フラワーカンパニーズ(以下フラカン)不朽の名曲「深夜高速」は時々メインストリームに乗ることがあるようだ。今回はCMソングになっていたのを聴いた。「生きていてよかった」を連呼するこの曲はいつものフラカンダメっぷりソングをよりクサくした青春真っ盛りど真ん中な歌だ。いっとき僕はこの歌詞に溺れていたことがある。生まれて初めて病休を取った時だ。以前に買ってあったが、ほぼ聴いていなかったフラカンのベストアルバムを何気なく手に取った僕はしばらくフラカン漬けになった。そのなかでも「深夜高速」の名曲っぷりは当時の僕を随分助けてくれた。こんな歌詞から始まる。
♪青春ごっこを今も 続けながら旅の途中 ヘッドライトの光は 手前しか照らさない
♪真っ暗な道を走る 胸を高ぶらせ走る 目的地はないんだ 帰り道も忘れたよ
♪壊れたいわけじゃないし 壊したいものもない だからといって全てに 満足してるわけがない
♪夢の中で暮らしてる 夢の中で生きてる 心の中の漂流者 明日はどこにある?
♪生きててよかった生きててよかった生きててよかった そんな夜を探してる
「生きていてよかった」という歌詞に胸震わせるということは「生きていたくない」と思っていたからだ。この世から消えてしまいたいと思っていた僕は、「生きていてよかった」を連呼するこの曲に最初は虫唾が走った。ここら辺の心模様は、掘り下げると怖いのでしないでおこう。しかし他のフラカンの曲を聴くにつれ、少しずつ「深夜高速」を受け入れられるようになった。
僕にとってのフラカンは「ポンコツ版ブルーハーツ」だ。これはブログの初期に書いた記憶があるが、ダメな奴を書かせたらフラカンの右に出るものはいない。そしてそんなダメ男でも夢を持ったっていいだろ?というのが彼らの大体の主張だったと思う。この姿勢に魅了された僕は病休していた前半フラカン漬けになった。きっとまだフラカンを聴けるほどには元気だったのだろう。その後は暑苦しくて何年も聴けなかったもの。
今日改めて聴いて、タイトルに書いてあるように僕の青春時代が終わっていたことを悟った。何故そう思ったのか。つい最近まではこの歌の歌い出しから、共感のあまり「うう・・」となっていたのが、今回そうはならなかったからだ。いやに醒めた場所から聴いている自分を発見したからだ。「うう・・」から「なるほど」に変わったとでもいおうか。僕にとってはそんな感じに聴こえたのが意外だった。曲を聴いて「なるほど」って、かなり寂しい状況だと思う。ある範囲の曲はもう聴く必要はないということだからな。こういうのを青春時代が終わったと呼ばずして何と言うのだ。それにしても長かったな。青春時代。これからは何時代と言うのだろうか。まあ僕のことはおいておいて、この曲はもっと若い人に聴いてもらうべき曲だと強く思っている。2番はこんな感じだ。
♪年をとったらとるだけ 増えていくものは何? 年をとったらとるだけ 透き通る場所はどこ?
♪十代はいつか終わる生きていればすぐ終わる 若さはいつも素裸 見苦しい程ひとりぼっち
美しい歌詞じゃないか。
そういえば「深夜高速」をいろいろなアーティストにカヴァーしてもらうという企画物CDもあったな。僕は斉藤和義のカヴァーをよく聴いていた。世代的にはほぼ同世代なのだろうか?鈴木圭介の方が少し年下なのかもしれない。ほとんどアレンジを変えずに歌っていた斎藤ヴァージョンも僕は愛聴していた。
今回CMで聴いたのは、おそらく岡崎体育のカヴァーだと思う。早速アップルミュージックで検索して聴いてみたが、これがなかなかいい。いいんだが、青春時代が終わった僕としては岡崎体育に「頑張ってるね。この調子でこの曲を広めていってね」なんて思いながら聴いているのだ。余裕を持って聴く寂しさを僕は今味わっている。
最後はこんな感じで終わる。
♪いこうぜ いこうぜ 全開の胸で いこうぜ いこうぜ 震わせていこうぜ
♪もっともっと もっともっと 見たことない場所へ ずっとずっと ずっとずっと 種をまいてく
♪全開の胸 全開の声 全開の素手で 感じることだけが全て 感じたことが全て
♪生きててよかった生きててよかった生きててよかった
やっぱり青春ソングだ。若者が聴くべき歌だ。