上げることになる。例によってなかなか診察室のドアが開かない。ようやく僕の番号が呼ばれたら主治医が開口一番爽やかに「ごめんね、待たせて」と言った。この先生にこんな風に言われるともう何も言えなくなっちゃうんだよな。そしてさっさと要件だけ言って診察を終えようとする時に限って、長話をする。今日は阿倍仲麻呂の話だった。

 

「2学期が始まって3日経ちましたが何とかやれています」と僕が言うと、主治医は「一日一日やよ」と言う。そして徐に「この前読んだ小説でね・・・」と阿倍仲麻呂の話をし始めた。ちょっとついていけなかった僕だが、一旦主治医が話を区切るのを辛抱強く待った。そして「阿倍仲麻呂って、遣唐使阿倍仲麻呂・・・ですか?」という基本的な質問をした。そうだと答えた主治医に僕は「今のお話を聞いて2つのことを思いました。よくそんな小説を読む時間や体力がありますね、ということと、よくもまあ滔々と患者に喋れますね(すごいですね)」と言った。主治医は「そんなん、日曜日にガッと読むのよ」と言う。そして話を続ける。「阿倍仲麻呂は如何にして中国に日本は独立国だと認めさせようとしたか?」「中国は王朝が変わると以前の王朝に関係した人を全員殺す」「こんな歴史を持った国だから今も中国は日本のことを属国だと思っている」などと話す。僕もこういう話は嫌いじゃないのでついつい聞いてしまう。しかし、この話はどこに着地するんだろう?とも思っていた。「それにしても先生、中国物が好きですね」と言うと「うん。中国と韓国物が好きなんや」と答える。「で、この話はさっきの僕の話とどう繋がるんですか?」と尋ねると、「こういう話をするとみんな歴史に興味を持つでしょ?hanami先生もこういう話を子ども達にしてやって一日一日頑張るといいよってことや」と言われた。いやーそんな話ができればいいんだけど、と思いながら家路に着いた。

 

 

あがた森魚に話を戻さねば。

 

「浦島2020」は素晴らしいアルバムだというところからだな。調べてみるか。

 

「今年デビュー50周年を迎え、春からアーカイヴの連続リリース、7月には自選の半世紀集大成ベスト『ボブ・ディランと玄米』をリリースしたあがた森魚が、2021年までに発表してきたアルバム全57タイトル・733曲をサブスクリプションで解禁。」

 

あがた森魚は、1972年4月25日、キングレコード「ベルウッド」レーベル第1号として発売された『赤色エレジー』が60万枚以上の大ヒット、以降、時代と共に常にニューウェイヴで先鋭的なオリジナルの音楽表現と作品リリースを続け、73歳の今なお、精力的にライヴや月例音楽パレード«タルホピクニック»(東京・王子)を展開しています」

 

 

音楽活動を50年続けていて53作品を発表しているのは驚異的だ。大体長くても30年を過ぎれば、寡作になっていく(JUNさんはこれについて「才能は枯渇する」とかつて言っていた。その通りだと思う)。しかし、あがた森魚はそうではなかったらしい。この「なかったらしい」というのが曲者で、そんなにアルバムを発表してたんだ、知らなかったよっていう人がほとんどだと思われる。あがた森魚といえばかろうじて「赤色エレジー」を思い出す、くらいの存在じゃなかったっけ?「時代と共に常にニューウェイヴで先鋭的なオリジナルの音楽表現」って、そうか?そんなことをしたのはヴァージンVSくらいじゃないかな。まあ、いろいろと思うことがある記事だった。

 

「浦島2020」については、こんな記事があった。

 

「3.11から10年、2010年から毎年リリースを続けてきた2010年代シリーズ、あがた森魚名義としての最終アルバム」とある。そうなんだ。全然知らなかった。シリーズ14枚目だそうだ。さあ、ここからは自分の力で書いていくぞ。

 

まず素晴らしいのは歌のタイトルである。「宙返りして校庭で」「ろっけんろおどを行くよ」「はりうす」「世界ひみつ」「日曜日ののど自慢大会」って一体どんな料簡でこんなタイトルが付くんだ?特に「世界ひみつ」というタイトルを見た時はぞぞっとしたな。何で「世界のひみつ」じゃないんだろう。もう1回だけ調べてみるか。

 

「ろっけんろおど」って「ロックンロール」のことだと思っていたが、実際に埼玉県に「六間道路」というのがあるそうだ。「はりうす」なんて「シリウス」を捩ったものかと思ったがこれもJR北海道に「張碓」という駅があるということだ。

 

という風にタイトル一つ取ってみても一筋縄ではいかない。次に僕が魅了されたのは彼の歌い方である。何て言うのかなあ、メロディを歌っていない(←こういう言い方が適当か分からない)時がいいんだよね。喋り上げるというかラップみたいな字余りみたいな早口になるみたいな、そんなところ差しかかると僕の心が痺れる。これはもう聴いてもらうしかない。

 

最後は、固有名詞の多用だ。「ろっけんろおどを行くよ」では、「かわぐち工業総合病院前」「かわぐちもとごうしわすだ中学校」という固有名詞が使われている。念のために調べたらあったよ、埼玉県に。「川口工業総合病院」と川口市元郷駅近くに「川口市立十二月田中学校」というのが。びっくりしたな。固有名詞の多用は今に始まったわけではない。ないのだが、ここまで使われると感動するしかない。そしてもっと驚くことはこの固有名詞をちゃんとメロディに当てはめて歌っていることだ。さっきはメロディから外れたところがいい、と書いたが、こっちはメロディのはまり方が途轍もなく気持ちいい。思えば「大寒町」から固有名詞が始まったのかな。

 

 

というわけで、百聞は一見に如かず。あがた森魚の「ろっけんろおどを行くよ」を聴いてもらおうじゃないか。僕はあれこれ言う能力がないので、あがた森魚の音楽が素晴らしいのは彼の才能のせいだ、という言葉で片付けてしまおう。あ、あと、そんなに難しいコードは使ってないけど、いい曲が多いんだよなー。

 

 


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最後に全っ然関係ないが最近僕が悩まされていることを書き留めておこう。テレビを観ていても、職員朝礼に参加していても耳から入った音声を、僕は頭の中にパソコンのキーボードを思い浮かべてパタパタと打っているのだ。お分かりいただけるだろうか?こんな症状は僕だけかな?例えば「香川照之が」とニュースキャスターが言うと、頭の中でパタパタと「かがわてるゆきが」とキーボードで打っているのだ。これは結構邪魔くさい。

 

 

というわけで、2学期が始まりました。