今(朝の4時)振り返ってみると、頭のどこかで「ドーン」という音が聞こえていたように思う。そして誰かがかなりキツイ口調で話しているのも遠くから聞こえたようにも思った。僕は目を開け、立とうとした。キツイ口調で喋っているのは妻で、僕は頭頂部がかなり痛かった。全然状況が分からない。それに立とうにも体が動かない。ここはどこだろう?
そこはトイレだった。「あ、今気がつきました。聞いてみますね」と妻が言う。そして「大丈夫?」と僕に聞く。立てないまま大丈夫と答えた僕はまだ妻が誰と話しているのかよく分かっていない。「大丈夫なようです。しばらく様子を見るということでよろしいでしょうか。また何かあったら連絡します」どうも救急車に連絡しているようだ。
電話を終えた妻は、僕に向かってこう言った。「あなた、失神したのよ」と。僕は横たわりながら「そうなんだ。どれくらい?」と答えた。「そんなに長くはないよ。1分くらいかな」と妻。まだ体が痛い。倒れた時に全体重が腰や肩にかかったのだろう。動けそうもないが、手だけでトイレから脱出して、妻には冷静に「しばらくこのままの態勢でいさせてほしい」と伝えた。僕は怖かった。だって体中が熱いんだもの。体の中の何かが、外からの何かと一生懸命戦っているようだ。気がついたら激しく発汗している。いつぐらいまで横たわっていたのだろう。今度は発汗によって寒くなってきた。
僕は力を振り絞って立ち上がり、寝室で服を脱ぎ、シャツとパーカーを着込んで、パンツとジャージも着替えて布団に横たわった。「排尿失神っていうのかもしれない」と妻はリビングから声をかけてくれる。いろいろ調べてくれているようだ。それにしても動じない人だ。「救急車の人は『また何かあったらいつでも連絡してください』って言ってたよ。優しく対応してくれたよ」と普通に喋ってくる。それがありがたい。
頭を触るとぽこんと腫れている。たんこぶかなと思い、妻にも触ってもらうと「ああ、たんこぶね。倒れた時に頭を打ったのよ」と言う。やはり冷静な人だ。そうこうしているうちに眠っていた。
目覚めたのは3時になろうかという頃だ。目は冴えている。そしてさっき起きたことをもう一度思い起こしてみる。どうも倒れたのは昨夜の22時から23時の間で、30分ほどトイレの外でうずくまっていて、その後寝室で着替えて直ぐに寝た、ようだ。
僕は最初、どのような状況だったのかを思い出そうとしていた。確かいつものように21時頃眠くなって寝室へ行った。その後おしっこがしたくなったので(かなりの尿意だった)、トイレに行った。半分眠りながらも、「最後の1滴まで出さないと」と思ったことは確かだ。そして息んだ後、目の前が暗くなった。ブラックアウトって言うのかな。その後約1分間のことは全く覚えていない。白紙だ。最初に書いたように今思えばどーんと音がしたような気もする。妻が喋っている声をきっかけに覚醒したようだ。こんな感じだったのだろう。そして今、この状況をなるべく正確にレポートしているというわけだ。今も腰が重く痛い。首も痛い。どうも身体の左側から転倒したようだ。
早速「排尿失神」について調べてみた。引用が長くてゴメンね(病院検索ホスピタ)。
「排尿失神とは、排尿した後に突然失神してしまう症状のことを言います。原因は尿を限界近くまで我慢してしまうことが挙げられます。膀胱が満タンになっている状態では交感神経が活発になり、血管が収縮しているために血圧が高いのですが、それを一気に排出すると、迷走神経反射で副交感神経が活発になり、血管が拡張されて血圧が下がったことで脳貧血を起こして失神してしまうのです」
「排尿失神は男性にみられることが多く、起立したまま排尿をする際やその直後に失神症状が起こります。意識消失時間は短時間で完全に回復します」
「排尿失神の原因は、主に生活環境内での血圧による影響が深く関わっています。排尿時の負担によって迷走神経が急に活発になると、脈拍や血圧が下がり失神に至る場合が多いです。また、低血圧が比較的多い夜の排尿時に起こる場合が多く、男性の場合は特に多く発症することが多いです。さらに環境的に疲労感のある生活をしている方や飲酒が常習化している方なども危険性が高くなります」
「排尿失神の治療法は、家庭内で発生した場合は横になり安静にすると一時的に回復する場合が多くあります。またアルコール摂取の抑制、塩分を控えるなどの生活習慣の改善を行うことにより再発をある程度防止することができます・・・」
確かに梅酒は飲んでる。最近は毎晩飲んでいるが、小さいコップに3杯くらいだぞ。でも飲酒は飲酒だ。今日からは禁酒かな。それに僕は立っておしっこをしている。妻に文句を言われながらも。この習慣も考え直さなければいけないだろう。失神は怖いからな。
妻は起きてきて、「昨日のこと、覚えてる?ホルター心電図つけなくていい?あなたの場合お父さんが心臓やってるから怖いのよ」と言われた。父親の心臓はそんな大したことはなかったよ、というと山ほど反論されたのでこれ以上話すのを控えた。
というわけで、今日は静かに暮らさなければいけない。昨日クラプトンのアルバムについて言及したので、クラプトンの話を書きたいんだけど、どうしよう。今日はこれくらいにして、のんびり暮らそう。
どうも今まで普通だったことが普通じゃなくなってきているようだ。まだ、夢の中にいるみたいだ。(現在13時30分)