hanami1294のブログ

現在休職中の小学校教員のつぶやきです(只今復職中)。

akiko

40代の初めに遠藤ミチロウの追っかけをしていた時期がある。自分の住んでいる県に来た時は、隣県の2か所にも必ず行っていた。また、長野や新潟、滋賀まで足をのばしてライブを観に行ったこともある。何が面白いかって、まずライブハウスごとにライブの様子が違うのが面白かった。ライブハウスにはその店その店の「色」があるので「そこでのライブになる」のが楽しい。

 

もう一つはミチロウの調子である。「ああ、今日はこう来るか。結構のってやっているじゃないか」とか反対に「調子、今一つなのかなあ」と日によって出来不出来がある(当然か)のを観るのが楽しかった。店の人は僕が遠くから来たことを知ると打ち上げに誘ってくれた。それに参加するのも楽しかった。

 

そうやってミチロウに顔を覚えてもらった頃に行ったのが東北である。山形、秋田、青森と北上しながら3か所でライブを観た。東北へ行くのは初めてだったのでワクワクしたが、一番印象に残っているのは青森である。

 

まずりんごジュースが異様に美味い。何の気なしに自動販売機で買って飲んだジュースだったのに。ということはこれより美味いりんごジュースが存在するはずだと思った。

 

それに人がいい。道を尋ねたらそれは丁寧に教えてくれる。しかし問題はそのほとんどが分からないことだ。青森弁は沖縄弁に負けないくらいの訛りなのかもしれない。

 

3月下旬に行ったというのに道には岩盤のように雪が積もっていた。食べ物は魚が特に美味しい。鮭のハラスを初めて食べて「なんだ!この美味しいものは!」と思った。

 

 

というわけで、幼少期を青森で過ごしたアーティスト、矢野顕子を紹介しましょう。

 

「春咲小紅」(1981)でスマッシュヒットをとばした矢野顕子だが、デビューアルバム(1976)前からミュージシャンの矢野に対する評価が異様に高かった。デビューアルバムではアメリカでもレコーディングを行ったが参加したリトル・フィートのメンバーにまで評価されていた。

 

また、1982年、糸井重里の発案でピアノ1台あればどこへでもライヴに赴くという「出前コンサート」をスタートする。これなんか今のシーンの先駆けじゃないかな。

 

僕は妻の影響もあって、矢野顕子の音楽を割と聴いていた。コンサートにも行ったくらいだ。今はアップルミュージックから何曲か取り込んでもいる。

 

今回何故矢野顕子を取り上げようかと思ったのかというと、アルバム「akiko」(2008)でレッド・ツェッペリンとザ・ドアーズのカバーをしていて、それがかなり衝撃的な出来だったからだ。矢野顕子なんだからこの2つのバンドの曲も矢野顕子節にしてしまうのは分かっているが、それにしても、である。 ツェッペリンの「Whole Lotta Love」、ドアーズの「People Are Strange」と言えば代表曲である。これに矢野が真正面から取り組むとこんなのになるんだ。

 

「Whole Lotta Love」では、ピアノがあのリフの代わりの役割を担っている。バックではドラムと抑制のきいたギターが鳴っている。歌は違和感なく矢野顕子になっている。後半は激しいギターとピアノ、ドラムスのバトルを聴かせてくれる。ある意味ツェッペリンチックだ。

 

「People Are Strange」は悲しげなイントロからすぐに歌が始まる。原曲のメロディーラインを尊重しつつも矢野節炸裂だ。この曲でもギターとの絡みが素晴らしい。

 

 

僕には矢野顕子ジョニ・ミッチェルがどうも重なって見える。かたやピアノの天才。「若い人はもっとスキルを上げないと駄目」という人。かたや変則チューニングを駆使して風変わりな曲を創る人。自分の演奏技術に絶対の自信を2人とも持っている。それもあってか何だか近づきがたい。エイミー・マンが可愛く見えるほど、2人は自身の音楽に対して厳しい。そういうところが重なるんだよなあ。